第41話 お買い物に行こう!④
やっと2軒目。
「では、次の店へ参ろうかの」
アリアンが足取りも軽く石畳の道路を歩く。
その脇に保護者よろしく手を繋いでサラ。
俺はモーリオンを肩に乗せレボを伴ってすぐ後ろを歩く。
なんかさ、1軒目でものすごく疲れた・・・精神的に。
ぽてぽて歩いていたら、
――透流様、背中に乗りますか?――
心配したレボがそう言ってくれた。
「レボ、優しいね」
頭を撫で、眉間と耳の後ろを掻いてあげる。
気持ち良さそうに目を細めて・・・大きい狼なのに可愛いよね、レボ。
「大丈夫だよ。でも、本当に疲れたときは乗せてね?」
大丈夫と言っても心配そうに見上げてくるからそう言って安心させる。
――はい、わかりました。疲れたときは言ってくださいね――
「うん、ありがとう」
それにしても・・・
すれ違う人とか俺たちのこと見てるよね?
何か変なのかな?
・・・まぁ、確かにアリアンはゴスロリだし俺はコスプレだし。
変と言えば変だ。
みんな珍獣でも見るように見てるんだろうな。
――いや・・・微妙に違うような気がするぞ――
「モール?」
――皆、笑顔で見ておる。我は好意的な視線だと思うぞ?――
「そうかな?」
――視線・・・ですか?――
「うん、なんかさ、見られてるんだよね俺たち」
――そうですね、確かに見られてはいますが・・・悪意は感じません。大丈夫でしょう――
「いや、そういう意味じゃなくってさぁ・・・」
「何をしておる?さっさと来ぬか」
俺たちが話してて遅れてるのをアリアンとサラが立ち止まって待っててくれた。
「あ、ごめん」
小走りで近づく。
「どうしたの?」
「うん、ちょっと回りの視線が気になっちゃって」
「あぁ、見られてるものね」
サラがチラリと辺りを窺う。
「サラも気が付いてたの?」
「そりゃ、気が付くわよ」
確かに、結構あからさまだもんね。
「やっぱり俺とアリアンのせいかなぁ」
「そうね・・・2人とも可愛いもの。見られても仕方がないわ」
ほえ?
可愛い?
「設定は貴族のお嬢様とその護衛ってところかしら。私が騎士でトールがお嬢様付きの従者、もしくはお屋敷の魔法使いかも」
なんだよ、その設定って・・・
「俺、忌み色だけど?」
忌み色に好意的な視線ておかしくない?
「でもちゃんと冒険者という職に付いてるでしょう?黒髪の者が職に付くことは本当に大変なことなのよ?忌み色というだけで門前払い。それが職に付いているということは何か特殊な能力があるか多大な努力をした者ということ。ラウルが言ってたでしょう?冒険者になると風当たりは一気に弱くなるって」
「うん」
「忌み色を冒険者として紹介するには紹介者にとって損益になることが多いから、才能があって人格的にも優れていないとなかなか紹介してもらえないのよ。そんな条件下でトールは冒険者になったわけでしょう?だから冒険者になった忌み色は世間で受け入れられるのよ」
「でもさ、結構迫害されてない?店に入れてもらえなかったり昨日だって襲われかけてたのに見て見ぬふりされたよ?」
「忌み色は呪われていると思われてるからね。何せ、黒髪の者は全て黒き魔女の呪いを受けているのだから」
サラはそう言って面白そうに笑った。
「いや、面白くないし・・・」
「まったくじゃ。リィンは呪われてなどいないぞよ」
アリアンはプンプン怒っている。
「仕方がないわよ」
サラは苦笑した。
「小さい頃からの刷り込みだもの。黒き魔女は恐ろしい魔女で救世主でも追い払うことしかできなくて、魔女の怒りは国中の魔女と同じ黒髪の者を通じて呪いとして辺りにばらまかれる。だから黒髪を持つ者には近づくな・・・と教え込まれるのよね」
「教え込まれるって・・・なんだよそれ」
まるでどこかの国の偏った教育みたいだ。
「さすがにこの年にもなればそんなの迷信だってわかるんだけど、中には呪だとか崇りだとかに過剰反応する人もいる。貴族や一部の裕福な人たちがそうね。そんな人たちと取引がある商店とかは迷信だとわかっていても黒髪を店に入れることを嫌うわ」
「なるほど・・・忌み色と取引したことがわかると大口の取引相手を失う、それを避けるために排除するというわけじゃな」
アリアンがうんうんと頷く。
そういえば・・・
「昨日、俺があいつらに絡まれたのって・・・高級住宅街っぽかったよね?」
「あの辺りは下級貴族や地方貴族の住居や別宅が多いところだから無視されちゃったのね。なんだかんだで使用人も雇い主の影響受けちゃうし」
「刷り込みって怖いな」
「まったくだわ」
「サラはいつごろ迷信だとわかったの?」
「私は結構早かったわよ。槍の師匠の元冒険者仲間に黒髪の人がいたの。・・・実は、その人が私の初恋の相手なのよね」
サラはフフフと笑い、
「だって、ラウルをみてもわかるように黒髪の人は体つきがガッシリしてないでしょう?だから小さい頃、他の大人より怖くなかったのよね。おまけにすごく優しくて、笑うとすっごく素敵だったのよ」
思い出したようにうっとりと溜息を吐いた。
「彼を超える男にはまだ出会ったことが無いわね」
「そうなんだ。あれ?黒髪の人は小柄な人が多いの?」
「そうね、何人かと依頼を一緒にやったことがあるけど、他の人よりも小柄だったわ。剣士とか槍使い、格闘職でも筋肉に任せた重量級の人は見たことがないわね。育った環境の影響なのかしら?」
「どうなのかなぁ?」
ラウルを思い浮かべる。
比較対象としてセレンを並べてみる。
セレンは魔法使いだから比較対象としてはよくないかもしれないけど、そこはほら、殴り魔だし。
「ラウルの肌の色って日焼けを差し引いても真っ白じゃないよね?どちらかというと・・・俺と同じ色?」
「そうね、トールも肌の色が真っ白じゃないわよね。たとえるなら・・・生成り色?」
ラウルは・・・黒髪の人はアジア系なのかな?
この世界の人種ってどうなってるんだろう?
考え事をしていたら、
「それにしても!」
サラにガシッと顔を両手で挟まれ強制的に上を向かされる。
「トールといいラウルといい、なんでそんなに肌が綺麗なのよ?男なのに体毛薄いし。何か悔しいわ」
頬っぺたをグニグニと揉まれる。
「あーもう、スベスベ!手入れなんてしてなさそうなのにずるいわよ!」
「シャラ、いひゃい!いひゃいってば!」
「生成りは生成りでも絹の生成り!腹立つなぁもう!」
「ひっふぁりゅにゃぁ!」
ムギュって頬っぺたを引っ張られた。
「あら、結構伸びるのね。頬っぺた柔らかい」
「いひゃぁいっ!」
痛い!マジ痛い!
思わず痛みで涙ぐみ悲鳴を上げたら、
――いい加減に透流を解放せんか!――
バサァッと翼を広げてモーリオンがサラの頭にタックルをかました。
「キャァッ!」
意外と可愛い悲鳴をあげるサラの頭をゲシゲシと蹴る・・・というか、頭の上で軽く爪を立てつつ足踏み?
「ちょっ!モールやめて!ごめん、ごめんてば!もうトールいじめないから!爪!爪!痛い!軽く刺さってる!?」
――刺さるほど立てておらぬ!――
「刺さるほど立ててないって言ってるよ」
「でも痛いわよ!」
「モール、十分復讐は果たせた!だからもういいよ」
・・・てかさ、
「何か目立ってるし!」
クスクス笑いながら見てる人多数。
ちょー恥ずかしい!
「・・・まぁ、見られてるのはいつものことだから、あんたとラウルのお蔭で」
サラ、遠い目をしてニヒルに笑いつつさらっと言わないで!
「それはそうと、目的地の雑貨屋というのはあそこかや?御婦人が"おいでおいで"と手招いているぞよ?」
ずっと俺とサラを無視してレボと遊んでいたアリアンがそう言って目的地である雑貨屋(と、その前で手を振っているおばさん)を指した。
「レボ、意外と薄情だ・・・泣いちゃうぞ?」
――楽しそうでしたし、透流様があまりにもお可愛らしいのでつい・・・――
「可愛いって・・・もういいよ」
みんなして可愛い可愛いって・・・きっとこの衣装の所為だ!
エリンさん・・・お恨み申しあげます・・・・・・
――いや、その服を着ていなくてもお前は可愛いと思うのだが・・・?――
聞こえない聞こえない・・・って着ていなくても!?
「モーリオンのエッチィィィィィィィッ!」
――うをぉ!?――
あ、思わず投げちゃった。
「おばさん、こんにちは!」
「いらっしゃいませ」
俺が(ほぼやけっぱちで)元気良く挨拶をしたらおばさんもにこやかに答えてくれた。
「昨日頼まれてた小箱が2個できましたよ」
「おお!マジ!?嬉しい!見せてもらえますか?」
「ちょっと待っててね、今もって来るわ」
おばさんはパタパタと小走りで店の置くにはいっていく。
「小箱とはなんじゃ?」
アリアンが店の商品を興味深そうにつつきながら俺を見た。
「うん、遠くに離れた人との連絡手段にしようと思ってね」
「なんじゃそれは?」
「便利な物だよ」
それよりも・・・
「アリアン、暖かクッション作るから気に入ったやつ選ぼう」
「おお、そうであった!」
アリアンは嬉々として目を輝かせた。
「それならこっちに可愛いのや綺麗なのがあるわよ」
サラがアリアンを手招く。
「おお!そうか!すぐいくぞよ!」
アリアン、本当に嬉しそうだ。
もしかすると、こうやって自分の物を買ってもらうのも初めてなのかも。
サラとアリアン、女の子同士(いや、片方は男の娘・・・)でキャイキャイとクッションを選んでいるのを横目に見て、俺は糸電話用の糸を物色。
亜空間(異空間?)を通すから距離は関係ないし、強度よりも伝声の良さ重視だな。
いろんな糸を引っ張って指で弾いてみる。
お?何かこれ良さそう。
なんて糸かはわからないけど・・・光沢があるし・・・絹っぽい?
よし、これにしよう。
それから細い縫い針はあるかな?
裁縫セット見っけ!
あとは糸を固定するのに必要な・・・爪楊枝じゃ貧乏臭いよね?
これはなんだろう?スパンコール?・・・鱗?
これでいいかな。
必用な物をカウンターに並べていたら奥からおばさんと娘さんが一緒に出てきた。
「お待たせしました。これでよかったかしら?」
おばさんは2個の小箱を手渡してくれる。
直径5cm強、深さ10cm強の円筒形の小箱。
携帯電話もどきとしては若干大きいけどちゃんと注文どおりの大きさだ。
蓋には飾りの色石。
蓋を開けると(結局おばさんとの話し合いで蓋は繋がっていない物にした)中には深さ9cmの内箱がぴったりと収まっている。
「ばっちり!注文どおりです!」
色々考えたけど、携帯といっても糸電話は糸電話、糸電話=紙コップということで円筒形にしたんだ。
「そう、よかったわ」
おばさんはニッコリ笑った。
「この周りに描いてある模様、綺麗ですね」
円筒には金色・・・金泥?で綺麗な蔓草の模様が描かれている。
蔓草のデザインは一般的なんだな。
服に刺繍してある物とは少し違うけど綺麗だ。
「私が描いたのよ」
娘さんがひょこんと顔を覗かせた。
「装飾は無しでいいって聞いたけど、ちょっと寂しかったから描いちゃった」
ダメだったかしら?と首を傾げる。
「いえ、すごく綺麗で大満足です!」
これだったらさ、紐とか付けてカバンや腰にぶら下げてても綺麗だよね。
さすがに首からだとちょっと大きいけど。
よし、紐か鎖も探そう!
「これ、持って帰ってもいいですか?」
「代金はもう前払いでいただいていますからね。どうぞお持ちください。残りの2個も明日には仕上がりますよ」
「ありがとうございます!」
仕事が速いなぁ。
「あ、そうだ、これとは別にもう3個作ってもらえませんか?飾りの石は真ん中以外は色違いで3個付けるだけでいいんですが・・・」
「構いませんよ」
「じゃぁ、それの代金も前払いしておきますね。あ、それからこれと、あと・・・」
アリアンのほうを見たら欲しい物が決まったらしく嬉しそうに水色のクッションを抱きしめて小走りにこっちに向かってくる。
「あの子が抱きしめてるクッションも一緒でお願いします」
俺が指した方を見て、
「あらあら、可愛い子ね。妹さん?」
ほのぼのとおばさんが笑い、
「いやん、可愛い!」
娘さんは両手を頬に当て、うっとり、目を爛々と輝かせた。
・・・え?
爛々と・・・?
思わず娘さんをガン見する。
・・・昨日はなんとなくしか感じなかったけれど、なんだかエリンさんと同じ臭いがする。
怖いよ!
思わず後退った。
「透流、決まったぞよ。見るがよい」
アリアンが嬉々として俺にクッションを差し出した。
「この手触りといい、中綿の厚みといい、すばらしく気持ちが良いぞ!そしてこの銀色の縁取りと房が妾に似おうておるとは思わんか?」
そんな可愛らしいアリアンを狙う猛獣。
「お嬢様!」
猛獣がついに牙を剥いた。
「な、なんじゃ?」
アリアンが驚いて娘さんを見た。
「是非とも、お嬢様のお可愛らしい姿を人形として作品にしとうございます。どうかお許しくださいませ」
なんかさ、俺に対する時と口調まで違うぞ?
「妾の・・・人形とな?」
首を傾げる。
「はい!・・・あ、どのような物か見本をお見せしますわ!」
娘さんはそう言うとあっという間に奥に駆け込んで、瞬く間に戻ってきた。
速い!速いぞ!?
「あいにく、完成品は全て売れてしまいましたので・・・作りかけではございますが、これです」
娘さんが見せてくれた人形は昨日買ったラウル人形やモーリオン人形のようなコロンとしたぬいぐるみ。
青というか碧いビー玉のような丸い目で黒髪で・・・でもまだ"はだかんぼ"。
あれ?
これって、もしかして・・・
「ほう、・・・これは透流じゃな?」
「よくおわかりで」
「うむ、この黒髪の具合といい、クリンとした大きな青い目といい、そっくりじゃ。幼さを残すまろみを帯びた頬のラインも絶妙じゃ。このキュゥッと左右に引かれ可愛らしくも生意気そうに笑んでいる口もちゃんと特徴をつかんでおるぞよ」
「えぇえぇ、私でも自讃したくなるほどの仕上がりなんです!もう、夢中で一晩でここまで仕上げてしまいました」
「そうかそうか。・・・して、この人形は売り物なのかや?」
アリアン、全開の笑顔。
「もちろんでございます。これほどの愛らしさ、万人が愛でなくてはいけません!髪の色や瞳の色を変えていくつか作らせていただく予定です」
あぁもう、力説しないで!
「ですが、問題が一つ・・・」
娘さんは悲しげに目を伏せた。
「問題とはなんじゃ?」
「お衣装です。昨日も拝見させていただきましたがこのお人形に着せるとなると微妙に修正を入れなくてはならなくて・・・」
「おぉ、それならば妾にいい案があるぞよ!」
あぁ・・・なんだか嫌な予感。
「この先にエリンと申す者が商っておる衣料屋がある。透流の服はその者が作ったと申しておった。その者に聞けば何かよい案を出してくれようぞ?」
予感的中。
「エリン・・・あぁ!ファズさんのお店でございますね!早速行ってまいりますわ!」
「うむうむ。おお、そうじゃ!その前に言っておかければの。娘、その人形を妾に売ってはもらえぬか?」
「お嬢様にでございますか?」
「そうじゃ」
「えと・・・」
娘さんは俺とニヤニヤ笑って傍観しているサラの顔を交互に見た。
「構わないわよ。買ってあげる」
サラがさらに笑みを深くして言う。
「昨日のラウル人形よりは高いかもしれないけど買えないほどじゃないでしょう?」
「もちろんでございます!型となっていただいた方のお仲間ですもの、原価代だけいただければ結構ですわ」
娘さんはニコニコと笑い、
「お色を変えれば必ず絶対売れます!むしろお礼として差し上げても構いません!」
ただであげるって言ってますけど!?
「おお!そうか!」
「その代わり、お嬢様のお人形を作っても?」
交換条件キタコレ。
「構わぬぞよ。・・・あぁ、そのときも色を変えてはくれんかのぅ?妾のこの色で作るのは1体のみ。そして、それも貰えたら嬉しいのじゃが・・・どうかの?」
「売る人形はお二方そのもののお色で作るなということですね?」
「うむ、そういうことじゃ。人型には魂が宿る。妾や透流の姿をしたものが他人の手に渡ることは避けねばならぬ」
呪いのわら人形!?
「わかりました。お嬢様の仰るとおりにいたします」
「うむ、すまぬの」
「いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます。では、早速ファズさんのお店に行ってまいりますわ!」
「人形が出来上がったら連絡を寄越すがよい。宿は・・・」
アリアンがサラを見上げる。
「冒険者ギルドの裏手にある"緑の小鹿亭"よ」
「あぁ!あの氷菓が有名なところですね!わかりました、出来上がりましたらお届けにあがります」
あのアイスクリーム、有名なんだ。
「うむ。それでじゃ、もう一つ頼みがある」
「なんでございましょう?」
「透流の目の色じゃが、黒にしてはもらえぬかの?」
「黒・・・でございますか?でもそれは・・・」
黒き魔女だよなぁ。
「構わぬ、しかと頼んだぞ」
有無を言わせぬアリアン、さすがだ。
「はい、承りました」
娘さんは苦笑を浮かべ、そう言うと俺の人形(作りかけ)を抱いたまま全速力で走って行った。
何かもう、凄すぎる。
溜息も出ないよ。
「さぁ、次に行くわよ!」
いつの間にか支払いを済ませていたサラが宣言した。
「時間がもったいないわ、さっさと済ませちゃいましょう」
俺たちは雑貨屋を出た。
なんかさ・・・寄る店寄る店で余計な時間ばかり取られちゃうよね。
あぁ、いい天気だな。
太陽は雲の中だけど。
ちょっと現実逃避をしてみる。
――・・・ん?買い物は終わったのか?――
クワァァァァァ・・・ッっと欠伸をしながらモーリオン。
頭の上でずっと寝てたらしい。
よく落っこちなかったもんだ。
頭の上から取り上げて胸に抱きなおす。
「これから次の店に行くんだ」
――ふむ・・・――
コシコシと前足で顔を擦ってる。
可愛いなぁ。
「まだ眠い?」
――大丈夫だ――
・・・って言ってるけどまた欠伸してるよ?
――うむ。ちょっと眠い――
「疲れた?」
―いや・・・透流の体温や波動が気持ちよくてな――
「そうなんだ」
俺はキュッとモーリオンを抱きしめた。
「うん、寝ててもいいよ」
――いや・・・ちゃんと起きている――
「うん」
そう言ってるけどさ、ほら、目蓋が下がってきてる。
ちゃんと抱っこしてるから眠っちゃっていいからね。
――・・・うむ、大丈夫だ・・・――
言うが早いか、寝息を立てている。
ほんと、可愛いよね。
モーリオン、大好き。
また眠っちゃったモーリオンにこっそりキス。
心がほっこり温かくなる。
俺、幸せだ。
「大丈夫だ」のあとに「問題ない」を付けそうになって自重したのは内緒です。
やっと2軒目。
次回、やっと透流くん念願の食料品の買出しです。
次回こそ・・・脱線しないように踏ん張ろう。
ほんと、集中力って必須だよ。
間違い等が・・・以下略。
感想・・・以下超略。