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華も嵐も踏み越えろ!  作者: ゆえ
40/52

第40話 お買い物に行こう!③

お買い物編三度!

アレノス滞在3日目の朝、俺は清々しく目が覚めた。

もうすでに街は目覚め活動している時間・・・たぶん9時頃という遅い時間だけどぐっすり眠れたから前日の疲れはすっかり取れている。


――透流、おはよう――

モーリオンも起き出して早速俺の肩に上ってくる。

「おはよう」

俺も挨拶を返しお互いにすりすりと頬ずり。

おはようのチューは口を濯いでからね。


隣で丸くなり気持ちよさそうに眠ってるアリアンを起こさないようにベッドから降り、床で寝ているセレンとラウルを踏まないように気をつけ洗面所に移動する。

途中、散乱している酒瓶を拾い集めつつだけど。


昨夜あの後、何故かこの部屋で酒盛りが始まった。

俺と浩輔が再会する前祝だとか何とか・・・

若干飲み足りなかったサラがわざわざ下まで取りに行って強制的に始まったわけなんだけど、すでに限界ギリギリだったセレンとラウルはあっという間にダウンして床に伸びちゃった。

大の男2人を運ぶのなんて俺には無理。

サラならやれそうだけど運ぶ気まったく無し。

仕方がないからセレンの懐探って部屋の鍵ゲットして隣の部屋から毛布2枚を持ってきて着せたんだけど・・・

風邪、ひいてないよね?

・・・まぁ、セレンがラウルを抱き込んじゃってラウルもセレンにしがみついてるし・・・2人で暖め合ってるから大丈夫だとは思う。

男2人が抱き合って寝てる姿ってビジュアル的にどうよ?・・・とは思わないでもない。

でもさ、両方ともハンサムだしラウルは可愛い系入ってるし違和感ないんだよね。

それもどうかとは思うけど。


軽くシャワーを浴びる。

まだ昨夜の魔法が残ってて水浴びにならなくてよかった。

それから歯磨き。

この世界には歯ブラシが無くてミントみたいな香りがする木の枝を使って磨いてる。

端っこを噛んで潰して毛羽立たせて使うんだけど結構いい感じ。

口の中スッキリ。

「モーリオン」

――ん?どうした?――

温いシャワーのお湯でアムアムと口を動かし濯いでいたモーリオンが俺の呼ぶ声に振り向いた。

小首を傾げてるのが可愛いなぁ。

――透流?――

隙あり!

こちらを見上げてきたモーリオンの隙を突いてバードキス、いただき~!

吃驚して見開いた目が可愛い!

「口を洗ってスッキリしたからおはようのチューね!」

――うむ・・・いきなりで驚いた――

「今度からする前に言ったほうがいい?」

ニンマリ笑ってそう言うと、

――・・・いや、言わんでも良い。お前も言うなと言っておったな――

モーリオンもにやっと笑った。

「ぁう・・・」

墓穴掘っちゃったようです。

モーリオン、隙を見つけてチューする気満々。

「できれば人前じゃないとこでお願いします」

――善処しよう――

そういうが早いか、

「んっ!?」

チューされました。


モーリオンのほうが上手うわてのような気がする。



髪を拭きつつ部屋に戻ると4人はまだぐっすりだ。

とりあえずご飯食べに行こう。


手早く着替えモーリオンを肩に乗せて食堂に向かう。


「おや、おはよう。1人かい?」

テーブルを拭いていたおばさんが俺に気がついて声をかけてきた。

「おはようございます。俺以外、まだみんな寝てます」

「昨夜は楽しんでたからねぇ。男衆は大丈夫だったかい?あの後部屋でも飲んだんだろう?」

おばさんは体を起こし腰をトントン叩いている。

「うん、サラに潰されてた。そのまま床に寝ちゃったよ」

「おやおや、どうしようもないねぇ」

苦笑を浮かべ次のテーブルに向かう。

お客さんは一波去った後なのか疎らだ。

「ご飯食べたいんだけど、まだ大丈夫?」

「もちろんさ。ほら、ここにお座り」

綺麗に拭きあげたテーブルの椅子を引いてくれた。

「ありがとう」

そう言うと、おばさんは俺の頭を撫でてくれた。

「本当にいい子だね。さぁ、何が食べたい?」

思いっきり子供扱いされてるんだよなぁ。

でもまぁ、おばさん相手だし嫌じゃないからいいか。

「んー、とりあえず・・・」

メニューを見る。

あれ?朝食用のメニューになってる。

時間帯で変えるのかな?

お米食べたいよお米。

メニューは読めるけどリゾットとかパスタとかパンとか種類がわかるだけで材料名とかわかんないや。

何たら鳥の何々~とか書いてあってもそれが何かわからない。

食べられない物は載せてないだろうから適当に選んじゃおう。

「このリゾットください」

たぶん上の方にあるのがあっさりタイプじゃないかな?

「はいよ。そっちのちっこいドラゴンは何にするんだい?」

「モールはどうする?」

――我は何でもよいが・・・ふむ、果物にしよう――

「ん、了解。おばさん、モールには何か果物を適当にください」

「果物だね、わかった」

おばさんはモーリオンの頭も1回撫でて厨房に入って行った。


あ、そうだ、おばさんに牛乳と砂糖が何処で買えるか聞かなきゃ!




熱々リゾット(鳥肉っぽいのが入ったやつ)を食べてたらラウルたちが来た。

サラはいつもと変わらず、ラウルとセレンは二日酔い、アリアンは面白そうに笑っている。

「おはよう!ラウルとセレン、大丈夫?」

「完璧に二日酔いね!だらしがないんだから」

サラはどっかりと椅子に座り腕を組んで2人を見た。

「2人とも大きな声を出さないでくれ・・・頭が・・・」

「すみませんが・・・冷たい水をもらえませんか・・・?」

2人はぐったりと椅子に座りテーブルと仲良くしている。

「情けないのぉ、それでもおのこかや?」

アリアンは何故か俺の膝に入ってきた。

「アリアン?」

「透流と一緒におると気持ちが良いのじゃ」

・・・まぁ、重くないからいいけどモーリオンと威嚇し合うのはやめて欲しい。

「妾もこれと同じ物を食したい。女将、すぐに作れるかや?」

セレンとラウルに水を持ってきたおばさんに俺の食べ終わった皿を指差し早速注文。

「はいはい、すぐにお持ちしますよお嬢様」

おばさんはニッコリとアリアンに笑いかけ、

「そういえば、昨夜はいなかったね?こちらのお嬢様は何処から来たんだい?」

不思議そうに俺に聞いてきた。

「アリアンは・・・」

「昨夜トールが連れ込んだのよ」

途中でサラが割り込んでくる。

「ちょ、何言って・・・」

「あらあら、なかなかやるわね。坊やも隅に置けないんだから」

「おばさん・・・本気にしないで」

脱力。

朝から疲れさせないで欲しい。

「冗談よ」

おばさんはグリグリと俺の頭を撫でた。

「でも、いったいどうしたの?見た感じ、いいとこのお嬢様にしか見えないんだけど?」

「迷子じゃ。連れと逸れてしまっての、困っていたら透流に助けられたのじゃ」

しれっとアリアンが答える。

「そうだったの。お連れさん、見つかるといいわねぇ」

「うむ、大丈夫じゃ。向こうも妾を探しておるであろうからな」

嘘とほんとうを混ぜ込んで巧いこと誤魔化すなぁ。

呆れて見てたらアリアンは俺を見てニッコリと笑った。

可愛く笑ってるのが怖いよ。



朝食を取りながら・・・といっても食ってるのはサラとアリアンだけで俺は食後の紅茶を、ラウルとセレンは水を飲みながら今日の予定を話し合う。

「私は午前中はもう少し休ませてもらいます・・・」

「俺も・・・」

午前中だけでこの2人の二日酔いが改善されるかどうかは疑問だ。

「じゃぁ、出かけるのは私とトールだけ?」

「妾も行くぞよ」

上品にリゾットを口に運びつつアリアンが言う。

さすがに膝からは退いてもらったけどちゃっかり俺のすぐ横に椅子を持ってきて座ってる。

「アリアンも一緒なのね。それで、トールの今日の予定は?」

「今日は、エリンさんのところでパジャマ・・・夜着を買って、雑貨屋でアリアンのクッションとポーチ買って、あと、おばさんに教えてもらった食料品店で必要な物買って、お昼はもっかいカレー食べに行って、昼からはここに戻ってきてちょっと色々実験・・・そんな感じ?」

「了解。食べ終わったら出かけましょう」

今日もサラさんが付いてきてくれるようだ。

1人でもモーリオンやレボがいるから大丈夫だとは思うんだけど、昨日みたいなことがあると危険だからって却下された。

「あぁ、ダグの工房にも行ってください」

セレンが突っ伏したまま言う。

「昨日言い忘れていましたが、トールの額を隠す物が今日できるそうです。エリンさんがダグさんに命令しながら一緒に作ってました」

「うわぁ・・・なんだか不安・・・とんでもなく派手な物じゃなきゃいいんだけどなぁ」

「意匠を紙に描いていたものを何枚か見せてもらいましたが、どれも綺麗な細工物でしたよ」

・・・派手な物だったら着けるのやめよう。

「じゃぁ、先にダグの工房に行って、それから店を回る?」

サラが提案してきた。

「今日できあがるって言われたんだよね?今日のいつごろなの?」

俺はセレンに聞く。

「それは言ってませんでしたね」

ふむ。

「じゃぁさ、工房は後にしようよ。先に行って出来上がってなかったら困るし」

「そうね、買い物が先ってことで決定。さっさと食べて出かけましょう」

サラがそう言うと、アリアンは一つ頷き食べるスピードを少し速めた。

アリアン、姫言葉だから高飛車に感じるけど素直なんだよね。

じっと見てたら、

「なんじゃ?」

訝しげにこっちを見る。

「ん、なんでもないよ」

「ならば不躾に人を見るものではない」

ふんっと鼻を鳴らしリゾットを口に運ぶアリアンの耳が赤い。

照れてる?

可愛いなぁ。

なんかさ、妹(本当は弟・・・)ができたみたいでちょっと嬉しい。







最初に向かったのはエリンさんの店(本当はファズの店)。

アリアンは興味深そうに店内を見て回っている。

俺はパジャマ用のシャツとズボンを探してたんだけど・・・冒険者用の衣料店には置いてないのかなぁ?

探すより聞いたほうが早いかな。

「ファズさん、夜着にするようなものありますか?」

「夜着ですか?それでしたらこちらにございますよ」

俺に合うサイズのものをいくつか持ってきてくれた。

これからの時期用なのかな、毛羽立った生地・・・ネル?のシャツだ。

でも・・・

「ズボンはないんですか?」

渡されたのはシャツだけ。

「ズボン?眠るときに?」

寝る時はズボンを穿かない文化らしい・・・・・・

仕方がないから丈が長めのシャツを2枚買うことにした。

俺が希望する丈のものは2サイズ大きいものになったからかなりぶかぶかだ。

でも、どうせ寝るだけだしね、いいことにしよう!


購入して店を出ようとしたら、

「ただいま帰りました」

エリンさんが帰ってきた。

何か目の下に隈を作りながらも清々しい表情をしてる。

たぶんきっと今までダグさんの工房にいたんだろうな・・・

「あらあらあらあらまぁ!いらっしゃいませ!」

俺に気がついて満面の笑み。

「ついさっき、あなたの額飾りが出来上がったのよ。今から一緒に工房に行きましょう!」

そう言って俺の腕を引っ張った。

すごいバイタリティだよ。

帰ってきたばかりなのにすぐ出かけようとするエリンさんを、

「おいおい、今帰ってきたばかりだろう?」

ファズさんが急いで止める。

「それにこの子にも都合ってものがある」

一応、旦那さんとしての威厳はあるらしい。

恐妻家じゃなかったんだ。

「そうね、気が急いじゃって・・・ごめんなさい」

エリンさんが俺に謝ってくる。

「いえ、ちょっと吃驚したけど大丈夫です」

「これからの予定はどうなの?」

「買い物をした後にダグさんの工房に行く予定です」

「まぁ!それじゃぁその前にうちに寄ってもらえるかしら?私も一緒に行くわ」

エリンさんの言葉にチラッとファズさんを見ると苦笑を浮かべて頷いた。

「わかりました、寄らせてもらいますね」


「買い物は終わったのかや?」

エリンさんと話をしていたらアリアンが傍に来た。

アリアンに気がつくやいなや、エリンさんの目つきが変わる。

獲物を見つけた鷹の目!?

「んまぁぁぁぁぁっ!何て可愛いの!」

あぁ・・・なんだか嫌な予感。

「お人形が動いて歩いて話してるわ!」

そのエリンさんの勢いにアリアンも目を見開いて硬直。

「それにそのドレス!見たこともないものよ!あぁ、何て素敵・・・」

目が爛々と光ってて怖いです。

「お嬢さん、少し見せていただける?」

問いかけてるけどその気迫には有無を言わせないものが含まれ過ぎてますよ奥さん。

アリアンも呑まれてしまって無言でコクコク頷くだけだ。

「あら?あらあらまぁ?これはいったいどういうことなのかしら?」

なすがままのアリアンをあっち向けこっち向け、挙句の果てスカートを捲り上げて裏まで見て・・・

エリンさんは首をかしげた。

「あの?どうかしました?」

呆然としている俺と硬直しているアリアンを見かねてサラが話しかけてきた。

「前にトールさんのブレザー?をお借りした時も思ったんですけど、縫い方が不思議なんですよ。2本の糸が絡まりあう縫い方で・・・。まぁ、それも不思議なんですけどね、このお嬢さんのドレスはそれ以上に不思議なんです。確かに縫って作ったものなんですけれど、縫い始めがわからないの。ほら、このフリルも縫いつけてあるのだけれど・・・ね?糸端がないわ。それからこの豪華なレースも編み目が変わっててどう編んだものかがわからない。不思議ねぇ・・・」

「はぁ・・・そうなんですか」

サラにとってはエリンさんの言うことがチンプンカンプンらしく微妙な返事を返している。

「いったいどうやって縫って作ったのかしら?」

エリンさんがさらに首を傾げまじまじとアリアンのゴスロリドレスの裾のフリルを見ていたら、

「それはじゃな、このドレスが人の手で作られたものではないからじゃ」

立ち直ったアリアンがスカートを捲られたままの姿で厳かにそう言った。

うん、スカート捲られて中のドロワーズが丸見えなチューリップ状態だから威厳もなにもあったもんじゃないけどね。

「人の手で作られたものじゃない?」

エリンさんはドレスを元に戻して整えながらアリアンをまじまじと見る。

「うむ、このドレスはリィンがイメージしたものを妾が具現化したものじゃ」

「"いめぇじ"?」

「妾がリィンと出会ってすぐの頃じゃ。よく妾の内なる世界でリィンと語り合ったのじゃが、そのときにリィンが妾に似合うだろうとかつて自分が作ったというこのドレスを思い浮かべ、それを読み取って妾が具現化したのじゃ。このアクセサリーも全てそうやって作った」

「お嬢さん・・・人間ではないの?」

「うむ。妾は神剣、救世主の剣じゃ」

今度こそ、厳かに威厳を持ってアリアンは言った。

小さな衣料店の片隅でだけど。

「んまぁ!」

エリンさんはものすごく驚いて興奮している。

ファズさんは驚きすぎて固まったままだ。

立ったまま気絶してるのかも。

「じゃぁ・・・じゃぁ・・・トールさんは救世主!?」

キラキラな目で俺を見る。

エリンさん、テンション上がりまくりだけど、残念ながら俺は救世主じゃないんだよ。

「いや、今は理由わけあって透流と行動を共にしておるが、救世主は別におる」

そう、救世主は俺の親友なんだよね。

「そうなんですか・・・」

テンション急降下。


駄菓子菓子!


もとい。


だがしかし、そんなことで凹んでるエリンさんじゃなかった。


「神剣様・・・」

「アリアンじゃ」

「では、アリアン様、あなたの御召になっているドレスを基にした衣装を私が作ってもよろしいでしょうか?」

「ほほう、そなたがこれと同じものを作るとな?」

「はい、これでも腕には自信がありますの。トールさんの衣装を手がけたのも私ですわ」

「ほう!これをか!」

アリアンは目をキラキラさせる。

「して、このドレスと同じものを作ってどうする?」

「もちろん・・・」

エリンさんがチラリと俺を見た。

う・・・ものすごく嫌な予感。


「トールさんに着ていただきます!」


やっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!


「おお、透流にかや!」

「きっとお似合いだと思うんですよねぇ」

「うむ、妾もそう思うぞ!」

「アリアン様が純白であらせられますからトールさんは・・・赤?」

「妾は黒のほうが似合うと思うぞよ」

「でも、黒は不吉な色ですわ」

「ふん、そんなもの、昔の愚か者が勝手に決めたことじゃ。むしろ黒は何ものにも染まらぬ孤高の色、高貴な色なのじゃ」

「まぁ!そうでしたの!」

「見よ、透流のあの髪の色。美しいとは思わぬか?」

「えぇえぇ、確かにとてもお美しい・・・」

「ここだけの話じゃが、実はの、透流は目の色も黒なのじゃ。それは美しく神秘的な色じゃぞよ」


何かばらしちゃってるし!

てか、俺、アリアンに目の色見せてないぞ!?


「んまぁ!素敵!是非とも拝見させていただきたいわぁ」

「おぉ、よいともよいとも。透流、こっちに来てこのご婦人に目の色を見せるがよい」


何か勝手に決めちゃってるし!


「疾くと来ぬか!待たせるでない!」


命令しちゃってるし!


途方にくれてサラと腕の中のモーリオンを交互に見るけれど・・・


「トール、あの2人の勢いに私は逆らえないわ」

――うむ、我にも止められぬ。諦めろ――


2人とも薄情だ!


俺はすごすごと2人の傍に行き目の色を変える術を解いた。


「本当に・・・黒いわ・・・」

エリンさんがうっとりと俺の目を覗き込む。

「思ったとおり・・・リィンと同じ美しい目じゃ」

アリアンも満足気に頷いている。

「額飾りの細工、銀にしてよかったわ。金だと浮いていたかも」

「銀にしてよかったとな?」

「ほら、トールさんの目の色、魔力を帯びてるから時々銀の光彩が入るの」

「おぉ、まことじゃ!気がつかなんだわ」


ほえ?

銀の光彩?


「見せて見せて!」

サラも俺の目を覗き込んできた。

「あら、ほんと!綺麗な銀の星が見えるわ」


銀の星?


――ふん、いまさら気付きおったのか――

「え?モーリオン、前から知ってたの?」

――いつも言っておったであろう?透流の目は美しいと――

「・・・言ってた」

具体的にどう綺麗なのかを聞いておけばよかったとプチ後悔。


鏡が欲しいなぁ、自分でも見て確認したい。

「鏡ってないのかな・・・」

「鏡?あるわよ?」

そう言うと、サラは小さな袋を腰のポーチから出した。

あるのかよ!

「雑貨屋とかで探しても無かったから無いものとばかり思ってた・・・」

渡された袋を開けるとシンプルな木枠に入った小さな丸い鏡がでてきた。

「鏡は高級品だもの。こんな小さなものでも剣1本分するのよねぇ」

「そうなんだ」

ありがたく貸していただき覗き込む。

相変わらずの母さんそっくりな童顔。

「ね、銀の星があるでしょう?」

目を見ると、確かに目の表面じゃなくて奥のほう?に銀色の小さな光が時々見える。

・・・眼病?

――そんなわけがあるか。まったくお前というやつは・・・それは魔力の発露だ――

さらに人間離れしてきた感じ。

――だが、それがお前だ。我はそんなお前の目だけではなく全てが好きだぞ――

うん、知ってる。

ありがと、嬉しいよ。

俺もモーリオンの全部が好きだからね。

――うむ、我も承知しておる――

モーリオンが好きだって言ってくれるから、前は嫌だった自分が好きになれてきたんだよね。

モーリオン効果ってすごいよね。


ついでに額の契約石もしっかり見よう。

うん、モーリオンと同じ色だ。

触った感じよりちょっと小さいかな。

前髪で隠れる大きさでよかった・・・


鏡を見たまま精霊を呼び出し目の色を変えてもらう。

「おー、スペクタクル!規模小さいけど」

スゥーっと碧く変わる目の色が面白い。

うん、確かに俺が好きな泉の色だ。


「鏡ありがとう。また今度貸してね」

鏡をサラに返す。

「いつでもいいわよ。必要なときは言ってね」

うん、でもできれば自分のが欲しいかも。

「なんじゃ、もう戻したのか」

アリアンが残念そうに言う。

「だって、そろそろ次の店に行かないと時間が足りなくなるし」

買う物や探す物がいっぱいあるからね。

「そうね、ちょっとゆっくりしちゃったかも。次は雑貨屋だったかしら?」

「うん」

「もう行かれるの?トールさん、後で絶対寄ってくださいね?」

「はい」

「アリアン様、またいらしてくださいませ」

「うむ、また色々話そうぞ」

エリンさんとアリアン、波長が合うのか、意気投合したみたいで・・・ちょっと怖い。

何か悪いことが起きそうだ・・・俺にとって。


あぁ、幼い頃の思い出トラウマが・・・

なんだか泣きそう。


――透流、もうすでに泣いておるぞ?――

モーリオンが零れた涙を吸い取ってくれた。




長くなりそうだから一旦切ります。

アリアンとエリンさんをもっと絡めたい・・・今後の展開ちょっと変えようかな。


なんだか最近集中力がすぐに切れる。

一応読み返しましたが・・・間違い等がございましたらご連絡ください。

ついでに感想・・・ゲフゲフゲフ

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