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33 魔法戦闘です。


 俺の驚愕に気づいた様子もないエイリッヒは右手を横に伸ばし、口の中で何かつぶやいた。次の瞬間、エイリッヒの右手は巨大な戦鎚を手にしていた。どこからともなく呼び出したように見えるが、実際は土の精霊によって精製したのだろう。あらかじめ土の精霊と契約しておき、設計図を覚え込ませておけば召喚魔法並みの速度で精製が可能である。一方、召喚魔法は闇精霊を使役できねば実現できない。そして闇精霊を使える者は少ない。とは言いつつ実はジーメオンは数少ない闇精霊の使い手だった。


 魔族の使う魔術について説明しておく。魔族は精霊魔術と呼ばれる魔術を使用するのだが、その精霊魔法とは自分と相性のいい精霊を操ることで奇跡を起こす技術だ。


 精霊には基本四大精霊である火土水風と闇と光の六種類が存在する。すべての精霊はこの世界に遍く存在している。だいたい三十センチ四方ごと(この世界では単位となっており一エルメというのが、長さではだいたい三十センチ、面積ではだいたい三十センチの二乗、体積ではだいたい三十センチの三乗に当たる)に中心部分に六種類の精霊は重なり合って存在しており、魔族の魔術はそれに命じて奇跡を起こすのである。


 精霊と魔族には相性の良さ、と言う物があって、鋼族なら土の精霊、妖樹族ならば土と水の精霊、といった具合だ。ちなみに精霊の個体と契約を結ぶと精霊を引き連れて歩けるようになる。そうすると本来座標に縛られる精霊が移動してしまうのだが、不思議なことに移動した精霊の座標は新たな精霊によってすぐに埋められる。


 その中でジーメオンは六種類の精霊すべてにアクセスでき、さらに闇精霊ととりわけ相性がいい、というチートぶりだった。


 それでも俺は万が一に備えて戦いの準備のため使えそうな魔術を自分の中で検索する。人間相手ならば火の魔術がいいだろうか。それほど強力なものでなくても充分効果がある。指輪についても再度確認した。


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