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僕の隣にヤマダくん  作者: 結城太郎
僕とヤマダ君 第一部
3/30

幽霊マンション 後日談

今回のは、ヤバ過ぎた。

近所と言うこともあって、結局、4日もヤマダ君にはうちに泊まってもらったくらいだ。

この事について話せる様になったのは、もっと後になってからだった。


「あれはヤバイなー」


ちっともヤバくなさそうに、ヤマダ君が言った。

こう言うところは、少し腹立たしい。


「ヤバ過ぎだよ。僕、昼間でもあそこの前通れなくなっちゃったよ」

「マジか?でも、あそこ何もないんだけどな……」

「え?」

「いや、一応行く前に色々調べてみたんだけど、噂になってる自殺だとか心中だとかは全部嘘だよ」

「そうなの!?」

「うん。ましてや、子供関係のことなんかなにもなし」

「いやいや、でも……」

「マジマジ。新聞も虱潰しに見たし、オトモダチの不動産屋、裏稼業関係にも聞いたけどなーんもないってさ」

「だから、今まで行かなかったのか」

「いや、ちょくちょく見には行ってた」


僕は、そりゃそうか。と思った。

改めて考えれば、こんな近所に、こんなに有名な場所があるのにヤマダ君が今まで行かないはずがないのである。

連れて行かれた時も、あまりに身近にあり過ぎて、なにを今更と思っていたくらいだ。

事実、今まで僕を連れて行かなかったのは、なにもなかったからだろう。

だけど……


「じゃあ、あれなに?」

「なんだろうな?」

「ヤマダ君にもわからないの?」

「わかるわけないじゃん。俺は霊能者でもなんでもないんだから。ただ、花火やる前日に初めて見て、面白そうだから誘った」

「全然面白くないよ!面白くないよ!!」

「いや、面白かったよ。俺が見た時はあんなに出なかったもん」


僕は涙目になった。

あれがなんなのか、わからないのは怖いけれど、わかりたくもない。

出来れば、あの近所に住んでいるのも嫌なくらいだ。


「しかし、ヤバかったな……」


やっぱり、ちっともヤバくなさそうにヤマダ君は言う。


「あれ……皆でおいでおいでしてたよな」


僕が最後に見たのは、バイバイではなかったのだ。その逆。

出来れば知りたくなかった。

近いうちに、本気で引っ越そうと思った。


思うだけで、結局、引っ越さないのだけど……


「ヤマダ君。今日も泊まって行きなよ」


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