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華も嵐も踏み越えろ!  作者: ゆえ
44/52

第44話 溜め込むのはよくないです

今回、ちょっと短いです。

約束通りアリアンに子守唄を歌ってあげた。

モーリオンは眠りたくないとバスルームに避難。

アリアンに聞こえる範囲の小さな声で子守唄というか・・・俺の好きな優しいメロディーの歌を歌う。

アリアンはベッドでクッションを抱きしめ横になり、嬉しそうに聞いている。

ニコニコと本当に嬉しそうだ。

アリアン、歌を聞くのが好きなのかな?

歌うことも好きなら今度歌ってもらおうかな。

声、ソプラノで綺麗だから一緒に歌ってみたいな。

でも・・・

2番を歌う前に気持ちよさそうに眠っちゃった。

女神様の加護ってすご過ぎる。



クッションに頬を摺り寄せて幸せそうに眠るアリアンの頭を軽く撫でベッドを離れると、買い物してきた物をテーブルに並べ整理を始めた。

終始無言で作業する俺をバスルームから出てきたモーリオンが何か言いたげに見てるけど、ごめん、今ちょっと余裕が無い。

黙々と買ってきた物を仕分けし片付けていく。

何かに集中してないと・・・ちょっと拙いんだよね。

うん、なんだか泣きそう。

でも、そんな作業も集中してやったもんだからあっという間に終わってしまう。

立ち尽くす俺の肩にモーリオンが乗っかって髪を咥えてツンツン引っ張る。

――透流・・・――

優しい声。

「・・・どうしよう」

モーリオン、どうしよう、俺、泣きそう。


目の奥が痛いんだ。

頭もズキズキする。

鼻も詰まってきちゃうし。

笑おうと思うのに、唇が震えて言うことをきかないし。

きっと俺の顔、変な形に歪んでる。


――我慢しなくてもよいぞ?アリアンもぐっすり眠っておる。今、ここには我と透流しかおらぬのと同じだ――


あぁ、もうだめ。


「も・・・りおんっ!」


帰りたい!

帰りたいよ・・・っ!

帰りたいっ!!


あふれてきた涙を止めることなんてできなくて。


俺はギュッとモーリオンを抱きしめたまま。


――透流・・・声を上げたほうが楽になるぞ?――


俺は首を振ることしかできなくて。


声を、嗚咽を殺して・・・いっぱい泣いた。

いっぱい、いっぱい泣いた。




窓際に椅子を移動させ、モーリオンを抱きしめてそこに座り夕焼け色に染まる外を眺める。

向こうのことを思い出したら・・・大好きな歌を歌ったら・・・ホームシックになったみたいだ。

泣きすぎて目の周りがヒリヒリする。


――大丈夫か?――


モーリオンが慰めるように頬を摺り寄せてくれる。

「うん、大丈夫」

でもちょっと、目の周りは大丈夫じゃない。

――我慢はよくない――

「うん、思い知った」

自分でも気がつかなかったけど、帰りたいって気持ち、ずっと我慢して心の奥に押し込んでたみたい。

我慢はよくないね。

押し込まれて溜まり過ぎた気持ちが些細なきっかけで爆発しちゃった。

――我慢せず、我に吐き出せ。我がお前の全てを受け止める――

うん、ありがとう。

もう、我慢するの・・・程々にしておくよ。

――何だ?全部吐き出してはくれぬのか?――

うん・・・全部は無理。

やっぱりさ、俺、男の子だもん。

泣き言なんて・・・無理。

――恥ずかしがらずともよいのに――

モーリオンがクスクスと笑う。

「やだよ、モーリオン相手でも恥ずかしいものは恥ずかしい」

――今さっき、縋るように我を抱きしめて泣いたではないか?――

「う・・・あれは・・・」

感情の制御ができなかったからで・・・・・・


あーもう!

恥ずかしい。

穴掘って埋まりたい。


ぎゅうぎゅうとモーリオンを抱きしめて恥ずかしさに身悶え。

そんな俺をモーリオンはクスクス笑ってあやすように髪とか耳とか頬っぺたにキスしてくれてたけど・・・


――透流、お前はありのままでいろ。我がその全てを受け止める。泣きたい時は泣け。怒りたい時は遠慮なく怒れ。恐れることを隠すな。そして、笑っていろ。我はお前の全てが愛おしい――


モーリオンは俺の腕から抜け出すと床に下り、じっと俺を見上げる。


――我はお前の全てを愛し、守ろう――


そう言うと、モーリオンの体が淡く光り・・・


「モーリオン?」


その体は見る見るうちに大きくなった。


元の大きさではないけれど。

象よりもちょっと大きいくらいだけど。


呆然と見上げる俺の顔に顔を寄せ、モーリオンは両方の目元に交互に優しく口付ける。


口付けられる度に目元のヒリヒリが消えていく。


――まだ十分回復はしておらぬゆえ、この大きさが限界か。だが、お前を守る盾となるには十分だろう――


俺を見下ろす・・・優しい優しい金色の目。


「モーリオン」


俺は両手を差し出して、


――透流?どうした?――


寄せてくれた頭を抱きしめる。


――泣けとは言ったが泣き過ぎだ。せっかく癒した目元がまた赤くなる――


だって、嬉しい。

すごく嬉しい。

わけわかんないくらい何か色々・・・ものすごく嬉しい。


俺はさっきと違う感情があふれてきてボロボロ涙を零した。

違う感情なのに、さっきと同じくらいボロボロ涙を零した。

嬉しくて嬉しくてでも何故だかわかんないけどちょっとだけ、ほんのちょっぴり悲しくてボロボロボロボロ涙を零した。


零れる涙をモーリオンが舌で舐め取って、ついでに赤くなり始めた目元を癒してくれるから。

嬉しくてくすぐったくて嬉しくて。

あぁ、また涙が零れる。


悪循環。


クスクス笑うモーリオンにつられて俺も涙を零しながらクスクス笑う。


嬉しい、くすぐったい、嬉しい、鱗ザラザラ、嬉しい、牙が当たる、嬉しい、楽しい、嬉しい、優しい、嬉しい、悲しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい。


くすくすくすくすくすくすくすくす・・・・・・


嬉しいよ、うれしいよ、ウレシイヨ、デモ、ナンデカナシイノ?




「何じゃ!?何事じゃ!?」


あ。


「何が起きたのじゃ?黒竜殿のその姿は!?透流は何を泣いておる!?」


ごめん、起こしちゃった?


「この惨状は何じゃ!?襲撃でもされたかや!?」


あー・・・・・・


とりあえず、


「モーリオン、これ以上部屋を壊すわけにはいかないから・・・尻尾振るの止めようね?」


壊れたテーブルと椅子とベッドとモーリオンの重みで軋んでる床を何とかしなきゃ。



修復の術・・・使えたっけ?

使えたよね?




それはそうと・・・


モーリオン、大きさってこのまま?

もう、一緒にベッドで寝られないのかな?

大きいモーリオンは大好きだけど、小さいのも可愛かったんだよね。


俺って欲張り。





スランプからいまだ抜け出せず・・・

書きたいシーンになったら筆がきっと進むと思うんだ!

それまで踏ん張る!


うー・・・書く度に文体違うような気がする。

所詮素人なのさ・・・(遠い目)

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