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ストーンダンジョン

ストーンダンジョン 可憐な少女と成長途上の少年

作者: 仲仁へび



 中堅冒険者として、ダンジョンの奥で四苦八苦していた頃の少年はいない。


 アレキサンドライト・パーティーに助けられた少年は、彼らの仲間として順調に力をつけていった。


 そんなイークスは、ある日可憐な少女を助けた。その少女は、町の中で大勢の男に追われていたからだ。


 彼女の名前は、サフィニス。美形揃いのパーティー・スターサファイアの一員、探検使いだった。

 スターサファイアではソロで活動する冒険者を雇って、自分達は援護だけを行うという活動スタイルをとっている。


 それは美を守るためだとか言うらしい。


 しかしサフィニスは、ダンジョンで冒険がしたかった。


 そのため、自分の顔に傷をつけてパーティーを抜けたのだという。

 サフィニスは、今まで顔を隠していたフードをとった。その顔には、確かに傷があった。


 しかし、スターサファイアはサフィニスを取り戻そうと動き出していた。

 スターサファイアのリーダーは、美人を侍らせることが好きな人間だったからだ。


 過去、醜い顔が理由で虐められていたその人は、美しい人間を集める事が、自分のステータスになるのだと信じて疑わなかった。


 そんなスターサファイアのリーダーは、普段は手に入りにくい薬、顔の傷を治す薬が手に入れた。

 それは別の地域にあるダンジョンの秘宝だったが、彼はサフィニスの可憐な顔を元に戻すために苦労したようだ。


 サフィニスを放っておけなかったイークスは、彼女を拠点に連れ帰った。


「僕達のパーティーにおいでよ。きっと皆良い人達だから助けになってくれる」


 追っ手をまいている間、サフィニスの戦い方を見ていたイークスには気づく事があったからだ。

 サフィニスは、成長期だった。

 様々なものを見て吸収する伸びしろが高い時期だった。

 だからおそらく、危険地帯に出る事を禁止しているスターサファイアでは、サフィニスは成長できないだろうと判断していた。


 サフィニスは、右も左も分からない初心者冒険者の頃にスターサファイアに所属してしまった事を悔いていた。

 けれど、パーティーの方針も知らずに加入したのは自分だと述べ、イークス達の元からいったん離れた。


 しかしイークスは、サフィニスを放っておけなかった。


「強くなりたくてもなれない気持ちはわかる。だから一緒に頑張ろう」


 イークスは、サフィニスを探し出して再びアレキサンドライトの拠点に迎え入れた。


 サフィニスを完全にスターサファイアから脱退させるために、公開式の決闘を申し込む事にした。


 成長したサフィニスと、スターサファイアのギルドのリーダーと戦わせて、勝った方が望む通りに行動するという条件をつけて。


 その日からサフィニスは、アレキサンドライトのメンバー達と猛特訓。


 日々、ダンジョンに潜り、実戦の経験を積み上げた。


 めきめきと力をつけた彼女は決闘へ臨む。


 最初は、初心者程度の力量しかもたなかったサフィニスだが、今では中級者の実力を身につけるまでになった。


 決闘で見事に勝利を収めたサフィニスは、無事にスターサファイアを抜ける事ができた。


「でも、もうサフィニスは自力でパーティーを抜けられたんだから、治しても良いと思うけど。本当に顔の傷を元にもどさなくていいの?」

「はい、これは私の努力の証ですから」



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