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34 鋼族の英雄。


「我を狙うとは、無謀な若造だな」


 エイリッヒがそう言いながら武器を構えたのを見て、物乞いを演じていたのであろう暗殺者は口元をゆがめ、それからぼろの中から瀟洒な剣を取りだした。物乞いの装いには似合わない芸術品にも見える装飾過多のレイピア。鞘からガラスのような刀身を抜く。


 そのレイピアを見た俺の身体に、先ほどの驚愕以上の怖気に似た戦慄が走った。


 俺はあの剣を知っている。慌てて叫ぶ。


「避けろ!」


 その俺の忠告にエイリッヒは反射的に従ってくれた。


 受け止めるのではなく、避けてくれた。


 右袈裟斬り。流れるようなレイピアの斬撃のひとつ目は紙一重でエイリッヒの腕を切り落とさず、戦鎚の鋼の柄を豆腐のように真っ二つにしただけで終わった。


 鋼の柄だから刃を受け止められると思ったのかも知れないエイリッヒは驚いたのか硬直する。エイリッヒが用を為さなくなった戦鎚を取り落とすよりも早く、通り過ぎたレイピアがくるりと翻って斜め下からエイリッヒを襲った。


 だが、それより前に俺は風のように駆け出していた。


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