最後の旅立ち
「良かったーっ! 本当に良かったよーっ!」
お母さんは両の翼で末っ子くんを抱き締めてからわんわんと泣きました。
「うん。ボク、頑張ったよ。お母さん」
「頑張った。えらい! すごくえらい! よく頑張った! さすがあたしの子だ!」
「うん!」
しばらくは親子の感動的シーンを眺めながら、黒猫ももらい泣きをしていました。
お母さんがどれだけ不安だったのかも伝わってきて、どれだけ嬉しかったのかも伝わってきたので、辛かったり申し訳なかったり、少しだけ誇らしかったりで気持ちがぐるぐるになってしまったのです。
感動の対面が落ち着いた後、いよいよ末っ子くんの旅立ち、本当の独り立ちが始まります。
「お母さん。心配かけてごめんね。ボクはもう大丈夫だから」
「うん。あんたなら一人でもやっていけるよ。どこに行っても心配なんてしてない。あたしの誇りだからね」
「うん!」
真っ白な心の翼を広げて、飛び立つ準備をします。
「お兄ちゃんも、本当にありがとう」
「気にしないで。ぼくもいい経験が出来たと思ってるから」
「じゃあ、行くね」
「行ってらっしゃい」
「元気でね」
お母さんと黒猫に見送られながら、末っ子くんが旅立ちました。
これでようやくお母さんも安心できます。
遠ざかる末っ子くんを見て涙ぐみながら、お母さんは黒猫に振り返りました。
「本当にありがとね。色々助けてもらって。あんたはあたし達の恩猫だよ」
「気にしないで。ぼくも放っておけなくて手を貸しただけだから」
「あんたはこれからどうするんだい?」
「うーん。適当に空を飛びながら考えるつもり」
「そっか」
「うん。ぼくは空を飛ぶのが大好きだから」
「そうだね。あんたには空が似合ってるよ」
「えへへ」
黒猫も心の翼を広げて飛び立とうとします。
「またいつか会おうね」
「ああ。またいつか」
黒猫はお母さんに見送られながら空へと飛び立ちました。
次はどこを目指すのか。
黒猫は空の彼方へ翼を広げるのでした。
一件落着。
次回、新展開?
じゃなくて最終回、です。
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