46 思いつき。
俺がいよいよ絶望に陥りそうな瞬間、天啓のようにある作戦が閃いた。半ば呆然としながら検証する。
行ける。
行けるかも知れない。
むしろそれしか無い気がする。
「……どうした?」
俺の気配の変化に気づいたのかエイリッヒが声を掛けてくる。
「いや、ちょっと待って」
準備が必要だ。
しかも大規模な魔術である。
契約済みの精霊の魔術が込められた指輪から放つ魔術とは異なり、通常の魔術は、一エルメ四方ごとに存在する精霊を掌握することからはじまる。魔術の基礎となる領域を確保するのだ。その領域の大きさによって魔術の規模が決まる。一方、強度は精霊への支配力で決まる。
今回は出し惜しみ無し。
俺はそれを持ちうる全魔力を使って最大規模で行った。
見た目にはなんの変化もないが、広大な空間が俺の魔術領域となった。
そして俺が掌握した精霊の一種にある命令を行った。
十秒。
「よし。とりあえずやれることはやってみましょうか」
「うむ」
俺はジーメオンの得意武器--鎌を精製した。
俺自身は鎌の使い方など分からないが、ジーメオンの記憶があるからきっと振るだけなら何とかなるはずだ。
骸骨のような容姿に身長よりも長大な鎌。実にお似合いである。
当たってもほとんど意味のない鎌であるが、俺は構えた。
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