25 嫌われ者の独り言。
不思議なもので、いつの間にか俺はジーメオンの記憶を自在に操っていた。相変わらずここ数日の記憶にはアクセスできないが、それ以外はジーメオンのように振る舞えているだろう。孤高かつ嫌み多めのジーメオンにしては異様に丸くなったと思われてそうだが。なかなか現代日本人がジーメオンの如き唯我独尊的孤高を貫くのは難しい。
ふと思い立ったようにエイリッヒが口を開いた。
「……なんで宰相殿はそこまで嫌われている?」
嫌われている本人にド直球で聞いてきたのはたぶん酔っていたからだろう。
「……嫌われるとやりやすいんですよ」
吐き捨てるようにそう答えたがたぶん実際は違う。
ジーメオンはおよそ他人の感情など気にしない。
やりやすいもなにもなく、周りの魔族をなんとも思っていない。だがそれを説明するとドン引きされるのは間違いないので、俺はごまかすために、
「私のことはともかく、グラム城攻略についても話したいことがあります」
と言った。
エイリッヒの目がスッと細められた。
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