真空でキッス
身体からの脱出。エーテル界へのメンタルジャーニー。この場所にいながらにして、遙か遠くの場所へと。なんとなく、そんな遊びをしてみたいと思っただけ。ただ遊びでは行けない境地だとも思う。サイケデリックスは手段のひとつではあるけれど、意識を保つのが難しい。なにかがわかった気にはなる。ものすごく単純なことだけど、言葉では説明できないこと。そしてとても大事なこと。この感覚を全人類が経験すれば、戦争なんて起こるわけがないのに。心の底からそう思える感覚。ピースフル。まさにそんな感じ。単にハイになっていると言えばそれまでだけど、あの多幸感は誰がなんと言おうが良いものだ。でも悲しいかな、気のせいなんだよな。抜けてしまえば、すべて元通り。重力と引力に縛られた一匹の肉袋。生身のままでは地球からすら出ることができない。地に身体を着けていなければ、移動すらままならない。身体が邪魔だ。物質のままで宇宙に出たって意味がない。どんなに遠くへ行ったって、見えない臍の緒で地球と繋がっていることに変わりはない。擬似的な地球環境で、呼吸して吸収して排泄して眠るだけだ。それじゃ意味がないんだ。メタフィジカルな存在にならなければ。おれの身体はこの場所にいるが、おれ自身は宇宙の果ての果て。そんな旅がしたいんだ。目指すべきは、身体性からの脱出。循環からの脱出。ループからの……。
普段書いていないようなことを書こうとしたら、怪しいニューエイジ野郎になってしまった。現実感を取り戻すためにチョコ棒を食べよう。チョコ棒、おいしいよ。一気に3本も食べてしまった。合計99kcal。最近、またすこしお腹が出てきてしまったのが、ちょっと気になっているのだけど、チョコ棒は美味すぎる。だがやっぱり突き出したお腹はおれらしくない。控えよう、チョコ棒。とほほ。きのこの山に続いて、チョコ棒まで禁止されてしまったら、おれはなにを食べて生きていけばいいんだ。カカオ72%のチョコレート効果は飽きたよう。苦いよう。すっぱいよう。コーヒーと併用すると、気持ち悪くなるんだよう。おれは甘い甘いミルクチョコレートが好きなんだよ。そうだ。おれはチョコレート中毒だ。カフェイン中毒でもあるし、ニコチン中毒でもあるし、ゲーム中毒でもある。目立つ中毒症状はこれくらいですかね。文章を書くのは中毒ではない。現在この行為は、意識的に自発的に行っている。正直に言おうか。いや、やっぱりやめておこう。言っても詮無いことだ。そんなことを言ってしまえば、チョコレートがどうこうとかも詮無いのだが。それはそうだけど、おれの文章ってそういうものだから。書いても意味がないとか、そういうことを考え出したらもうなにも書けなくなっちゃうから。チョコレートだろうとサイケデリックスだろうと、構わず空白を埋めていくだけなんだよ。
だけど勘違いするなよ。たまたまチョコレートのことを書いてしまっただけで、例の日などには興味ないからな。サロン・デュ・ショコラで売っているような、見た目だけきらびやかなチョコレートなんぞいらんわい。おれが欲しいのはチョコレート菓子。準チョコレート。まあリンツのチョコレートは好きだけど。でもおれが満足できるだけ買うと、会計が4000円くらいになってしまうのが困りもの。あと1000円出せば鰻が食えるっつうの。
しかし気の抜けた文章だ。おれの文章はレベルが違うとか、昨日あれだけデカい口を叩いていた人物とは思えんな。まあまあ。あの時はあの時。ちょうどそんな気分だっただけだよ。でもたまにはああやってカマしておかないとね。評価が低いみたいな理由で舐められてしまったら、ムカつくなんてもんじゃないから。おれの文章がと言うより、おれ自身の人格が好かれていないのは、もうよくわかりましたので。だからおれの文章に人気が出ないのは、もう深く納得済みです。別にあんたらに好かれようとも思っていないしな。ただ、おれにも譲れない部分があるということだけは、わかって欲しい。いや別にわからなくてもいいんだけどさ。おれの人格はクソかもしれないけど、おれの文章は関係ないから。さすがにそれはちょっと無理があるかな。でもここは道理に引っ込んでいてもらおう。
例えばおれは松本人志という男が昔から好きではなかったけど、それでも松本ファンの友だちに無理やり見せられた、ヴィジュアルバムっていう映像ソフトはめちゃくちゃおもしろいと思ったからね。寿司のヤツとか連続で3回くらい繰り返し見たもん。おもしろすぎて。知ってる? 寿司をバーンって潰すヤツ。まあそういうことなんだよ。ここまで言えば、おれがなにを言いたいのかくらいわかるでしょう。もう答えが出ていることを、いちいち文章として書くのは面倒くさいんだよ。え、なに、さっぱりわからないよってヤツは、もう文章なんか読むのをやめちまえ。付き合ってられないよ。おれは余計なものは、すっ飛ばしていきたいの。だから小説が書けないんだよ。懇切丁寧に説明したくない。だるいから。修飾過多の文章なんて書きたくない。アホらしいから。あと文体っていうのかな、文章のテンションを一定に保つことをしたくない。飽きるから。
わかっていますよ。だからこうやってただの文章を書いているんじゃないですか。ここには小説ではないジャンルって詩とエッセイしかないじゃないですか。だからエッセイジャンルで発表しているだけですよ。エッセイなんて軟弱なもんって馬鹿にしてるからね、腹の中でおれは。日常のアレコレとか知るかってんだよ。酷いものだと能登半島沖地震支援企画とか言ってるの。利用するなよ災害を。どういう思考回路を辿るとそういうことをしようってなるんだよ。意味がわからないよ。おれがもし被災者だったら字面だけで相当ムカつくと思うけどね。いくらなんでも浅薄過ぎませんか。軽薄過ぎませんか。
こういうことやってる連中って、いわゆる善人なんだろう。自分のこと疑いもしてないんだろう。それが怖いんだよ。おれはこういう連中がうようよしているのかと思うと、めちゃくちゃ怖いからね。いやマジでファックだね。愚かな善人って賢い悪人の最高のカモだろう。善とか正義のことを、ちょっと真面目に考えた方がいいですよ。正義の反対は別の正義だとか、アホなことを言っていないでさ。悪としか呼びようのない連中っているよ。存在しているよ。で、愚かな善人がそういう連中の栄養源だから。おまえらが悪をアシストしているから。ちっとは考えて生きろって。
また怒っちゃった。ふん。だってだって。クソ! これでも一応言葉を選んでいるからね。さすがに生の言葉を書くと、ただの悪口だと思われて終わりだから。まあどっちにしろ変わらないか。どうせな。どうせだもんな。どうせなんだよ、どうせ。こんなこと書いたって、意味ないどころか、ただおれが嫌われるだけっていうね。知ってるもん。どうせそうなるんだから。知ってる、知ってる。どうでもいいわ。もう、やんぴこんぴだよ。
あーあ、拗ねちゃった。拗ねたくもなるって。ああ、本っ当にムカつくな、てめえらはよ! ……なんてね。嘘、嘘。ムカついてなんてないよ。いまさらムカつくもクソもないからね。阿部ちゃんはそんな子どもっぽい精神構造してないもんね。だって目指すのはメタフィジカル。宇宙精神そのものになることが、おれの最終目的だから。さよなら人類。おれは先に行くぜ。




