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流れ星、もう一度

 黒猫はお母さんを説得して、末っ子くんと旅立つことを了承してもらいました。

 翼を傷つけられた末っ子くんがもう一度新しい翼を得るために、星の見える場所を目指す旅に出ます。

「本当はあたしもついて行けたらいいんだけど」

 心配そうにお母さんが言います。

「ありがと、お母さん。でも、黒猫のお兄ちゃんと二人で頑張ってみたいんだ」

 もちろん末っ子くんにとってもお母さんがいてくれた方が心強いです。

 だけどこれは末っ子くんが最後の独り立ちをするための試練でもあるのです。

 だから今回はお母さんの庇護下ではなく、自分たちで頑張ってみたいと考えています。

「そういう冒険心豊かなところはお父さんに似ちゃったのね。でも、頑張って。応援してるから」

 止めても無駄だと悟ったお母さんは、温かい笑顔で送り出してくれました。

「行ってきます!」

「行ってきます」

 末っ子くんと黒猫は旅立ちます。

「行ってらっしゃい。きっと大丈夫よ」

 お母さんの涙ににじんだ言葉だけが、少しだけ末っ子くんを寂しい気持ちにさせました。

 それでも振り返りません。

 前を見るって決めたから、今は進むときなのです。



 黒猫は末っ子くんを抱えたまま空を飛びます。

 ツバメに鍛えてもらった翼は、他の鳥よりもずっと速い速度で空を駆けます。

 その様子を、少しだけ痛い気持ちになりながら末っ子くんは見ていました。

「すごく速いね、兄ちゃん」

「まあね。最近ツバメと知り合って、速く飛べるように教えてもらったんだ。ぼくの翼は心の翼。だからどんな形にでもなれる。ちびも手に入れることが出来たら、きっと兄ちゃん達よりも速く飛べるようになるよ」

 夢は大きく、という意味合いも込めて期待に満ちた未来を示します。

「それは楽しみだなあ!」

 黒猫の気遣いを察した末っ子くんは弾んだ声で答えました。

「お兄ちゃん。星の見える場所ってどこに向かうの?」

「もっともっと、遠くの山だよ。人里から離れた山のてっぺん。そこならきっと、星がよく見えるから。流れ星もきっと、たくさん見えるから」

 黒猫が流れ星に願った場所はただの公園であり、山の上である必要はないのかもしれません。

 だけど自分から願いを叶えに行こうとするなら、最大限の努力を怠るべきではないと黒猫は考えます。

 少しでも星に近い場所で。

 少しでも願いが届きますように。

 そう思って黒猫は山を目指します。

 北へ、北へと進路を向けて、黒猫は飛び続けるのでした。



前向きな物語……だったらいいなあ。


アルファポリス絵本・童話大賞に参加中。

貴方の清き一票ぷりーずですにゃ!

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