EP1 α-01
2032年4月5日
僕は今日、夢を見た。
そりゃ見るだろ、って思われるだろう。
いきなりだが僕は過去の記憶がない。
記憶が綺麗なほどに残っていない。
そんな僕が見た夢、それは過去の記憶だと思う。
見たことのない光景に、なにか懐かしさを感じた。
誰にでもあることかもしれないし、変な話前世の記憶だったりするかもしれない。
それが過去の記憶だったとしたら…。
そう考えると僕は怖くなってしまった。
だから、忘れないようにこれからのことを日記に書き記そうと思う。
今日から新年度を迎え僕は高校3年生。
未だ身長は全然伸びず、でもまあそのおかげで家族や親戚、友達には愛されてる方だと思う。
いつまでも子ども扱いされて悪いようには思わないし。
ちなみに、僕の家族は『父』『兄』『僕』の三人家族になってる。
兄は僕と同い年、義理の家族ではあるが、でもみんな察しがいいようで。
母は兄を産み、そしてこの世を去ったとか。
「ああ、ねみぃ。」
「おはよう、お兄ちゃん!」
僕の兄だ。とりあえず朝に弱い。
「あ、お前今日早いじゃないか。ご褒美にぎゅーしてやろうか?」
「朝から冗談きついわ…。」
僕の家はいつもこんな感じ、だから毎日が楽しい。
「じゃあ僕は生徒会の仕事あるし、先行くね!」
「んじゃ後から追っかけるわ」
「わかった、お父さんもお仕事頑張ってね!」
「おう、さんきゅ!お前も頑張れよ、会長!」
「恥ずかしいからやめてよもう...」
今日は始業式後に入学式があって、それで...って生徒会の仕事多すぎ!!
いやぁ、なんかそわそわする...。
家を出て30分、学校についたもののやはりこの時間は生徒1人も見当たらない。
やっぱそうですよねー。
桜も咲いて、校門には入学式の看板もあって、ここへきて3年生って実感した。
ひとまずお茶でも飲みながらみんなを待ち、打ち合わせして、始業式の時間になった。
始業式は特に何もなかったが、お気に入りの先生が他校に移ったとか。
ちょっと残念...。
「この後入学式か...。」
入学式は始まった。
新入生が続々と会場に入ってくる。
すると突然背筋が凍るような感じがした。
ただ緊張しているだけだろうか。
いや、意味がわからない。
なんで新入生が入っただけでビビってるの僕は。
…。
めまいがする……。
その時僕は倒れたらしい。
この時まで僕は、ただ記憶を失っただけの普通の学生だった。
「よく寝れたっスか?」
目が覚めたらベッドの上。
あ、僕は入学式の途中に倒れたんだっけ。
あぁ、恥ずかしい。
新入生を目の前にして倒れてしまうなんて。
「うん。僕どれくらい寝てた?」
「大体30分くらいっス。いやぁ、にしてもびっくりしたっスよ?先生がいきなり保健室にきたと思ったらかわいい男の子抱えて大騒ぎっスから!」
ああ、ここ保健室か。
「入学式サボってる俺を探しに飛びついてきたかと思ったっスよ。焦った焦った。」
入学早々サボる不良さんねぇ…。
にしてもどこかで会ったような…。
「ところで君も新入生っスか?入学式で緊張して倒れた的な?いやぁ、朝からかわいい男の子を、こう間近で、しかもベッドの上で見れるなんてもう幸せっスわ。生きてて良かった〜サボって良かった〜」
ん?ショタコンか?
というかいちいち台詞長いから、いつか「」におさまんなくなるわ、うん。
「3年A組、生徒会長だよ。」
ちょっとびっくりしたみたい。
予想通りだ。そういうリアクション好きだよ。
「A組なんスか!?優等生っスね!!体の成長が追いつかなくても脳の成長ははやいんスね!!」
え、そっちに驚く?
というかその発言、僕以外の子だったらおそらく絶望だよ。
「あ、別にバカにしてるわけじゃないっスよ?驚いただけっス!大丈夫っスよ〜いつまでたってもお嫁さんできなかったら俺がいるっスから!ね!」
あ、違う、ショタコンじゃない。
多分あれだよ、ホモ。
でもまあ嫌いじゃないね、お嫁さんできなかったら是非そうさせてもらうよ。
「ありがとう。嘘でも嬉しいよ?」
「あ、今心の中で『あ、違う、ショタコンじゃない。多分あれだよ、ホモ。』って思ったっスよね!?でも嘘じゃないっスから、俺は人間が好きなんスよ。」
うわ、まるっきり心読まれてる。
超能力かな?この世界に存在するのかな?
どういう原理で存在してるのか興味深いよ。
にしても人間が好きって...。
いや、普通の人から見れば当たり前だし、行き過ぎればただの変態…。
「ねぇ、前に会ったことってあるかな?」
「どうしたんスか?急に。」
「なんとなくどこかで…。いや、変なこと聞いてごめん。」
「俺からも質問させてもらうっス。先輩はどんなに辛い過去でも知りたいって思うっスか?」
「え...??」
さっきと同じ感覚だ。
「こんなこと急に言われて答えらんないっスよね。知らない方がいいこともあるんスよ。」
「……。」
「そんじゃ、俺は行くっス。」
きっとなにかを知っている。
一体何者なんだ。
言葉にできないほどの衝動に駆られた。
父が倒れた僕を迎えに来てくれた。
ついでに兄も一緒に。
後で先生方にお礼と謝罪をしなきゃ。
「お父さん、仕事忙しいのにわざわざごめんね。」
「謝んなよ、なんか妙に元気ないし、やっぱり体調悪いのか?」
「そんなことないよ!元気元気!」
「そっか、それなら良しだな!行きたいところあるか?」
「え?お父さん仕事は?」
「なぁに、今日はもう休みだ!いっぱい遊ぶぞー!!」
「おいおい父さん、子供じゃないんだからよぉ。」
「んじゃどこ行くか決めろよー?遊園地でもいいぜ?」
「父さん張り切りすぎだろ。んま、たまにはこういうのもいいよな。」
本当にね。父が一番張り切っちゃってる。
本当に幸せだ。
「それ、お父さんが遊園地行きたいだけでしょ?でもいいかも、僕も行きたい。」
「じゃ、俺も賛成。」
「んじゃ決定だな!!よーし、遊園地いくぞーー!!」
家族で遊園地にいくことになった。
唐突すぎるよね。
でも、こういう時間が一番幸せ。
「いつもありがとう、お父さん。」
いつまでもこんな時間が続けばよかったのにね。
「平日なのに、混んでるね...」
なぜか家族で遊園地に行くことになった。
にしても混んでる...。
「まずはどれから遊ぶんだ!?」
父さんが一番張り切ってる...。
「俺はジェットコースター!!」
「僕はみんなが乗りたいやつでいいよ。」
どれがいいと言われてもわからない。
実は初めての遊園地なんだ。
「んじゃジェットコースターで決定な!」
はいはいどうぞ御勝手に...。
気分が乗らない。初めて見た。
無理、怖い、あれ絶対勢いで飛ぶって!!
「なんだ?怖いのか??」
「少し...ね?少し怖いだけだよ?」
「びびんなって、こんなん怖くもなんともねぇよ?」
それでいざ乗ると...。
「あああああ無理無理止めて!止めて!」
とか言う兄と父。
「結構楽しいね!ジェットコースター!もう一回乗ろ!」
「いや、無理、さすがに限界...」
「まあほら、まだ色々あるし、ほか回ろうぜ?」
「はぁい。」
んでまぁ、今日一日いろいろ遊びつくした。
帰る前に観覧車に乗ろう!ってことになって今乗ってる最中なわけで...。
とにかく高い!このいつ落ちるかわかんないスリルいいね!
と思いつつかなり上へ上がっていく。
「思ったより高いんだね。」
「あ、あぁ、そうだな...た、高いな。」
父さん高所恐怖症だったっけ...。
僕は街を見渡す。
「やっぱりこの街って広いよね。」
「やっぱりって...お前この街見渡したことはあるのか?」
「え?ないけど...。」
「蓮、高校3年生にもなってお前はあまり遠くに行ったことないだろ?」
「確かにそうかも...。」
「勉強は十分だろ?こうやって少しは遊びに行ったりしないと、高校生活も楽しめないぞ?」
「そうなのかな。」
「そうだ、残り1年しかない。だから自分の時間を作るべきだ。」
「うん、ありがとお父さん。」
「でもまあ、無理にとは言わないさ...。」
確かに、学校の帰りに喫茶店寄ったりくらいだし、そう考えると自分の世界って狭く思う。
そんな話をして、改めて見渡す。
やっぱり、この街は広い。
───あの頃と変わらない。
──覚えてないんだよな...。
やっと見つけたんだ、お前のこと。
何年も、何十年も、何百年もかけて見つけたんだ。
助けたつもりだったんだよ...。
でも何も覚えていなかった。
あの日俺らと出会ったこと、やんちゃしてみんなで怒られたこと。
そして、
俺らがXXXたあの日のこと───