第1章1話
そこは一面の花畑だった。蝶がヒラヒラ舞い、小川が緩やかに流れていた。そんな時だ、声が聞こえた。そんな気がした。
「あなたが知りたいことを知っています」
女性の声……だれ……?
「知りたければ精進しなさい」
そこで俺は夢から覚めた。
「こ……ここは?」
「ここはIESP対策仙台支部。その仮眠室だ。佐藤太郎君」
「あの……」
「すまないが質問は後にしてもらう。今から君は検査を受けなければならない」
スーツを着込んだ偉そうな人が研究員らしき人と小声で何か話す。
「やぁ、太郎君初めまして。私のことは拓真と呼んでくれ。さっそくだけどこれ着て私についてきてくれ」
渡されたジャージに袖を通す。
「それじゃ行こうか」
拓真さんの後についていく。廊下の壁は緑で統一されており、遠くまで鮮明に見える気がする。右に左に下へと進み拓真さんは止まった。ドアを開けて
「さぁ、入って」
いわれるがままに中に入る。そこで俺は再会した。
「佳奈ちゃん!」
姿を見たとき既に俺は走り出していた。そした抱きしめた。
「か……かなぁ…かなあぅぅ会い…たかったぁ」
「うん……うん。」
―――10分後―――
落ち着いた俺たちは拓真の説明を受け検査に臨んだ。
「ここだよ」