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第5章 女主人公?

### 第5章 金丸明日美

「正直に言うわ、龍くん。お姉さんもこの世に幽霊がいるって知っちゃったから」紅葉千鶴はティーカップを手に、妖艶に微笑んだ。「こんな凄い退魔師が向かいに住んでると思うと、夜ぐっすり眠れるのよ~」


頬を桜色に染めながら身を乗り出した。「嫌がらなければ、今夜からお宅に転がり込んでもいいんだけど?」


「だから、絶対このプレゼント拒否しないでね」


江島は苦笑いで応じつつ、不動産権利書を受け取った。家賃月5万円の負担が消えるのは大い。


「やった!部屋片付けててるから さっきに食べてて 洗濯物も預かるわね。夕方にはきれいにして返すから♪」千鶴は少女のように弾む足取りで去っていった。


……


9時、北江経済大学正門。夏の陽射しを浴びて女子学生たちの白い脚がきらめく。江島は同級生たちに混じり校舎へ向かう。


「田中じいさんがいたら、また目玉が落ちそうになるな」養父の老道士を思い出す。彼はよく未亡人の風呂覗きに江島を引き連れ、バレると真っ先に7才の龍を置いて、逃げ出す 困った老人だったなぁ。


経済学部415教室。江島が後方席に着くと、教室が突然騒がしくなった。


「江島! 金丸さんが呼んでるぞ!」

「まさかの金丸サマと中山サマWで来訪! こいつ何者だ!?」


ドア際に立つ二人の美女。一人は白いブラウスにロングスカートの清楚系、もう一人はスポーツウェアのクールビューティー。


「金丸……明日美?」江島は記憶を辿った。小学5年まで同じ町に住んでいた少女だ。図書館で再会した時、互いに面影を覚えていた。


廊下に移動した明日美は、三角折りの黄色い護符を差し出した。「道教寺院で求めた厄除けです。肌身離さず持ってください」


「それと……」ためらいがちに続ける。「最近外出は控えた方が……特に夜間は」


同伴の中山絵梨花が冷たい視線を送る。明日美が去った後、彼女は警告した。「一般人に護符を渡すなんて、道盟どうめいの規約違反よ」


「ただの恩返しです。昔、拉致事件から救ってくれたことがあって」

「恩と恋は別物よ。彼は陰陽の世界の住人じゃない。あなたとは雲泥の差なのよ」


中山絵梨花の言葉に、明日美は反論できなかった。幼い日、頭を流血させながら自分を守ってくれた少年の面影が、胸を締め付ける。


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