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36 敵の武器を知っていた。
暗殺者はまっすぐ俺を見ていた。その視線の強さに俺は後ずさる。
敵ながら正しい判断だと思った。
ゴーレムであるエイリッヒより、魔術を使うジーメオンの方が厄介だと気づいたのだろう。
剣先を俺に向ける。
「うん、面倒そうな方から先に片付けよう」
エイリッヒはもちろん、たとえジーメオンであってもあの剣に切られたらひとたまりも無い。
なぜなら、
「……それは聖剣、ですね?」
俺の頭の芯が冷えていた。
何しろ俺の人生の中でここまで死が身近だったことは無い。一歩間違えれば確実に殺されるだろう。
冷静に頭脳が回転しはじめる。
俺の言葉に暗殺者は驚いた顔をした。
「へぇ……知っているのかい?」
もちろん『みかこん』の知識だった。
三十二話が重複していたため削除しました。大変失礼しました。




