第19話 残念〇少女 お宝を手に入れる
巨大ゴリラは、ダンジョンのボスだったらしい。
猿とのいちゃいちゃが終わった後、私の前に宝箱を持ってきた。
宝箱には、ヌイグルミと見せかけてバッグという変なものも入っていた。
それにお宝を詰めこんだんだけど、なぜか金貨や宝石、剣や盾を全部入れても一杯にならない。
「ツブテは、不思議なカバンを手に入れた、ジャ~ン!」
ちょっと嬉しくなってしまった。
ヌイグルミバッグを背負った私が部屋を去ろうとすると、抱きあった猿とゴリラがこちらに手を振っていた。
降りてきた道は、あまり覚えていなかったが、途中出てくるモンスターが弱いヤツばかりなので、倒しては魔石を拾うを繰りかえし、一時間ほどで地上に出ることができた。
何か忘れているような気がするが、まあいっか。
私は、ギルドに向かった。
◇
ギルドに帰ってきた私は、ギルマスのトリーシュさんからお叱りを受けていた。
個室でのマンツーマン指導だ。
「あそこのダンジョンは、銀ランク以上しか入れない。
どうして、そんな無茶をしたんだ」
ヨレヨレになってギルドにたどり着いたヌンチが、色々報告したらしい。
彼の事、すっかり忘れてたわ。
「はい、ごめんなさい」
「で、何層まで降りたんだ?」
「え?
一番下だと思います」
「おいおい、冗談はよせ。
あのダンジョンの下層は、まだ未攻略だぞ」
「えーっと、ちっさいお猿とでっかいゴリラが出ました」
「ゴリラ?
どのくらいいの大きさだ?」
「背の高さは、大人二人分くらいありましたよ」
「おいおい、もしかして、ジャイアントコングじゃないのか?」
「いえ、私に聞かれても」
「こりゃ、えれえことになったな。
ところで、最後にお宝が出なかったか?」
「ああ、コングちゃん?
彼女が、宝箱を持ってきましたよ」
「おおっ!
じゃ、やっぱり、ダンジョンボス倒してるみてえだな。
あー、宝の中身についちゃ、聞かないのがルールなんだが、差支えないなら何か一つ見せてもらえるか?」
「えーっと、このバッグがありました」
私は、ソファーの横に置いたバッグをテーブルの上に載せた。
「なんだこりゃ?
ゴリラのヌイグルミみてえだな」
「ちゃんとバッグになってるんですよ。
この口の所からモノを出し入れするんです」
私は、バッグに手を突っこむと、鞘入りの剣を取りだした。
「ゲッ!
おいおい、なんだそりゃ!
マジックバッグじゃねえか!」
「マジックバッグ?」
「ああ、滅多に手に入らねえお宝だ。
見た目より大きなものが入るようになってる」
「へえ、そうなんですか」
「絶対、人に気づかれないようにしろ。
べらぼうに高価なもんだから、いざこざの種になるぞ」
「分かりました」
「しかし、この剣も並のもんじゃねえ。
おい、ギルドで内密に鑑定にまわしてもいいか?」
「カンテイですか?」
「ああ、品物の性能や機能を調べることができるんだ」
「……あっ、それなら、スキルも鑑定できますか?」
「スキル鑑定か。
つまり、詳しく自分のスキルの事が知りてえんだな?」
「はい」
「じゃあ、ここや教会じゃ、無理だな。
鑑定スキルもってる奴に頼まないと」
「そんな人がいるんですか」
「ああ、非常に珍しいスキルだから、鑑定を頼むと高くつくけどな」
「ぜひ、紹介してください!」
「だけどおめえ、鑑定代払えるのか?
最低でも金貨一枚は取られるぞ」
「ええ、フォレストタイガーでもらったのが、まだ残って……。
あっ、そうだ。
宝箱には、お金も入ってました」
私は、ゴリラバッグに手を突っこみ、金貨を一つかみ取りだした。
それを、ジャラリとテーブルに置く。
「ん?
おい、見たことのねえ金貨だな。
いや、もしかすると、あれか?
そんなこたあ、さすがにねえか」
トリーシュさんが、なにかブツブツ言っている。
「とにかく、金があるんなら頼んどいてやるよ」
「ありがとう」
こうして私は、自分のスキルとダンジョンで手に入れたお宝を鑑定してもらうことになった。
ツブテ「作者! いい加減、題を『残念〇少女』から『残念美少女』に戻そうよ」
作者「えっ!? でもまだ太っ……てててて! ギブ、ギブアップ!」
ツブテ「くぅ、今に見てろ! 元の体形に戻ってみせる!」
ポチ(カニ)『元の体型にねえ……』(カニの目)




