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お母さんとちびふくろう

水月らしくないってゆーの禁止(T_T)

 黒猫は今日も空を飛び続けます。

 流れ星に願って手に入れた心の翼は、黒猫をどこまでも羽ばたかせてくれました。

 毎日毎日、空の散歩を楽しんでいた黒猫は、一匹のふくろうと出会いました。

 空を駆けていくふくろうの姿を目にして、黒猫が追いかけてしまったのです。

 止まり木にたどり着いたたふくろうが休憩していたその枝に、黒猫は着地しました。

 着地することで心の翼は消えてしまいましたが、黒猫が再び羽ばたこうとすればまた現れます。

「おやおや。不思議な生き物がやってきたね」

 灰色のふくろうがそう言いました。

「不思議?」

「不思議さ。猫は空を飛べないんだよ」

「そうだね。でもぼくは飛べる。翼を手に入れたから」

「どうやって手に入れたんだい?」

「流れ星に願ったら手に入ったんだよ」

「へえ。流れ星もたまには願いを叶えてくれるんだねぇ」

 叶えてくれない願いの方が圧倒的に多いことを知っていたふくろうは、しみじみと呟きます。

 どうして黒猫の願いだけが叶えられたのか、それは分からないままですが、まあそういうこともあるのだろうと思うことにしました。

「ところで、どうしてここに来たんだい?」

「ふくろうさんが飛んでいく姿が見えたから、何となく追いかけてきたんだ」

「どうして追いかけてきたんだい?」

「んー。なんとなく?」

「なんとなくって……」

 理由になっていない答えに呆れるふくろうでした。

「強いて言うならぼくが翼を得るきっかけになったのがふくろうだから、かな」

「そうなのかい?」

「うん。空を見上げてふくろうが飛んでいく姿が見えたんだ。それでぼくも飛びたい、翼が欲しいって思ったんだ」

「なるほどねぇ」

「だからお礼を言いたかったのかもしれない」

「多分、そこで飛んでいたのはあたしじゃないよ」

「うん。でもありがとうって言いたかったんだ」

「そうかい」

 お礼を言いたかったのはふくろうという存在そのものなのかもしれないと思ったので、敢えて深くは追求しませんでした。

「お礼を言いたいんだったら手伝ってもらいたいことがあるんだけど、いいかい?」

 しかしそれに便乗するようにふくろうは名案を思いつきました。

「いいけど、なに?」

 黒猫は首を傾げます。

 ふくろうに対してはとても感謝しているので、自分に出来ることなら何でも手伝って上げたいという心境になっていました。

「あそこを見てごらん」

 ふくろうは首の動きだけで少し下の枝を示しました。

 そこには小さなふくろう小屋がありました。

 中にはふくろうの子供が三羽います。

「もしかして、ふくろうさんの子供?」

「そう。あたしの可愛いおチビちゃんたちさ」

 ふくろうは自慢げに言いました。

 子供達が可愛くて仕方がないようです。

 きっと子煩悩なお母さんなのでしょう。

「あの子達の餌を取りに行くから手伝っておくれよ」

 一人で三羽の子供を養うのはとても大変そうです。

 頑張るお母さんに協力しない理由はもちろんありません。

「いいよ。何を捕まえればいいの?」

「ネズミ」

「……ぼくも食べていい?」

 ネズミさんは黒猫にとっても貴重なごはんでした。

「いいけど。ちゃんとあの子達の分もよろしくね」

「もちろん!」

 お腹を空かせた子供達の為に、ふくろうのお母さんと黒猫は止まり木から飛び立ちました。


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