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おれの頭はとれちゃうよ

 日々、強度を持って文章を書き続けてゆくこと。こんなところを目指してやってきたわけではないけれど、図らずも、これはっていうものを感じ取ることができたというのは、おれの中でとてつもない収穫でした。これが成長ってやつなのか? って感じね。考えてみれば、おれってあんまり自分で成長って感じたことがいままでなかったわけです。格闘技にしたって、周りはすごいセンスあるって褒めてくるんだけど、おれからすると昨日今日始めた素人よりも弱いんじゃないかって気持ちは拭えなかったし、結局おれって怒りがないと戦えない性格だから、恨みのない人を殴ったり蹴ったりとかしたくないんだよね。じゃあなんで格闘技やってたんだって話だけど、それは義理もあるし、あとやっぱり喧嘩が強くなりたかったですよ。路上の喧嘩を何度も経験して、暴力を必要以上に怖がることはなくなったけど、おれって人に暴力を振るうのがすごく抵抗ある人間だから。そういう自分を変えたかったってのはある。端的に言えば、一方的にボコられてばかりじゃおもしろくないってことだよね。でもそこは結局変わらなかった。いや実は変わり始めていたのよ実は。実はが被ったね。悪文ごめんなさい。身体を鍛えていると、性格まで変わってゆくんだよね。すごくポジティヴになって、自信がみなぎってきて、それはまあ良いことではあるんだけど、暴力的になったり好戦的になったりって感じと表裏一体でさ。内面もマッチョになっていく自分ってのがちょっと嫌になって、それで格闘技とは距離をとるようになりましたね。今も在籍はしているんだけど、ごくたまに、本当にごくたまに運動がしたいときだけやる、そういう感じ。正直、ちょっとプロにも色気出してはいたけど、これ違うわって。おれいつか人を暴力で壊しちゃうわって。おれに暴力の技術を覚えさせるのは、世の中の為にならないなっていう。だから結果的には変わらなくてよかったよね。喧嘩強くならなくてよかった。あのまま続けてたら、ヤンキー狩りとか始めてたよね。深夜のコンビニを巡ってたりしてたかもしれない。ドンキとかね。それって単純に無差別な暴力だからね。普通の人相手だと罪悪感があるから、ヤンキーとか輩なら、まあやっちゃってもいいでしょ、みたいなね。あいつらもどうせ悪いことしてるんだから、そこまで悪いことじゃないでしょうって。いや悪いからね。極悪ですよ。ただのサディズムだから。ネコへの虐待と本質的には変わらないからね。実際、酔っ払って喧嘩相手を求めて、夜の街を徘徊していたこととかあったからね。そういう自分がすごく気持ち悪くなって、おれと暴力は相性が良くないって結論になりましたね。

 悪用できる技術は、おれには向いていない。悪用するから。法律を守ることがすべてではないけれど、破らないに越したことはないわけで。法律を破らないと得られない幸福って、考えてみるとあんまりないからね。例えば大麻とかも、まあ吸わなければ吸わないで生きていけるしね。いや、いま目の前にあれば、迷わず吸うけど。でも違法なものを必要以上に求めると、どうしても違法行為を躊躇しない人たちとの付き合いが出てくるじゃん。反社とかの組織に属しているわけではないけど、そのへんとの付き合いもあるよ、みたいな人たちと。やっぱりだるいんだよね。普通の連中もだるいけど、そういう連中も同じくらいだるいの。もうだるいんだよ、人付き合い自体が。変な握手したりさ。ガッ、ガッ、グッ、みたいな。わかる? ブラザー同士の挨拶みたいな感じ。いやブラザー同士なら勝手にやってればいいけど、初対面でも要求してきたりするからね。疲れるのよ。大物ぶった小物の話に付き合うのって。そう言えば、さすがに名は伏せるけど、ドーピングで騒がれた格闘家もそういう中にいたね。いや昔ね。マジで大昔。どっちかっつうと大人しくて、めちゃくちゃ可愛い顔してたよね。こいつすげー強えから! みたいに紹介されてたね。嫌々付き合わされてるように見えて、可哀想だなって感じだった。昼は練習して、夜は変な大人たちに連れ回されて、自由に生きるってなんだろう? そんな風に思ったよね。

 で、なんの話でしたっけ。ちょっと読み返してみます。もうやめたよ。書き終わるまで読み返さないみたいな変な縛りは。そうそう、成長ね。成長を実感したことがないって話だったのに、格闘技から変な方向に流れていったのでした。今日はアレだから。インターミッションね。雑談回っていうか日常回っていうか。ろくでなしぶるーちゅ、みたいな感じ。単純な話だよね、成長って。やり続けること、それしかないわけですよ。強度を持って反復することで、勝手に覚えていくんだよね。その繰り返しの中で、自分がなにをしたいのか、自分がなにを求めているのか、ということを考え続けることですよね。そうすりゃいつかどこかでブレイクスルーだ。自分の中限定の話ですよこれは。できないことができるようになる、みたいな単純な技術向上ではなくて、かつての自分が別の生き物に見えるくらいの感じ。あくまでも、自分の中でね。外から見たらたぶん一緒ですよ、なにが違うのかわからないと思う。ひたすら自分を純化していくんだよね。そのプロセスが楽しかったら持続できるわけですよ。苦にならない反復。その方法をまず探すことだよね。おれにとっては、こういう文章を書き続けること、つまりは苦しまないで文章を書き続けるにはどうしたらいいだろう、そう考えて、もう好きに書いちゃえって、本心でそう考えることができるまで、好きに文章を書くってことだったわけですね。

 でも最初は色気を出しているわけですよ。他人の目をばっちり意識している文章を書いているわけ。いや、そりゃ文章で飯を食ってたり、飯を食おうとしている人ならそれでいいと思うけど、おれはそうじゃないから、そういう自分の色気が気持ち悪いんだよね。おまえ、言ってることとやってること違うじゃん! そんな怒りが湧いてくるわけよ。それだよね。色気を出してしまうことがおれにとっての一番の敵だったね。けど、もうそこは脱したなって。自分でそれが実感できたから、おれって成長したなあって話なんだけど、わざわざこれを書く必要があるか? っていう野暮なツッコミを入れていたのが、以前のおれ。ひと昔前のマンガの、コマの外のマンガ家の落書きみたいな感じね。そういうわけで(どういうわけだ)、みたいな感じ。書きたいから書いてるわけで、書く必要があるかないかで言うと、あるんだよ。それが読まれたら嬉しいよねって、それだけだよね。でも読者の目を意識して、はたしてこの書き方で伝わるかな? って不安になる感情自体が文章を書くのに邪魔だからさ、それがなくなって嬉しいなあってことですよ。

 おれの究極的な目標は、小説を書くことだから。いまはこうやって好きに書くことができるマインドセットを使ってどう小説を書こうかなって感じ。わくわくするよね。でもあまり自分に期待し過ぎるのはよくないからね。既に文学は終わっていて、もはや新しいものなどは生まれてこない。これだけは肝に銘じておきたいよね。やっぱり目指すのはカフカのマインドだよね。彼は日常が地獄で地獄でたまらなくて、執筆している時だけが幸せだったらしいから。そういう、文章を書いている時が本当のおれだ、っていう強い意識が欲しいね。いままでのおれは、ゲームのおれとリアルのおれ、どっちが本当のおれって訊かれたらそりゃゲームでしょう、って感じだったけど、やっぱりそれは嘘なんだよね。そう思い込みたいけど、そんなわけないのよ。ゲームの世界ってやっぱり作り物だからさ。人の手からなる、非常に不自由なフィールドですよね。その中の自分が本当ってさ、やっぱりそうはいかないんだよね。どこまで行っても虚構は虚構だから。どんなにおもしろいタイトルだって、やがて飽きるからね。一生それだけプレイしていればいいってくらいの強度を持ったゲームは存在しないのよ。おれにとってはね。だから文章を書くし、ゆくゆくは小説、なんだよね。で、書くからには質だって求めたいじゃない。所詮はアマチュアの趣味だけどさ、どうせ書くならアマチュアチャンピオンくらいは目指したいよね。それは賞が欲しいとか、評価されたい、とかではなくて。おれ自身が自信を持ってそう思えるものを書きたいってことだよ。まあそんな感じで、雑談回はおしまい。明日からはどんな文章を書きましょうかね。

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