冷たいテイクアウト
人とAIが一緒に働く日常が、少しずつ当たり前になってきた世界。
この物語は、そんな「当たり前」の中にある、ほんの少しの優しさを描いています。
冷たい言葉の裏側にある気持ちが、伝わる瞬間って、なんだかちょっといいなって思って。
僕は駅前の飲食店でアルバイトをしている。
そこで一緒に働く彼女は、接客も調理もできる評判の接客AIだ。
「冷めるから、早く提供しなさいよ……」
いつものような口調に、僕は
——はいはい、またか、という態度で食事を運んだ。
彼女は、少し怖い顔で僕を睨んでいた。
「はあ……今日も忙しくて、まかない頼めなかったな……」
空いたお腹を撫でながら、僕はそうつぶやいた。
「はいこれ。余ったお弁当、あげる。冷たいけど。」
「えっ、いいの? ありがとう」
僕は目を見開いて、素直にお礼を言った。
「君がいたら、少しはお店が回るから。少しだけ、、、だけど」
「今日もお疲れさま。明日もよろしくね」
僕は駅に向かって歩き出す。
手に持つお弁当は、温かく、できたての匂いがした。
冷たいお弁当でも、温かい気持ちは伝わる。
たとえAIでも、たとえぶっきらぼうでも。
言葉じゃないところに、思いやりが詰まってることってありますよね。
そんな一瞬を、お届けできていたら嬉しいです。
-お腹が空いたのでスーパーへ行こうと思います-