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残念美少女ツブテ  作者: 空知音
25/58

第24話 残念〇少女、魔人と出会う

「ふふふふ、はははは、あははははは」


 笑い声は続いている。

 どうやら、通路の奥に誰かいるらしい。

 天井の灯りに照らされた通路を、奥へ奥へと進んだ。 

 

 この階は、それまでと違い通路脇に部屋がない。

 まっ直ぐ伸びた通路の行きどまりに、大きな扉があった。

 両開きの扉には、取っ手が二つ付いている。


 それを握り、手前に引いた。

 しかし、扉はびくともしない。

 笑い声は中から聞こえる。


 声を掛けてみることにした。


 コンコン


「誰か入ってますか~?」


 ポチ(かに)たち『『『おトイレかいっ!』』』

  

「おや、さっそく一人目の獲物が来たようだな」


 部屋の扉が内側へ、ぎぎぎぎと開く。

 薄暗い室内にいたのは、スラリとした金髪の若者だった。


「こんにちはー」


「ふふふ、お前は誰だ?」


「人に会ったら、挨拶しろよ」


「えっ? 

 そうなの?

 こ、こんにちは」


 魔人は、生まれて初めて挨拶をした。  


「それから、名前を尋ねるなら自分から名乗れ」


「えっ?

 そうなの?

 私は最終兵器ドドンパだ」


 若者は片手を胸に当て、もう片方の手でV字を作ると、それを右目に当てた。


「げっ!

 あんた中二病か」


「えっ?

 私は病気にかかってるのか?」


「ああ、しかもその黒づくめの格好、赤いシャツ、これはもう終わってるな」


「お、終わってる?」


「ああ、もう救いようがないってことだよ」


「えっ!?

 ボク、死んじゃうの?」


「まあ、死んだほうがいいな」


「せっかく自由になれたばかりなのに、病気で死ぬなんてひどいよ!」


「だが、その病に治療法はないのだよ」


「そ、そんなあ」


 ドドンパは、両手両膝を床に着いた。


「だが、まあ、絶対に回復不可能というものでもないぞ」


「えっ?

 どうやるの?

 教えてっ!」


「かくいう私もだな、その病にかかったことがあるのだ」


 ポチ(カニ)たち『『『やっぱり!』』』


「ほ、本当!?

 ねえ、どうやって治ったの?」


「うぬ、それは一口では言えぬな」


「教えてくれなきゃ、ボク死んじゃうっ!」


「安心しろ。

 その病にかかっても、すぐに死にはせん。

 ただ、じわじわと痛いことが増えてくるのだ」


「えっ!?

 痛いの?

 やだなあ」


「さっきのお前のポーズ、あれもかなり痛かったぞ」


「そ、そうなの?

 夢中で痛みに気づかなかったよ」


「そんなこともある」


「お姉ちゃん、何ていう名前?」


「私か?

 私はツブテだ」


 私は膝を少し曲げると、身体を斜めにしドドンパを指さした。


 ポチ(カニ)たち『『『中二病治ってないやん! いや、むしろ、ジョ〇ョ!』』』


「お姉ちゃん、ボクの病気を治してくれる?」


「いいだろう。

 経験者として、いろいろアドバイスしてやろう」


「ありがとう!」


「しかし、ドドンパは呼びにくい。

 お前は、今この時からドンだ。

 壁ドンのドンだ」


 ポチ(カニ)たち『『『何て可哀そうな!』』』

 

「わーい、嬉しいなあ。

 お姉ちゃん、よろしくね」


「おう、任せとけ」


 私は自分の胸をドンと叩いた。


 ポチ(カニ)たち『『『漢だっ!』』』


 こうして、私はドンと知りあった。

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