42 それは犯罪です。
俺は追ってこない勇者からそれでも疑い深く距離を稼ぎながら
「……そんなこと言っておいて油断させておいてズバッとかないですよね??」
「大丈夫大丈夫。信用して」
「では降ろすのでその間は動かないでください」
常に視線を勇者に向けつつ、俺はザビーネを背中から降ろして、俺のマントを敷いた道ばたに寝かせる。
そうしながらホッとしていた。
ザビーネを背負いながらではとても戦えなかった。動きが制限されるし、こちらの魔術に巻き込む可能性もあった。しかも運良く抹殺対象外にもしてもらったから、万が一の時にもザビーネは死なずにすむ。こんなまじめな美人が死ぬのは良くないのだ。読者人気が高かったザビーネが自死を選ばなければならないような状況にしてしまったからこそジーメオンは『よりひどい奴』扱いされたのだ。
眠ったまま苦しげな表情を浮かべるザビーネの頭を撫でる。
弱っているが命に別状はない。何しろただの飲み過ぎだ。
先ほど事故で中身を見てしまった胸の膨らみを見る。
よし、死んでも生き残ろう。ザビーネをもう一度酔っぱらわして再びこの胸と戯れるために。
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