第1話終わりと新世界
ここからが物語の始まりになります
目が覚めると寒い風が吹く森がそこにはあったつい先ほど家に
いたはずの二人は明かりのない暗闇の中立っていた
森には道というものはなく、延々と沈黙と寒さだけがあった
頭がパニックになり茂みから聞こえてきた何かの音をきっかけに
走り出したどこにへと目標はなくいつもならすぐに息切れをして
2分も走る事はできないであろう体は息切れもなく
逆にどんどん加速していきいつの間にか草原へと飛び出していた
一面には何もなく月明かりに照らされた草原そこはまるで幻想的な美しさだった。
そこでやっと冷静になり兄弟はお互いどこにいるのか辺りを見渡した
だが、兄の方は自身の意思に関係なく体が動いている事に気づいた
先ほどまでは無我夢中で走っていたと思っていたので気づきはしなかったが
何かを探すような動作を体が勝手にして声も自分のではない
「兄貴どこだ?!」と自分を呼んでいる弟の声だ
そう思い必死に「俺はここだ!!」声は出てはいなかったが心の中で叫んだ
すると弟はそこでようやく自身の中から兄の声が聞こえる事に気づき驚いた
それと同時に体がどこか見覚えのある銀の鎧に金色と赤色のラインの入ったフルアーマーに
人の身丈はあろう程の両手剣を背負っていたそれには鎧にもある同じ
黒い獅子を模った持ち手にいつもなら到底もてそうにない程の立派な銀の刃がついていた
弟は自分の理解できる範囲を軽く超えており、またパニックを起こしかけていた
それを感じたのか兄が止める
「待て落ち着けってそれお前の持ちキャラでメインキャラのナイト丸の装備じゃないか?」
弟に話しかけ落ち着かせようとした
「本当だ・・・・でも何で?それよりどうして兄貴の声が
体から聞こえてくるんだよ・・・・」弟は少し震えながらに言うと
「頭おかしいと思うかもだがテレビとかで見た事ある事故で体が
入れ替わったりするのあるだろ?アレとか」とさらに続けて
「もしくは俺が死んで幽霊になって憑りついてるとかか?」
兄は冗談まじりに言い放った、弟はそんな兄の言葉を聞き震えが止まった。
そうしていると森の中で聞こえていた先ほどの茂みの音が段々と
こちらに来ていた弟はそれに気づき恐怖で咄嗟に背中にある両手剣を構える
それと同時に茂みから十数頭の狼にも見えるが
頭に角が生え緑の体毛と体格は大型犬程のモンスターがこちらに
飛び掛かってきたのである、弟は「ヒッ」と情けない声を出しただが
そんな弟とは裏腹に自身の体はどこも痛くなくむしろ
飛び掛かってきた狼の方が角が折れ地面に横たわってしまった
兄はそんな状況を弟の体の中から見て「案外大丈夫なんじゃね?」と
思い急に「今だ!!その剣でぶっ殺せ!!」と無責任にもそう言った
だが弟にはいくら自分を襲ったとはいえ傷つけるなどできず
ましてや、殺してしまうなどできなかった
そんな弟の気持ちを察したのか兄は大きな声で実際は体の中で響いているだけだが
「馬鹿野郎!お前自分が殺されそうになってるのに変な事考えてんじゃねーぞ、てかお前死んだら俺も共倒れかもしれねーんだぞ!」
兄は怒り怒声を浴びせ、モンスター達もいくら効かないからとて
獲物を逃がさないと言わんばかりに体当たりを始めた、すると
「殺すなんて酷い事できるわけないだろ!それなら兄貴がやってくれよ!」
と弟が言い放ち兄もそれに続き「変われるならやっとるわ!」そう言い終わると
弟の体が光だし大きな体にゴツゴツとしていた鎧の体が徐々に
細身ながらも鍛え上がられた肉体に妖艶な程美しい褐色肌の女性が現れたのである。
モンスター達も一度は後ずさりをしたものの
先ほどよりも弱そうな女性の姿をみて群れ全体が同時に女性に襲い掛かる
だが女性は狼達を見た瞬間防具はおろか武器さえ待っていないまま
腰を低めに落とし両手をクロスさせ迎撃態勢に入るその瞬間両手が歪む
その歪みが治ると女性の両手には、白い刃に持ち手はいくつもの色鮮やかな宝石が
散りばめられた同じ形のナイフを両手に持っていた
女性が「思った通りだ」そう呟きながら暗い月明かりの元
月光により振る度に刃には閃光が走り一瞬にして十数頭の狼達を肉片へと変えた
それはまるでダンスのようだった。
後ろの森の中で様子を見ていた狼達のメスや子供達がその惨劇を
目に一目散に森へ逃げて行くそれに気づいた女性は新しい玩具を手にした
子供の用に楽しそうに追いかけようとする姿は先ほどの狼達よりも醜かった、
それと同時に女性の体の中で声のような物が聞こえ
聞き覚えのある声が聞こえてきた
「おい!兄貴それ以上はやめろよ殺さなくてもいいだろ」
そんな必死に呼び止める弟の声が聞こえ
ようやく足を止めたそして女性は自らの姿を確認して
「マジかーどんだけ再現されてんだよ脱いでいい?なぁ?
そうだトイレ・・・・うん!お花摘みに行くわどこかないかなぁ・・・」
確信はしていなかったがやはりと思い弟は恐る恐る
「やっぱり・・・・兄貴なのか」そう体の中から聞くと
「そうさ無課金でエロいアバターを選りすぐりフルセットまで揃えた
見た目はエロい中身はエロ好きな人・・・・俺だ!」と兄は元気だった
このどこかも分からない場所にやってきて以来一番のテンションだった
そんな兄は真面目な顔をして続けて言った「ふざけるのはここまでだ」
兄の態度に「兄貴が勝手にふざけてただけだろ」と呆れるが
「まぁそれはおいといてだ、面白い事教えてやるよ」弟の事など気にせず
「お前はさ気づいてないか何をどうすれば何ができるかを
俺はさっき魔法やスキルは使わなかったが頭に流れてくる・・・こうだ」
兄がそう言い放つと同時に少し離れた場所にある5メートルはあろう岩に
「圧縮!」と言いながら手の平を突き出し岩に向けて握ると先ほどの
武器を出した時のように岩の中心から徐々に空間が歪みつつ
その歪みが一瞬にて岩を飲み込んだ、音はなく岩だけが姿を消した
「そんな・・・・岩が」弟が驚いていると兄が「たぶん俺のメインキャラの
お姉サマーだわ、この体しかも俺達自身の魂?を共有してるんだろこれ」
そう言った兄は真剣に話してるつもりだが弟からは
分かる少しだけ楽しそうに話をしていると
そんな会話中に右手がどす黒い煙を上げているのに気づく
手から日本語で「己を理解する」と文字が書かれていた
それは徐々に形を変え今度は「望む物を手にしろ」煙が消え浮かんできた
兄が手を見ているといつの間にか夜は明け朝日が昇ってきていた
そして二人はこの時だけは同じ事を思った
「これからどうすればいいのだろう」。




