24 一応仕事の話もしておこう。だって経費で落とすつもりだし。
このような機会が頻繁にあるとは思えなかったので、エイリッヒとは色々な話をした。
まず自分--原口太一が考える戦争の将来像について語った。これについては、現代までの戦争の知識がある俺とエイリッヒとでは土台が異なるため、必ずしも合意を見れたわけでは無かった。
それから、ジーメオンの目的を伝えた。ジーメオンが目指していたのは人類の排斥である。人類と魔族が決して相容れない生き物である以上、決着をつけなければならない。人類と魔族とでは繁殖力に大きな差があり、時間が経てば立つほど人類は増え、戦力差は開いていくため早ければ早いほうがいい。
それらをすべて、ちゃんと目を見て、笑顔を浮かべて、真摯な態度で、話した。
すると思った以上にちゃんとした話し合いになった。エイリッヒはエイリッヒで魔族がどうあるべきかちゃんと考えていた。一方ジーメオンもちゃんと考えていた。あるところでは意見は対立し、あるところでは合意を得た。
そのおかげで、信頼されるまでは至っていないが、少なくとも敵対関係はある程度解消された、と思っていいだろう。ジーメオンが(今のところは)魔王を害する意図はなく、あくまで魔族全体の利益のために行動している事をきっちり伝えることができたはずだ。
ここから先、さらなる人間関係を構築するには時間が必要だ。
それは人類侵攻計画の中で培っていけばいい。
うん。
有意義な時間だった。
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