十参話 特別任務
王宮内にある、王の女たちが眠る『苗床』と呼ばれる墓地。
そこに自害した同僚の供養にやって来たキリは、お祈りをすませて立ち上がった。
「キリさん」
振り向いた先にいたのはトクンで、キリは少し驚いたあと微笑んだ。
近づいて来たトクンは酒を持参していて、墓に供えて手を合わせた。
立ち上がりキリに振り向き、「この花は貴女が?」と聞く。
「はい。せめてもの餞に・・・」
少しの沈黙のあと「王から指令がありました。とあることを解決せよと」とキリ。
「聞いています、貴女はわたしを解決のための人員に選んでくれた」
「・・・はい」
「・・・うん、それで・・・ざっくりとは聞いているのですが・・・」
「あ、あ、はい!『女宮』への潜入捜査です。あと、醤油」
「・・・醤油・・・」
一方、帰り支度をしているビジュンの背後に人影がかかった。
驚いて振り向いたそこにいたのは・・・徒市での恋人『言成:コトナリ』。
「え、え、え?こと・・・コトナリ?」
無表情な美形であるコトナリは、そこに佇み、涙を流し始めた。
「うたぐって・・・ごめん。迎えに、来た・・・」
「コトナリぃーーーーっ」
泣いているコトナリに抱きついて、自分も少し泣いたビジュンが顔を上げ言った。
「コトナリ、協力して欲しいことがあるの」
「・・・何?」
「醤油」
「・・・醤油?」
「あたしの親友のキリの身の潔白を証明する大事かもしれないの」
「それなら協力する」
ビジュンはコトナリのほほにキスを贈った。




