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第1話 Origin World Online

 

 未来の話だよ



 日本に黒瀬タケルって高校生がいました。



 彼は普通の高校生でした……たぶんね



 ある日、彼は魔法を使えるようになりました



 彼はその魔法を使って悪戯ばかりしてた



 だけどね、彼女に怒られたんだ



 だから 彼は人の役に立つ事に魔法を使おうって決めたんだ。



 だけどね、次第に人は魔法を使う彼を怖くなっちゃって、彼を閉じ込めたんだ。



 そしたら、それを待っていた悪い国の王様が、世界を乗っ取ろうと攻めてきたんだ。



 世界がめちゃくちゃにされちゃった……



 人は暗い世界に絶望を感じていた



 


 だけどね、まだ彼がいたんだ……


 

 


 黒瀬タケルとその仲間たちが




 これは、未来の話


 めちゃくちゃにされた世界を救った物語だよ






 黒瀬 タケルはアルバイトが終わり夜道を急ぎ足で家に帰っていた。

 

 急いで帰っているのは、最近世界中で爆発的人気を起こしているVRMMOゲーム【Origin World Online】のイベント開始時間が迫っていたからだ。


 徹夜でゲームをするためコンビニで夜食と飲み物を買っておこうと思っていた。明日からまた学校だが授業なんて真面目に受けるつもりなど全くなく、ゲームで徹夜明けの日の授業はタケルにとって睡眠時間だった。


 コンビニの明かりが見えると、駐車場が騒がしいことに気付き、その喧騒の中に見覚えのある人物を見つけた。

 


 ん?…穂花?


 コンビニの前でなにやら人が揉めている。明らかに柄の悪い3人の男がコスプレをした穂花らしき女の子に絡んでいた。


 タケルの記憶が確かなら、あの衣装はタケルが今ハマっているゲームで見たことがあった。


 「だけど、穂花はゲームなんてしないし」


 何回かゲームを誘った事があったがことごとく断られていた。だから、他人のそら似の可能性のが高いとタケルは思った。


 「あの穂花がゲーム?…しかもコスプレなんて…するとは思えないんだけど……」


 タケルは死角になる所で少し様子を見ることにした。



 「そのコスプレ可愛いねぇ、何のアニメのキャラ?」


 「オレ知ってるぜ、今人気のゲーム【Origin World Online】で着れる服だ」


 穂花らしき女の子は、キリッと鋭い視線を男達に送った。


 「急いでるのッ! 貴方達に構って時間なんて無いわ」


 「そんなこと言わないでさぁ、ちょっとだけカラオケ行こうカラオケッ!」


 行く手を遮りながら執拗に絡む不良達。


 「もうあったまきたッ!」


 穂花らしき女の子は男達の手を振りほどくと、呪文のような言葉を唱え始めた。



 【あまねく煉獄の炎を支配せし精霊に命じる、立ち塞がる敵を凪ぎ払えッ!】


 女の子は両腕を前方に伸ばし手のひらを男達の方向に向ける。



 「おいおい…マジかよ、その魔法はまさかッ!…火属性魔法の…」

 「やべぇって…」

 「死にたくねぇよぉぉぉ」

 不良達はあざけ笑う芝居で恐怖を演じて見せた。


 「【ファイヤーボール】」


 「「「うぎゃぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁ」」」


 「―――!?」


 【…ファイヤーボールッ!ファイヤーボールッ! 】


 それらしくのたうちまわる不良達に、声を荒げる少女。


 「なんで出ないのよッ!」


 少女は何度も呪文を唱え、吹き出るはずの火の玉を男達に飛ばそうと手を何度も振りおろすが、その手は空を切るばかりだった。


 「いやいや君の【ファイヤーボール】しっかり届いたぜ…俺の心は君の炎で燃え上がっちまった、さぁ今度はオレの熱いファイヤーボールを受けてもらおうかな、アハハハハハ」


 不良達は暴れる少女の腕を強引に掴むと、車に連れ込もうとした。




 


 

 次の瞬間、それを止めに入ったタケルと不良達のバトルが勃発。喧嘩の腕には多少の自信があるタケルが優勢だったが、理性を失った一人がナイフをとりだし、タケルの腹を刺した。


 「なにやってんだお前ッ!…そこまでする必要ねぇって」


 「う…うるせぇッ! コイツが邪魔するからだッ! オレの責任じゃねぇッ! 」


 不良達は慌てふためきながら車に乗り込むともうスピードでその場から逃げていった。


 辺りには騒ぎを聞き付けた野次馬の中心には血を流すタケルにゲームやアニメで言う回復魔法の【ヒール】を必死に唱える穂花がいた。



 「【ヒール】【ヒール】【ヒール】ッ!」


 タケルは薄れ行く意識のなか、懸命に回復魔法をかけている穂花の手を握ると。



 「穂花…絶対に黙っていてやる…安心しろ」


 穂花らしき女の子が大声で何か言っていたが、既に意識を失っていたタケルには聞こえていなかった。

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