第12話 古城荘(後)
遅くなりました。
第十二話です。
俺は五秒前から記憶を再生させる。
別館から出てきた三番目が、丁寧にドアをしめ、階段を降り、地面に足をつけた瞬間、予め掘ってあったと思われる落とし穴に落ちた。
見事なボッシュートである。
(百点満点です)
現在時刻、2時7分
バイト終了まで、残り3時間53分
俺は地下倉庫のカメラを選択する。
あの二人は相変わらずエロ本を読んでいた。
13番のカメラには変化なし。
落ちた三番目はに落ちた穴から抜け出そうと必死にもがいてる。
(まったく何がどうなっているのやら)
もしかしなくても、日給が一万Gなのはこのためか?
「そうなんだろうな・・・」
完全に嵌められた。というか油断した。
まあ、受けた以上、最後までやるしかないか。
「・・・にしても腹減ったな」
バイト終了までまだかなり時間がある。
すこし早いが、夜食と行こう。
俺はリュックから納豆と割った卵、それらをご飯の入ったパックに入れ、かき混ぜる。
醤油を少々いれ、
「いただきます」
食べる。
「・・・うまい」
やはり夜の納豆は格別だ。
俺は残りを口の中に突っ込み、夜食を食べ終わった。
と、同時に、それを見計らったようなタイミングで端末が鳴った。通信。
「非通知設定?」
俺は『通話』の表示を押した。
『もしもーし、聞こえてる?』
知っている声だった。
「・・・ライター、何の用だ」
ライター。
黒服、サングラス。超要注意人物。何かやばい。
細心の注意が必要。掴みどころが無い
冗談じゃなく割とマジで。
こいつはヤバイ。
『酷い事言うねえ。まだ知り合ったばっかりじゃないか』
「お前が明らかに黒幕的な立場にいることはバレバレなんだよ」
先日、メルト戦後、病室で会った時から確信している。
こいつ黒幕だ。
『人を見た目や雰囲気で判断するなんて。それは君が嫌いなことの一つじゃないか』
「見た目や雰囲気で判断してお前が黒幕だとは言ってない。直感だよ。それに」
俺は言ってやった。
「何故俺が『見た目や雰囲気で判断するのが嫌い』と分かった? 俺は今までその事については誰にも言ってない」
『『その事については』ではなく、『どんな事も』の間違いでしょ。ああでも、茜君には言ってるんだっけ?』
「ああ。そしてその事を知っているお前は黒幕だ」
『そうだよ、で、それが何か問題?』
あっさり認めやがった。
というか今のセリフ、ちょっとお手伝い(誤射)することで有名な『主任』入っていたぞおい。
こいつもミグラントか。
「まあいい。で、用件は?」
『いきなりそれ聞く? まあいいけど』
ライターは言った。
『君に物語を書いて欲しい』
「・・・どういうことだ?」
『どうもこうもそのままの意味さ、君に物語を書いて欲しい』
「・・・・・」
頭の中のネタ帳を調べる。
現在進行形の企画、ゼロ。
「ネタが無い」
『無くていいんだよ。書いてもらいたいのはどちらかというと自伝だから』
「自伝? なんでそんなものを? というか」
いや、それ以前に、
「俺が書くと下手な文章になるけど」
『いいんだよ。なぜならこれは、君が書くことに意味がある』
俺が書くことに意味がある?
「・・・そのままの意味か?」
『そのままの意味だよ。まあ、ぶっちゃけ僕にとってはデータだけどね』
「何のためだ」
『僕が言うとでも?』
言わないだろうな。
『大丈夫大丈夫、君の文章力で十分だ』
「・・・・・分かった、考えとくよ」
この場で決めることはやめておこう。
即断即決はいい事だが、この場合においては正しくない。
『そうか。分かった。じゃあ次連絡する時にまでには決めといてね』
「何時だよそれ」
『僕の気の向いたときに』
「さいですか」
なるべく早く決めよう。
『じゃあまた・・・そうだ光男君』
ライターは言った。
『壁』
「壁?」
後ろの壁を見る。見たところ何も無い。
『よく探してみれば気づくはずだ。それでは』
何を気づくのか聞きたかったが、その前に電話が切れた。
しかし、
「壁をよく探す?」
探してみる。
「・・・・・?」
三回ほど壁を検分して、おかしい点が見つけた。それは、
(・・・ここだけ壁の色が違う?)
俺がさっきまで座っていた椅子の真後ろ。
よく見なければ分からないが、周りの色と違う。ていうかこの形、
「扉?」
押してみる。
すると、壁が開いた。扉のように。
中は暗い。用心して右手で拳銃を構えつつ、左手でライトを点ける。そこにあったのは、
「部屋?」
約4メートル四方の部屋
中には本やら武器やら、様々な物が置いてあった。槍、本、甲冑、火縄銃らしきもの、などなど、というかガラクタ。
だがその中で壊れた本棚に置いてあるファイルが目に留まった。
というか、なんでこんな所に隠し部屋があるのだろうか、明らかに武器らしきものも置いてあるし、
だが、その疑問はファイルの題名を見たことによって解消された。そこには、
「『戦略機動隊山城駐屯地警備記録』?」
『山城駐屯地』どっかで聞いたことがある単語だ。
ファイルを書いたのは三八十(どう読むかは分からない)と言うらしい。
彼は戦略機動隊の情報収集係だったらしい。しかし、注目すべきはファイルが書かれた年だ。それは、
「24年前!?」
つまりは聖暦2993年、戦略機動隊が発足した年。それで思い出す。
「そうか、ここが山城駐屯地だったのか・・・」
聞いたことがある。戦略機動隊は当初、今以上に人が居なくて、そのメンバーは僅か百人程だったと言う。
その時、古城を再利用して、本拠地にしていた時期があったらしい。それが『山城駐屯地』だ。
(どうりで設備が整っている訳だ・・・)
もっとも、その時にはすでに今ある山城基地の建設計画はあったらしく、使用していたのは約一年ぐらい。
山城基地の仮完成(仮完成と言うのは、その時出来ていたのはAプラントだけだから)と共に、山城駐屯地は放棄されたと聞いたが、
「まさかアパートになっているとはな」
でもその放棄の際、一部研究資料を置き忘れたとか何とかで、大騒ぎになったことがあるらしい。
そして今も見つかっていない。
(探したらあるかもな・・・)
興味が沸いた。
一度カメラで状況を確認。
例の二人はエロ本、残りのヤツは相変わらず落とし穴に落ちたまま。
というかだれだよあれ掘った奴。まあいい、時間はある。
俺は首を鳴らし、ガラクタに手を突っ込んだ。
「・・・あった!!」
これだろう。
紐でくくられた紙の束。
表紙には『旧セタルス城(現山城駐屯地)についての報告』宛先はレオス総司令、発信者はさっきの三八十と言う人らしい。
「この城について書かれているのか?」
まあ確かに重要と言えば重要だな。
俺は表紙をめくり、読む。
旧セタルス城(現山城駐屯地)についての報告
発 戦略機動隊情報収集係 三八十
宛 戦略機動隊総司令 レオス・オブライエン
総司令が前々から言っていたこの古城について、調査で分かった事を報告します。
まずこの城の名前ですが、『セタルス城』と言うそうです。
できたのは第二次神魔大戦後と思われます。城にあった本や、レリーフからの推測ですが、ここにいたのは吸血鬼の貴族、名前は不明です。で、問題はここなのですが、どうもこの貴族、旧アルマニアの魔帝派だったようです。アルマニア帝国はご存知の通り、200年ほど前の第二次神魔大戦で崩壊し、旧アルマニアの大部分、穏健派は旧アルマニアの魔帝直轄領にそのまま住みました。しかし、一部の魔帝に忠誠を誓っていた者たちが、魔帝の復活を掲げ、世界の表舞台から消えました。それが魔帝派です。もっとも、こんな所にいたとは正直私も驚きでした。
そしてそれを裏付ける証拠も発見しました。
詳しくは、写真をご覧ください。
写真は別館の地下、先日の爆発騒ぎの際、格納庫の下から偶然発見された部屋で、地下墓地と思われます。注目していただきたいのは
棺桶のレリーフ。これは『血の刻印』と言われ、魔帝の印でもあるこれは、魔帝派の紋章でもあります。
更にこの部屋で魔帝の肖像画も発見しました。魔帝派と見て間違いないでしょう。
他に何か分かり次第、報告します。
以上
追記
一応、近くに地脈があるので、怪異対策としてエルメス班長と共同で、護符的な奴を貼っときました。剥がさないでください。
効力は大体20年程続くとの事。
そこで報告は終わっていた。
残りの紙は写真だった。そこには、成程、棺桶が沢山写っている。
ていうか13番カメラと全く同じところだ。
「じゃあ13番カメラは別館の下を写しているのか」
これはいい情報だ。役に立つ。しかしアルマニアの魔帝派というのは気になる。
(そういやうち(戦略機動隊)のアルトリカ大隊が旧アルマニア出身って言っていたな)
何か関係があるのだろうか。それに、ここに住んでいたのが吸血鬼の貴族というのも、俺の興味を引く。
吸血鬼は魔術師の世界でも特殊な存在だ。
第一、吸血鬼は基本的に高齢かつ少数であり、己の僕である眷属を作りたがらないからだ。
何よりその起源があまり分かっていない。
吸血鬼は血を吸って眷属を作り、仲間を増やしていく。それの元を辿っていけば、一応最初の吸血鬼たる『真祖』がいる筈なのだが、
見つかっていない。もっとも、英国やバチカン辺りはもうその所在を確認していると言われていたが。この世界でも吸血鬼は希少な存在なのだろうか、暇があったら調べておこう。
「・・・・・というか今何時だ?」
随分長い時間やってた気がするが、端末を見る。
4時55分だった。
(バイト終了まで後1時間5分!?)
しまったやりすぎた。完全にバイトの事を忘れていた。
取り敢えず色々と散らかしたものを、いや、元から散らかってるいるからいいのか?じゃあこのまま扉閉めようか。使っているとは思えない。
「・・・?」
ガラクタの中、さっきまで気づかなかったが金庫的な何かが置いてあった。
「古いな」
錆付いている。力を入れれば開けられるかもしれない。
そう思い俺は、まず『ブラウン管テレビの不具合』に対する適切かつ迅速な対応をすべきだと判断し、その金庫に行った。
即ち、
「チャージアタック!!!」
俺は金庫に対してチョップした。コツは斜め45度に当てることだ。これでだめだったら電気屋に持っていく(尚、この技は高度に訓練
された人が出来る技で、普通の人がやったら普通に腕の骨を折るか、テレビが壊れるので絶対にマネしないでください)
結果。
開いた。
(どんだけ錆付いてたんだよ・・・)
中は意外と奥行きがあり、そこに長方形の鉄の箱があった。俺はトラップの類を警戒しつつ、外に出す。意外と軽い。
(中に何が入っているんだ?)
この長さだと、散弾銃か、それとも槍か、違った。
金具を外してみると、
「日本刀?」
二本、いや二振りと言うのか、大太刀らしきものと小太刀らしきものがセットで入っていた。
鞘は漆塗りらしい。刀の長さ、刀文もいたって標準的と、普通の刀・・・では無かった。
二つ、明らかに通常の刀とは違う点があった。それは、
「反りが無い?」
真っ直ぐだ。日本刀は刀身が反っている。しかし、これは反っていない。
真っ直ぐだ。そして、
「軽い?」
軽い、というか軽すぎる。刀にしては軽すぎる。
(何を使って鍛えたんだろコレ)
帰ってからエルメス局長に見つけた資料と一緒に調べてもらおうと思い、刀を鞘に納め、箱に戻し、警備室に向かって振り向こうとした時、
端末が鳴った。
オールからだった。
『光男君・・・起きてたら・・・応答して・・・くれない・・・かな?』
「起きていなかったら通信に出られる訳無いだろ。というか大丈夫かお前」
明らかに疲れている。
『大丈夫・・・問題・・・な・・・いぽぢォ塩ds義色居cfは居お子vwp意iwcivoiwぴヴィぴpvwピアpwp氏ふぇjh』
「全ッ然大丈夫じゃ無かったあああああ!!!」
誰か!! お客様の中に医者はいませんか!?
『大丈夫だよ光男君・・・キガ ツク トワ タシ ハバ イド ニナ ツテ イタ』
「バイド化!?」
まあ冗談はそれくらいにして、
「お前、凄く疲れているようだけど、どうしたんだ?」
『宿題を終わったと思ったらやる所を間違えてたんだ。それで色々とバタバタしていたんだ』
「あるよなそれ」
まあ俺の場合、やる所を間違えるよりも、そもそも宿題の存在を頭の中から消し去ってしまう事の方が多い
そして休み時間中に慌ててやるまでがテンプレだ。
『まあでも、なんとか出来たよ。そっちは』
「うん、何の異常も無いよ」
多分。
『そう・・・そうだ、全然脈絡の無い話なんだけど』
「ん。なんだ?」
オールは言った
「光男君の夢は何?」
『いや、別に答えなくていいんだよ? ただの思いつきだから』
「・・・夢」
夢か、
「どうなんだろうな・・・俺にもわからない」
『分からないって?』
「多分あったと思うんだ・・・でもそれが何なのか、俺には分からない」
俺はそう言った。
「そういうお前は」
『僕も光男君と似たような感じだよ。僕も分からないよ・・・ああごめん、こんなこと聞いちゃって』
「いいよ別に、そうだ、お前、もう一度宿題を確認しとけよ、二度あることは三度あるとも言うしな」
『分かった。そうするよ・・・そう言えば光男君』
「何だ?」
『さっき僕の部屋の前で足音を聞いたけど・・・光男君?』
俺はとっさに振り返った。
いた。
警備室の窓の向こうに、仮面をつけた何かが居た。そしてその目は、
赤かった。
俺はまず始めに、事を対処してから後悔しようと思った。
鉄の箱を開け、長太刀を引き抜いた。
瞬間、ドアが吹っ飛ばされた。
(右・・・フェイントだ!!)
窓ガラスを突き破って、こちらを見ていた一体が襲ってきた。
それをおれは、日本刀ではあまりよろしくない突きで対処する。
刀の柄の頭を、右手で体重を掛けて、
(左手は添えるだけッ!!)
当たった。
仮面を突き破り、頭部を貫通した。
そのまま後ろ、ドアから突っ込んできた奴に突っ込む。
「オオオオオオオオッ!!!」
刀は二番目の胸に突き刺さり、そして俺はそのまま机に向けて体ごと突っ込む。何も置いて無かったのが幸いした。
俺は刀を机に突き刺した。
(あんまりうれしくない串焼きだな)
などと冗談を言っている暇は無い。俺はカメラを見る。
「うわあ」
13番カメラに写っている棺桶は全て開いていた。してやられた。
カメラを見て、敵を確認。
「合計10体、2階に2体、3階に2体、4階に1体、一階には・・・2体か」
あれ、残り3体はどこ行った?
(玄関か!!)
俺は刀を引き抜く、血がべっとりついているが気にしない。気にしたら負けだ。
小太刀を取り、エントランスに陣取る。
目線は玄関、だが周りにも注意する。
(どこから来る?)
2階から音が聞こえた。来てる。同時、玄関のドアに人影、もっとも人ではないだろうが。
俺は小太刀も引き抜いた。二刀流だ。
右手に大太刀、左手に小太刀。
(これで大丈夫な筈・・・!?)
音が聞こえた。
何かが這いずる音。
だがその方向は、
左後ろ。
今来た方向。
「警備室か!!!」
遅かった。
左後ろ、警備室から何かがこっちに突っ込んでくる。
だがそちらを見ない。
手を動かす。
左手、小太刀。
左手を思いっきり後ろに振る。
振った。
感触が無い。
(外したか!?)
俺は頭を左後ろに向ける。
いなかった。
「・・・・・へ?」
俺は後ろを向く、
玄関に人影は無い。
「へ?」
2階からの音も無い。
「へ?」
俺は警戒しつつ、警備室に入る。
「へ?」
無かった。
ついさっき、串刺しにした奴が、いない。
カメラを見る
「・・・・・居ない?」
13番カメラを見る、棺桶はすべて閉まっていた。
「・・・どういうことだ?」
時刻は5時1分
何も無い。
「どうなってんだ・・・」
ふと、玄関のドアを見る。ドアの窓から、日光が出てた。
日の出だ。
日の出、
ロザリオ、
日の出、
十字架、
日の出、
「吸血鬼」
俺は、何も無かったかのように、机の上を片付ける。刀に血は付いていない。そのまま鞘にいれ、大太刀小太刀、どちらも鉄の箱にいれて。
金具を掛ける。
俺はそのまま椅子に座って、ぼうっとする。でも一応、万が一に備え、もういちどカメラを見る。
1番、2番、3番、4番、5番、6番、7番、8番、9番、10番、11番、12番、
13番。
暗闇。
二つの白点、
違う。
これは、
目だ。
「×××××××××××××××××!!!!!」
雪が積もっていた。
目の前には、大きな門がある。
日本家屋だ。
「お前は要らない」
寒い。
寒い。
寒い。
「お前には失望した。まあ、元より期待などしていなかったがな」
冷たい。
冷たい。
冷たい。
「お前は、失格だ」
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
「出て行け」
Must not
you must not forget
bokuwa kokoni iruyo
眠い。
非常に眠い。
まあ、バイトやってたし、しょうがないか。
「寝てたの間違いじゃないの」
「途中で寝落ちしたんだよッ!!」
そしてオールが起こしてくれなければそのまま爆睡してただろう。
4月20日 7時15分 山城基地 第一食堂。
俺達は朝食を摂っていた。
「で、その話本当? 仮面つけた亡霊が現れたって」
「ああ」
あの雰囲気に一番近いのは亡霊だ。
「光男君の夢じゃなくて?」
「ああ、本当だ」
もっとも、なんか違っているんだよなあ。
「ああ、朽木研究員」
見れば、そこにエルメス局長が居た。朝食らしい。
「どうした、そんな眠そうな顔して。例のバイトか?」
「おっしゃるとおりです」
「おいおいまさかずっと起きていたんじゃないだろうな?」
「そうですよ。そうじゃなきゃ警備してることにならないでしょうに・・・」
「だからと言って・・・仕事熱心だなあ君は、睡眠はしっかり取れよ」
「分かりました・・・ああそうだ。なんであそこが山城駐屯地だって教えてくれなかったんですか」
「聞かれなかったからだ」
ですよね。
「もう大変だったんですよ・・・亡霊の対処に、死ぬかと思いました。ええ」
そういや、研究資料と日本刀についてまだ言ってなかったなと思い、その旨をエルメス局長に言おうと・・・しなかった。
エルメス局長が、震えている。ガタガタと、震えていた。
真っ青な顔をして、エルメス局長は聞いてきた。
「朽木研究員・・・その亡霊、どんなのだった?」
「ええと」
俺は言った。
「なんか貴族風の服来た奴で、仮面をしていて、赤い目をしてました」
その時、派手な音が聞こえた。見れば、
レオス総司令が、顔面蒼白で、白目を向いて、ぶっ倒れていた。
その向こう、ジョナス料理長が、その動きを止めて、こっちを見ていた。だが、明らかに震えていた。
周囲を見れば、明らかに恐怖で固まっている人が何人か居た。
その中、メアリー副司令は平然と、
クリームシチューを食べていた。
第十二話、いかがでしたか。
ホラー要素をがんばったつもりです。
この物語を見てくださった読者の皆様、ありがとうございました。