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「非婚主義だ」と言っていた幼馴染が婚約したと誤解して今更アピールしてきます  作者: 石竹つつじ


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2.恋は揺らめいて


「終わりにしようか」


そう告げると、彼はまた困ったような泣きそうな顔をした。


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「結婚しようよ」


同郷のティモシーにプロポーズしてから3ヶ月が経った。


とりあえずお友達からとなんとか説得して、手を繋ぐところまでは漕ぎ着けた。


初めの方はだいぶ照れていたけれど、今では手を差し出すと繋いでくれるようにはなった。


好意は友愛程度しか感じることはできなかったけど、彼なりに婚約者(候補)を大切にしようとしてくれているのは伝わってきていた。


けれども最近、時々何か考え込むような困ったような顔をするのだ。


始めから上手くいくと思ってた訳じゃない。


ゆっくり好きになってくれればいいと思っていたけれど、


困らせたかった訳じゃない。


ーー断れなくて困っているなら、手放さなきゃ。


いつものように過ごした週末、寮までの帰り道。まだ日も沈んでないのに送ってくれるのはお付き合いを始めたからだろうか。


傾き始めた西日にティモシーの黒髪がキラキラと揺れる。


ーー嗚呼もう見納めか。


同期とはいえ、時間を作らなければ頻繁に会うこともない。異動願いを出して、地方で働くのもありかもしれない。


来るべき失恋の痛みに備えて、お守りみたいに終わっても大丈夫な理由を数える。


顔を見て言える気がしなくて、手を繋いだまま足を止める。


ん?とティモシーが振り向く。


「一緒にいてくれてありがとう」


緊張しているのを気づかれないように、わざと首元を見て話す。


「もうおしまいにしよう」


視界の端でティモシーがきょとん、という顔をする。


手は繋いだまま、あー、と声を出して項垂れてしまった。


暫く無言で俯いたあと、パッと顔を上げて明るいトーンで告げてくる。


「そっか。ごめんな、一緒にいてもつまんなかったか」


そんなことないよ、とも言えず俯く。


「調子に乗って、親父に会わせたい子がいるとか連絡して」


一人で浮かれてごめんな、小さな声で続けた。


違うよ、も楽しかったよ、口に出来なくてぎゅっと目を瞑る。


「…今更もう遅いって言われるだろうけど」


繋いだままだった手を引かれて抱き締められる。


「…好きだったよ、多分ずっと」


抱きしめる力が強くなった。


「もうちょっとだけ、頑張らせて」


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