お願いの返事は
俺は人に頭を下げられたことが無いため、びっくりしてしまった。と、いうよりも感心してしまった。俺は今まで何かに夢中になったり思い入れがあるような事が無かったからだ。いつの間にか気付いたら返事をしていた。アネスはまさか承諾してくれるとは思っていなかったみたいで驚いたような間抜けな顔をしている。
「本当にいいのかい?直してくれるのかい?」
「あぁ。そっちの世界に行っても目的何て無くぼーっと過ごすよりかは目的があった方が良いに決まっている。」
その瞬間アネスは俺に飛びついてきて「ありがとう」と、何回も繰り返した。
「アネスフィアには僕が作っておいた身体がある。そこに君の魂をいれるね。あと近くに魔方陣があると思うんだ。呪文を唱えれば僕の使い魔を呼べるようになっているよ。アネスフィアについてとてもよく知っているから彼に案内してもらえばいい。」
アネスはこれからの事を大体説明し終わった後に心配そうに「本当にいいのかい?」と、聞いてきた。肯定の意を示す為、頷くとアネスは目に涙を浮かべながら「本当にありがとう」と、言った。
「アネスフィアに行く準備が整ったよ。君には感謝してもしきれないよ。」
「いや、礼を言うのはこっちの方だ。目標を作ってくれたんだ。きっとアネスフィアを元の様に戻してみせる。」
アネスが安心した様に笑ったのを見届けたあと、俺の意識は闇に沈んだ。
「頑張ってね。アネスフィアを頼むよ。」
アネスが呟いた言葉は彼に届いたのだろうか。