十八話 くのいちのジュンライ
王宮に仕える武官しか着ない衣、『吾呂文:わろぶ』。
中華服に似ているそれにはサイドスリットと、首から胸元までのファスナーがある。
ズボンの腹部分も伸縮性のある素材でできていて、滑り止めのついたブーツを合わせる。
黒基調であるが、帽子の数珠飾りは陰陽道からの五色を使っている。
その通常は男しか着ない吾呂文をまとっていい立場の女、「純雷:ジュンライ」。
彼女は忍者であって、顔立ちや体型は実に美しい。
そしてなにより、優秀な功績を出す忠実な忍者であり、自他それが性分だ。
調味料庫の暗がりで、キリとトクンが話をしているその屋根の上。
ジュンライはその会話を聞いていた。
「イサが『緑の君』になって、丸まんじゅうしか食べたくないと」
「数量は限定されているんですよね?」
「そうなんです。あと心あたりがあるのは、苺くらいだ」
「苺・・・うーん。いっそのこと、王宮で育てたらいいのになぁ」
「ほう・・・ほうほう!分かります、分かります。それがいいかも!」
そこに突然、屋根から現われた人影にキリは驚く。
トクン「いるのは分かっていましたが、休憩を取っているのかと」
ジュンライ「例の客人、ビジュンだったか。贈り物だそうだ」
手渡された袋に入っていたのは、ふたりにちょうどよさそうなサイズのTシャツ。
「誠?」
「いえ、これは・・・「言成:ことなり」ですね。ローマ字が添えてある」
「あ。ローマ字なんだ?」
「お前たちは、いいかげん進展しないのか?」とジュンライはあきれている。
「「え」」
「図星か」
トクン「え・・・じゃあ、この機会に・・・キリさん」
キリ「え、あ、はい。なんでしょう?」
「イサが『緑の君』として落ち着いたら、僕と結婚して下さい」
しばし唖然としていたキリの顔はだんだんと明るくなり、「はい。喜んで」と言った。




