第1夜「前兆」
☆ケータイ読者を意識した改行を行っております。
☆至らない点が数々あるとは思いますが…どうか勘弁して下さいますようお願い申し上げます。
それは神の悪戯か、はたまた悪魔の所業か…。
『突然変異』…それは自然界では起こり得ない変化が生物に生じ、全く新しい種族へと進化を遂げる現象。
「昨晩○×県の山林で、登山中の男性3名が正体不明の獣に襲われるという事件が発生しました。このうち2名が死亡、1名が重症であり、唯一生き残った男性は『怪物に襲われた』『悪魔が現れた』などと繰り返し述べている事から、警察では例の『魔物事件』と同種の生物による事件と見ており、住民に注意を呼び掛けております。また、『魔物』と呼ばれている謎の生物の特徴として、『体のどこかに三日月型のアザ』がある事が確認されており…」
「恐いわねぇ」
夕御飯を作りながら女性が言う。見るからに主婦!といった感じの服装。髪型。顔付きのこの女性は 山田 綾子 まぁこの物語にはあまり関係のない人物である。
「三日月アザの魔物ね…信じられないな」
綾子が作った唐揚げをヒョイと口に運びながらつまらなそうに言い放つこの少年は 山田 大地。高校3年生。綾子の息子でありこの物語の主人公である。やや長めの前髪をうるさそうに触っている。
「もう!大地!行儀悪いわよ!」
綾子が注意をするが、当の大地は聞いているのかいないのか、ハイハイと二階へ上がって行った。
「…まったく!」
プリプリと怒りながらも綾子は再び鶏肉を揚げ始めた。
一方、自室に戻った大地は、鏡面の自分を睨んでいた。
「…これってやっぱ…」
左手で前髪を上げ、右手で額をポリポリと掻いている。
「…アレ、だよなぁ」
正確には額にくっきりと浮かんだ三日月型のアザを…。
変異は突然やってくる。