番外編8 山城基地医療局局長室の会話記録
番外編です。
HC3017 5月31日
記録開始
「失礼します…ガサイ先生?」
「…ラビラトスか。どうした?」
「ジョナス料理長からの差し入れです…長丁場になるだろうって」
「…相変わらずだな。あの人は」
「先生…朽木君の容態はどうなんです」
「厳しいな…体中に呪いが回っている」
「呪い?」
「ああ。それもかなり高度なものらしい」
「効果は?」
「不明だ。ただ、間違いなく掛けられた者に悪影響を及ぼすものらしい」
「そうですか…体の傷は?」
「破片が213個、一応全部摘出したが…」
「どうしたんですか?」
「…切断されていた筈の両足と左腕が再生している」
「再生!?」
「ああ…もっとも、その腕にも多くの傷があったが」
「右目はどうだったんですか?」
「右目は…再生していなかった。それどころか、前より酷くなっている」
「そうですか…」
「…ラビラトス。一つ、聞きたい事がある」
「なんですか?」
「朽木は、何か自分について言っていたか?」
「…いえ、全然。ただ自分は魔力を研究していただとか友達に裏切られたとか、そういう話をしていました」
「そうか…」
「ガサイ先生…本当に助かるんでしょうか?」
「助かる」
「…えッ?」
「助かる、といっている。あいつは20年前のあの南極事件から生き残った奴だぞ。この程度の怪我、どうとでもなるだろう」
「そうですか…」
「だが、しかし危険な状態であるのは間違いない。対処を誤ってはならない」
「僕も手伝います!!」
「ああ、頼む」
「では僕はこれで…友達に状況を報告しなければ」
「ああ、では後で」
「失礼しました」
「……もっとも、なんであの状態で生きているのか、まったく分からないのだが」
記録終了
番外編、いかがでしたか。
第34話は現在執筆中です。が、あまり時間が無く、思うように進んでいません。
この物語を読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました。