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32 人間は嫌いです。


 暗殺者のその言葉を聞きながら、俺は目がくらむほどの怒りに硬直していた。フードの下の顔が明らかに魔族ではない人間のものであるためだった。そもそも俺も人間だったわけで、人間を見た瞬間に激怒するなど我ながら意味が分からなかったが、意味が分からなくともとてつもない怒りに襲われたのは間違いなかった。それはなんというか魂の奥底からわき上がってくる怒りと言うべきもので、それほどの怒りを人間だった頃は感じたことがなかった。嫌悪と憎悪と激怒を鍋に入れて三日三晩煮詰めたような、粘性の高い感情を、俺は必死に何とか抑え込んだ。


 長く息を吐いた。それから改めて人間を見た。


 頼まれた、ということは職業暗殺者なのだろうか。


 だが職業暗殺者が鋼族の長を狙っているという事実以上に俺が違和感を覚えたことがあった。ジーメオンの常識によると人間が魔族の領域に現れるのは基本的に自殺行為であるからだった。考えてみれば当たり前だった。何しろ戦争をしている相手だし、しかも魔族が精霊王を中心にした信仰を持っているのに対し、人間は天使と呼ばれる存在を信仰しており、宗教においても絶対的な距離感がある。根源的な敵同士と言っていいほどだ。もちろん、魔族が人間の領域に入り込んだ場合も生きては帰れないだろう。


 それなのにどうやって人間が魔族の領域の最深部と言っていい王都ヤザットにいるのか。

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