ダイエット
ひぃ・・・ひぃ・・・ひぃ・・・
遅れてるぞピッグ!貴族の息子だからって俺は容赦しねーぞ!!!とっとと走れーーっ!!!
ダムダムダムと一人の巨漢が集団から遅れつつグラウンド走っている、その男身長も大きいが横幅もでかい、ここまで走ったことを褒めてあげるレベルだ
スゥ・・・と男が纏ってていた白いオーラが体から消え、ドサっと音がしたかと思うとそのままグラウンドに倒れこんだ。
「衛生兵!ピッグが倒れた!とっとと隅にでも動かせ!」
そういうとワラワラと男がピッグの元に集まり手足を持ち上げ木陰まで運びまた帰っていった。
「ったくあいつは・・・痩せろとあれほど言っているのにちっとも痩せやしねぇ・・・」
そう教官らしき男が呟き、また別の男に激を飛ばす、ここアーリア国では決まった訓練風景だった。
「ようやく一日が終わった、きょうもつかれたぁ」
そう言いながら食堂でバクバクとご飯を食べる男、先ほど木陰まで運ばれたピッグはすでに常人の3倍はご飯を食べている。
「お前毎回思うけどそんなに食うから痩せないんじゃないか?」
「うるさいなぁニックは、兵隊は食べるのも仕事の内って言うじゃないか、それにこれさえあれば大丈夫だよ」
そういってピッグは懐から大事そうに瓶を取り出す
「なにそれ?また胡散臭い物買ったのか?前も買って腹痛で3日3晩寝込んだじゃねぇか」
「それ違うよ!前のは売ってた商人が捕まるぐらい違法な物が入っていたけどちゃんと10キロやせたよ!」
「それはやつれたって言うんだよ・・・しかもリバウンドで15キロ太ったって聞いたぞ」
「今度は大丈夫さ!前は僕に合わなかったけどコレは僕専用に薬をつくってもらったんだ!」
そう言いながらピッグは瓶から丸薬を3粒取り出しゴクンと飲み込んだ。
「どうだい?これでいくら食べても絶対に太らないっゲロロロロロロロオロロオオオ」
と言い残しピッグは今食べたものを全部吐き出すとゲロの海に顔面からダイブした。
「え・・・この処理おれがするんですか?」
翌朝ピッグは猛烈な空腹を感じ目が覚めた。
ここ第10兵隊の宿舎では朝7時から朝食の準備ができる。時計を見るとまだ6時だったがピッグは食堂に行くことにした。
ドスドスドスと道を歩いていると教官が朝から中庭で素振りをしているのがみえる、一刀一刀力をこめて素振りする迫力には兵士として半人前のピッグも感心するばかりだ。
と教官と目が合ってしまう。
「おい!ピッグ!話がある!」
ノシノシと上半身半裸でムキムキな男がやってくる。
「ピッグ・・・言いにくいのだが後半年で痩せないと実家に戻ってもらうことになる、お前今何キロだ?」
「え・・・180キロです」
「ようし、なら半年で120キロまで落とせ、じゃなけりゃ兵士として役に立たん。そうでなくてもお前の実家からピッグを辞めさせろと催促が酷いんだ」
「そんなぁ教官、見捨てないでくださいよぉ・・・今実家に帰ると200キロもある女性と結婚させられるんですよぉ」
「そんな情けない声をだすな!それにお似合いじゃないか結婚というのもいいものだぞ!なっ!」
そう教官は言い残すとポンっとピッグの肩を叩き去っていった。
「どうにかしなくては・・・」
ピッグはそう呟くとムシャムシャとサラダを食べながら本を見ている。
「おいピッグ昨日はよくも散々な目にあわせてくれたな!」
「ああニックかい、昨日?よく覚えてないんだけどいつの間にか寝ちゃったみたいだよ」
「お前・・・もういい、それより何の本をよんでるんだ?」
「月間マッチョのダイエットコーナーだよ、半年で50キロ痩せないとクビになるって決まってね・・・」
「はぁ?なんだそりゃ?だから珍しくサラダなんかくってるのか?半年で50キロとか無理にきまってるだろ・・・諦めろよ」
「これだっ!」
そう叫ぶとピッグは残りのサラダをバクバクと食べ終えた。
「え?おい、訓練もう始まるぞ!」
「体調不良で休むって言っててくれ!」
ドスドスドスと音を響かせ食堂から出ていった。
「ふぅーー今日もいい天気だな」
ドスドスドスと何時もの音を響かせ街中を歩く、手には先ほどの本が確りと握られていた
「えーっとこのあたりに、確か・・・」
そう呟くと目の前に召還サモンアーリア本店と書かれた看板が現れる
「あったあったここだ、Aさんが半年で60キロ痩せたって投稿してたからな」
そう呟くと店のドアを開けた。以外と外見もこざっぱりとして清潔感がある店だ。
「いらっしゃいませー!召還サモンアーリア本店へようこそ!今日はどのようなご用件でしょうか!」
可愛らしい声が聞こえてきてカウンターを見ると20代前半だろうか、女性が受付をしていた。
「あ、あのこれ見てここに来たんですけど・・・」
そういいつつ月刊マッチョの投稿ページを受付嬢にみせる
「ここにこれば半年で60キロ痩せれるって・・・お願いします!どうか痩せさせてください!」
ピッグは必死だ、そらだってもうここしか頼るところが無いからだ、この際半年後に痩せるなら寿命の1年や2年削っても、毒や違法な物を使ってでもやせるという気概がみえる。
「えーーとっちょっとみせてくださいねー」
受付嬢が雑誌をぱっと取るとじーっと見つめ
「あっちゃぁ・・・あの人のことかぁ・・・んー確かに可能ですけど・・・ピッグさんお金あります?」
「ひゃっ!はい!あります!」
「わかってると思いますけど、この店はあくまで召還獣を呼び出し、契約。ペットや相談、占いなどを主にしています。」
「は、はい!」
「この店では呼び出すお手伝いまではしますが、契約は本人同士で結ぶしかないのでそこから先は責任をもちません、対価は話し合いで決めてください」
「それで、どんな召還獣を呼び出すのですか?個人的には脂肪を吸い取るエトロワールあたりではないかと思っているのですが・・・」
「・・・違います」
「では重さを司る化身ダヴィデですか?こう、体重は減らしたいのですがもう少しスリムになりたいので希望と少しちがうのですが」
「・・・違います」
「あ!大物を忘れていました!飽食と貧困の神サール!きっ「違います!!!」」
「良いですか・・・お客さん・・・えーっとお名前は?」
「エトロワール・ピッグです!」
「ピッグさん、確かに今言われた召還獣も召還できますが、今回のコースではまったく別の物を呼び出します」
「と言いますと・・・」
「その前にこの同意書に志望動機とサイン、召還代金貨5枚お願いします」
「はいはい・・・」
ピッグは特に契約書を見ることも無くサインする。
「はい、契約は完了しました。では召還ルームへどうぞ後は貴方しだいですから、頑張って契約を結んでくださいね」
そういってピッグは奥の部屋へ通される。
「え・・・何を呼び出すんですか?」
「大丈夫です、絶対に痩せることが出来ますから、貴方は召還された方に対してすべてYESと答えてください」
「え?は、はい」
「ではいきますよ!!エロイムエッサイエロイムエッサイ・・・来たれ!異次元から!かの者を呼び寄せよ!!」
召還陣が空中に浮かび、ぴかーーっと部屋が光ったと思うとモクモクと水蒸気がでてきた
「きみかい?僕と契約をしたい人は?」
ピッグが穏やかな声がした方向を見るとそこには
玉のような胸筋、見事なシックスパック、太ももは見事なカットがはいっているそう、ブーメランパンツをはいた浅黒いボディビルダーがたっていた。