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ふくろうの巣立ち

 今日はちびふくろうたちの巣立ちでした。

 お母さんとちび達に招待されていた黒猫は、巣立ちを見届ける為にやってきました。

「ほら、お母さんはここにいるからね。ちゃんと見守ってるから頑張って飛ぶんだよ」

 お母さんは小屋から少し離れた木の枝で待機しています。

「が、がんばるもん」

 長男のちびふくろうもすっかり大きくなっていました。

 もう『ちび』とは呼べないかもしれませんが、ちびだったころから知っている黒猫にとってはやっぱりちびふくろうという認識のままです。


「えいっ!」

 お兄ちゃんが飛び立ちました。

「わわ! わわっ! なんのっ!」

 少し苦労しているようですが、無事に飛び立つことが出来ました。

「えらいえらい。これで独り立ちだね」

「うん。寂しいけどこれから頑張るよ」

「その意気だ。くれぐれも冒険心にかまけてお嫁さんを悲しませるんじゃないよ」

「わ、わかってるよ!」

 お母さんは最後に父親の悪行を教訓とした注意をしました。

「じゃあ、行ってくる」

「はいな。行ってらっしゃい」

「黒猫のにーちゃんも今までありがとなー」

「どういたしまして~。これから頑張ってね」

「おう!」

 お兄ちゃんがバサバサと飛び去っていきました。


 次は次男のちびふくろうです。

 真ん中くんと呼びましょう。


「二番手いっきまーす!」

「はいな。がんばりな」

 真ん中くんとお母さんが元気よく掛け合います。

「とりゃーっ!」

 ばっさばっさ!

「成功だね!」

「うん!」

 真ん中くんは嬉しそうに飛び立ちます。

「じゃあ母ちゃん、兄ちゃん、行ってくるね」

「くれぐれもあのロクデナシのようには」

「わかってまーす!」

 再び父親の教訓を植え付けようとしていたようですが、返事もおざなりに行ってしまいました。

 真ん中くんはせっかちなようです。

 遠ざかる真ん中くんを満足そうに眺めながら、お母さんは目を細めました。

 そんなお母さんを見て、黒猫もなんだか嬉しくなりました。


 いよいよ末っ子くんの番です。

「うー」

 お兄ちゃんたちと違って発育があまりよくない末っ子くんは、一回り小さい体格でした。

 飛び立つのに少し不安があるようです。

 そんな末っ子くんを見て、お母さんも不安になりました。

「大丈夫かい? まだ無理そうなら日を延ばしてもいいんだよ」

 過保護なお母さんがそう言いますが、

「だ、大丈夫! 兄ちゃんたちに出来たんだもん。ボクだって独り立ち出来るんだからっ!」

 末っ子くんは強がってそう言いました。

 本当は不安でいっぱいなのですが、それでも大好きなお母さんに心配をかけたくないのと、お兄ちゃんたちに置いて行かれたくないという気持ちが末っ子くんを奮い立たせています。

「そうかい? じゃあ、頑張りな!」

 お母さんも負けん気の強い末っ子くんの意気を買うことにしたようです。

「大丈夫だよ。ぼくも見ててあげるから」

 黒猫が末っ子くんの背中をそっと撫でてあげました。

「ありがとう、お兄ちゃん。ボク、頑張るから」

「うん。頑張れ」

 末っ子くんが翼をそっと広げました。

 ゆっくりとお母さんの方を見て、そして黒猫の方を見て、最後に空を見上げました。

 お兄ちゃんたちが飛び立ったあの空に、自分も飛び立つんだという決意を込めます。


「たあっ!」

 ばさっ、と飛び立ちます。


 その時、強い風が吹きました。

「危ないっ!」

 お母さんが叫びます。

「うわあっ!?」

 飛び立とうとした不安定な翼は風にあおられて羽ばたき損ねました。

 末っ子くんはそのまま地上へと落下していきます。

「くっ! 間に合えっ!」

 黒猫が変わったばかりの翼で地上へと急降下します。

 ツバメとの出会いではるかに速度を増した翼ですが、しかし一歩間に合いませんでした。


 末っ子くんは地上へと落下して、大怪我をしてしまいました。

 お母さんが泣きながら呼びかけます。

 黒猫はそれを見ていることしか出来ませんでした。


このあとちょっぴり切ない話になるかも?


アルファポリス絵本・童話大賞に参加中。

清き一票ぷりーず(-^〇^-)

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