第2日常系
朝食を食べた後は、2人で協力して洗濯物を干す。学校へ行く支度をするのはそれからだ。
だが、そこで1つ問題がある。それは準備の速さだ。綴維は準備を終わらせるのが早い。だがその一方で、月羽芽の準備にかかる時間はとても長いのだ。綴維はそれが嫌で嫌でしょうがない。なぜなら、朝はあの人が来るから。あの人がいくら特別な人だからといって、姉が準備する際のだらしない姿を見せたくないのだ。だから綴維は姉を急かす。今日もいつも通りの時間なので間に合うはずだと信じて。だが、今日はそれが実現することはなかった。なぜなら・・・
ピーンポーン!と百木家のインターホンの音が鳴った。それが意味することはただ一つ。あの人が今日に限って早く来てしまった。
(ああ、失態だわ・・・今日に限って早く来るなんて、こんなことならもっと急がせばよかった・・・)
とはいえ、あの人を家の前で待たせるわけにはいかない。綴維は玄関に行き、鍵を開ける。そして、玄関の扉を開けた。そこにいたのは、
「おはよう 、つづちゃん。」
「おはよー、翔にい。」
幼馴染の、烏野翔也だ。
翔也の家は百木家の近くにあるため、子供の頃からずっと一緒だった。また、家族ぐるみでの付き合いもあるので、百木家母は、
『私がいないときに、家に男を連れ込まないこと!ただし、翔也君は別。』
という言葉を残したりしている。
さて、容姿端麗、眉目秀麗、成績優秀、と、俗に言うイケメンと言う人種である翔也だが、2つほど問題がある。それは、
「しょーうく〜ん!会いたかったよ〜!」
綴維「サッ」
「ちょっ!つづちゃん!避けないでってうわ!」
「しょうくん〜!会いたかったよ〜!(スリスリ)」
「おい!月羽芽!やめろ!はーなーれーろー!ちょ!つづちゃん絶望してないで止めて!ああもう。ん?おい、てか月羽芽!お前準備まだ終わってないじゃん!だからつづちゃんが絶望してたのか。」
「え〜?そんな些細なこと〜「どこがだ!」はいは〜い。着替えて来るよ〜。」
「はあ、どうして俺はいつも「あ、忘れてた〜!チュッ!」!!あ、あいつは!まったくもう!」
ここまでの内容を見ればわかるように、烏野翔也は苦労人である。そして、もう1つ。
「いくら彼女だからとはいえ、いきなり抱きつかないで欲しいんだけどなぁ・・・」
そう。彼、烏野翔也は百木月羽芽の彼氏なのである!
苦労人彼氏なら・・・イケメンでも許せるかな?