表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/19

弐話 飾番のイサ



 『畏咲:イサ』が王宮に仕え始めたのは十四歳頃だった。


 童顔どうがんの美形で、低身長ていしんちょう・・・


 今は二十五歳だが、まだ幼さを残す面立おもだち。


 役割は王の側女の「装飾官そうしょくかん」の中の『飾番:かざりばん』。


 髪飾りや耳飾り等を保管ほかんする部屋の番人的存在で、「緑の君」の部屋担当。


 入りたての頃は側女様の装飾品を把握はあくするに、


 この飾りは自分に似合わないかしらと内心ないしん夢をせて鏡をほっしたこともある。


 部屋には棚があって、そこに丁寧に装飾品が並んでいる。


 その保管と、部屋の掃除、その部屋の番が仕事。


 修理などは「装飾官」の内の仕事だが、「飾番」の役割ではない。



 そんな「緑の君の飾番」を訪ねて来たのは、『希李:キリ』と言う美女。


 気を使って手拭いにたたんであるかんざしを示した。



「これは確かに緑の君の装飾品でありますが、拾ったのは廊下?」


「はい。廊下で拾いました」



 うなるようなため息を吐き、イサは考え事をする時の癖である腕組うでぐみをする。



「緑の君はしばらく自室でお休みの筈・・・なぜ廊下に・・・キリ、貴方、心あたりは?」



 キリはしばらく沈黙して、かぶりを振った。



「そうですか・・・修理に出したものかも知れません。わたくしは飾番として上司に報告させていただきます」


「はい、お疲れ様であります」


「善い一日を」


「善い道を」



 丁寧な挨拶ができるその美女キリと、簪について報告を終え日誌にっしをしたためているイサ。


 そこに武官であり幼馴染みでもある『都薫:トクン』がやって来る。


 土産みやげ月桃げっとうの葉につつんだイサの好きな「丸」と食紅しょくべにで書かれた丸餡饅まるまんじゅうを持参して来た。


 素直に喜びの顔を見せ、側にある椅子に座ることを許可するイサ。


 武官専用の帽子を脱いだトクンは、休憩時間なのだと言う。


「それで、どうしたの?」


「本当は昼休みに訪ねるはずだった。昼頃にお前の側にまいられた美女にほうけて、少しばかり動けなくなった・・・女人にょにんの名を聞いたか?」


「・・・キリ・・・?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ