十七話 新たなる「緑の君」
王であるホウシュンが「うん」と相槌を打って、何度か小さくうなずいた。
「大義」
「はっ、ありがたきお言葉にございます、王様っ」
肘掛けに凭れ、考えを巡らせるホウシュンは、ふとヒアを見た。
「民は・・・麻薬を受け付けなかった理由はなんだ?」
「はい。巡回見回り役トクンが、麻薬と盗みと悪口はやめろ、と言ってくれたからだと」
「うん・・・『赤の君』に厳罰を。そしてトクンとキリは無罪だと知らせよ」
トクンは愛馬を持参していて、前方にキリを乗せて馬を歩かせていた。
トクンが気に入っている楓の紅葉の季節で、そこはふたりの心情を絨毯にしたかのよう。
ふたりきりで絶景の見頃。
キリは枝に手を伸ばし、ふと手を留める。
「どうして手に届くと思うと、枝の葉って触りたくなるんでしょう?」
そう言って微笑しながらトクンに振り向こうとすると、トクンに抱きしめられた。
「どうして手に届くと思うと、抱きしめたくなるんだろう?」
「・・・え?」
「わたしは・・・貴女に惹かれている・・・」
「・・・本当ですか?」
「はい・・・でも・・・あなたは平女と言えど、王の女」
「・・・はい。今しばし、寒いような気がします」
「では・・・羽織がないので、もうしばらくの間・・・こうして・・・」
「はい・・・そうして・・・」
「わたしの抱擁はイヤではありませんか?」
「イヤではありません。なぜか、不思議と」
「次の仕事があるので、ここで同僚と待ち合わせをしました。その馬で送ります」
「はい・・・」
そこに馬に乗ったトクンの同僚がやって来て、トクンはゆっくりと束縛を解く。
キリはトクンの同僚である『智琉:チル』の馬に乗って、王宮に戻った。
――・・・そしてトクンは個人的な仕事を終えて、久しぶりに王宮へと戻ってくる。
いつもの小門、そこにいる門番ふたりに挨拶をして、中に入る。
そこにはチルがいて、トクンに知らせがある、と言う。
「『緑の君』が亡くなり、懐妊している状態で新たな『緑の君』になった者がいる」
「まさかっ・・・キリさん?」
「ん?お前、知り合いかなにかなんだろう??たしか幼馴染みだったか」
「・・・イサ!?」




