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52 勇者は何を恐れている?
ここから先は推測である。
勇者は罠を警戒している。
先ほどの態度からそれは間違いない。
そして、勇者は罠の中身までは理解していない。罠は畏れていてもその罠が何か分からないから迷いが発生したのだ。
ならば次の手だ。
一瞬で思考を切り替えた。
俺は勇者の迷いを利用するべく演技を行う。
まず、勇者に向かって何かをしようとする。
そして次の瞬間、その何かには左手が必要で、それに気づいた風を装う。
俺は駆け出した。
勇者に向かってではない。
勇者が切り落とした俺の左腕に向かって、だ。
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