3.本音と以外と
「…もうやめて」
「思わせぶりなことしないでっ」
気づいたら叫んでいた。
「ウラヌスが俺は結婚しないって言ったんでしょう!?」
力の限り肩を押す。
涙が溢れそうなのを必死に堪える。
ーー泣いたらまだ好きだと思われる。
続ける前に一度ギュッと目を瞑る。
「それはっ」
ウラヌスが言い掛けて押し黙る。
また怒りが込み上げてくる。
「もういい!」
ーー私が好きな事に胡座をかいてもう知らない
ドアノブに手を掛けると
腕を掴まれた。
「…ごめん」
引っ叩いてやろうかと勢いよく振り向くと、なきそうな顔をしていた。
ぽつり、ぽつりと続ける。
「悪かった…聞いてほしい」
「…俺は結婚しないって言ってたのは、お前以外と結婚しないって意味で」
ポカンと口が開く。
ウラヌスは十六歳で飛び級で帝都に進学していた。その頃から言い出したってことはつまり、
「俺はお前以外と結婚しない」
顔が真っ赤になる。
「…ちゃんと帰って来たろ」
ーー行かないでと泣いた私を安心させる為に口にしていたとしたら
「だから…アランには悪いけど婚約は破棄してくれ」
腕を掴んでいた力が抜けて、項垂れた。
「…私のこと、好きなの?」
声が震える。
「…当たり前だろ」
言葉より早くまた抱き締められた。
この二人お話はここでおしまいです。ウラヌス視点をまた書けたらと思います。