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51 チートが欲しい。
ジーメオンの肉体的な能力に頼りすぎ、ジーメオンが本来の自分よりも圧倒的な身長とリーチの持ち主だと言うことを忘れていたのだ。そのせいで目測を誤り、受けなくていい攻撃を受けた。自分の慢心が自分の危機をもたらしたことに後悔と焦燥が俺を苛む。しかも肉弾戦が始まってたった数秒で。
「宰相殿!?」
エイリッヒが俺を救うためか戦鎚を勇者に向かって振り回す。俺を救い出すのではなく、目の前の敵の気を引くことで俺が自力で逃げる時間を確保しようとする考えは正しい。
切られた左腕から噴き出した血は一瞬で止まった。
俺はエイリッヒを援護すべく勇者を見る。
その時、俺は目を見張った。瞬間だが、勇者が迷ったように見えたのだ。
勇者は、確かに俺を追うべきか、戦鎚を振り上げて迫ってくるエイリッヒに対応するべきか迷った。結局、エイリッヒと向き合ったが、わずかにテンポが遅れていた。
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