7 何が出来るのでしょう。
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回避の方法として最初に考えられるのが今ここでエイリッヒを抹殺することである。多分個人戦闘力ならエイリッヒより魔術を極めたジーメオンのほうが強い。有無を言わさずエイリッヒを抹殺し、理由をでっち上げて鬼族と『黒の親衛隊』を動かしまだ武装さえしていない鋼族の戦士たちを強襲すれば比較的容易に鋼族を滅ぼすことはできるだろう。
俺はこの方針のメリットデメリットを考え、あっさりと諦めた。鋼族が戦力としての貴重だからだった。人類に魔王領が敗北した理由の一つに戦力不足が上げられる。だからできれば鋼族を温存したかった。ここで鋼族を滅ぼしてしまえば結果として俺は人類に敗北し無間地獄に落ちるしかない気がするのだ。
やむを得ない。鋼族の反乱を抑えることが可能かどうか足掻いてみよう。
「……ご足労をかけましたね」
何から切り出せば分からない俺のぎこちない挨拶にエイリッヒはまったく表情を変えないまま、
「余計な言葉はいい。呼びだした理由を聞こう、宰相殿よ」
そうだとは思っていたが、やはり俺が呼び出したらしい。
グラム城への攻撃を命じるために呼び出したのだろうか? だが、それは不自然である。何しろここは魔術の実験場であり、椅子さえないのだ。
普通は会談をするためにここに誰かを呼びつけることはしないと思う。
俺が発すべき言葉を探していると、エイリッヒは大きく手を広げて、
「どうされた? 臆しているのか? 宰相殿なら畏れる必要は無いだろう。先代陛下を処断したように我を処断するといい」
と怒りを込めて言った。
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