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50 ヒットの代償。
勇者は俺が蹴りを使ったのが予想外だったのか対応できなかった。
俺の足はゴムを蹴ったような鈍い感触とともに、勇者の身体に足跡をつける栄誉は授かった。だが、鍛えているらしくおそらくなんのダメージも与えられてないだろう。
その証拠に勇者は体勢を崩しつつ躊躇なく聖剣を振りおろしてくる。
武器で受けることができないそれを俺は右側に躱して
「グアッ」
躱しきれなかった左腕が切り落とされ、思わず叫んだ。
この身体はどうなっているのか肉体的な痛みは無かったが、精神的な衝撃は大きかった。
マンガとかでは四肢の欠損は敗北への第一歩だ。
血を引く左腕を押さえながら転がるように逃げる。
逃げながら悲鳴に似た思考が俺を苛む。
失敗した失敗した失敗した。
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