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2.日常と動揺
次の日からウラヌスは私の仕事終わりに迎えに来るようになった。
乱雑だった作業場のテーブルは私のいつも座る場所だけ綺麗に片付けられ、花まで飾られていた。
「これっ、ウラヌスがしてくれたの?」
嬉しくなって振り返ると、笑ったような泣きそうな顔と目が合った。
兄には先日「ウラヌスのことは諦めるので素敵なら人がいたら紹介してほしい」と伝えていた。
そこから一週間ウラヌスは欠かさず迎えに来た。
当たり前になりつつある帰り道、数歩前を歩くウラヌスに声をかけた。
「急にどうしたの」
突然優しくなった幼馴染に問いかける。
「…アランか」
小さな声が聞こえた。
アランさんは兄の旧友でウラヌスとも顔見知りなはずだ。
先月帝都に行った時兄の同僚だと紹介された。
「お前がウラヌスのアレか」
新作だという魔法円に填められてぐるぐる回された。
だからと言って何故ここでアランさんが出てくるのか。
怪訝な顔をしていると手を引かれ家に入る。
「…アイツはダメ」
一歩近づいたウラヌスに抱き締められた。
「ぜってー、ダメ」
「え」
抱き締める力が強くなる。
「頼む」
弱々しい声が聞こえた。