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華も嵐も踏み越えろ!  作者: ゆえ
38/52

第38話 BLと書いてビーストラブと読みます

もうね、副題をタグに・・・むしろジャンルにしたほうがいいと思うの。

宿への帰路、ネコは腕の中でずっといい子にしていたけど、時々俺を見上げて鳴く。

なんて言ってるんだろう?

その度にレボに通訳を頼む。

――透流様が飼い主ではないことがやっとわかったようですね。しかし、似ている似ていると何度も繰り返しています――

「そんなに似てるんだ?」

俺はネコに話しかけた。

「うにゃにゃにゅぁ~ん」

喉を鳴らし甘えたような変な声。

――似ていると・・・そっくりだと言ってますね――

「そっくり・・・」

黒き魔女?

・・・んなわけないか、このネコ、魔物じゃない見たいだし、ほら、ネコって視力は人間ほどないとかって言うじゃん?

「そっかー、似てるのかー」

喉をくすぐると、

「ぐるぐる・・・うにゃぁ~ぉう」

甘えた声で鳴く。

ほんと、こいつって猫なのに目はちょっと小さいし鼻は微妙に大きめでふてぶてしい顔してて不細工なんだよな。

んでもって泣き声はちょい低めだし・・・

「お前、オスか?」

脇に手をやりプランと持ち上げて観察。

「お、しっかり付いてる」

「ぶみゃぁおうぅぅぅぅ」

鳴き声と同時に顔を蹴られた。

――見るなと言ってますね――

うん、今のはなんとなくわかったような気がした。

でも、そのキックはかなり手加減してくれてて爪も出してないし威力も無いから痛くない。

むしろ肉球の感触が気持ちいい。


「肉球ぅぅぅぅぅぅぅ」


ガシッ!っと手を掴みその肉球をムニムニする。


ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに・・・・・・


ああん、気持ちいいぃぃぃっ!


――そんなに気持ちがいいものなのか?――

頭の上からモーリオンが覗き込んできた。


「ぶぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


瞬間、ネコがシャキンッ!と爪を出しモーリオンを攻撃。

――おおっ!危ないではないか!――

ぎりぎりで避ける。

モーリオンがギリで避ける攻撃って・・・

「ネコ、お前すごいな!」

さっきと同じように持ち上げて今度は視線を合わせる。

「モール、ギリだったぞ」

小さいくて目つきが悪いくせに意外と綺麗な青い目を覗き込むとピンクの舌で俺の鼻の頭を舐めた。

くすぐったい。

――む・・・・・・――

モーリオンが頭から腕に降りてきた。

「ちょっ!3匹は無理だって!」

腕の中にモーリオンとネコとモーリオンのぬいぐるみ。

重くはないんだけど嵩張る!

おまけにネコとモーリオンが場所取り?をはじめちゃうし・・・


「あーーーーーっ!もうっ!」


俺は手の中にぬいぐるみだけ残してモーリオンとネコを放り出した。

くるんと一回転して着地するネコと軽く滑空して着地するモーリオン。


――透流、いきなり投げるな。驚くではないか――

「ぶみゃぁぁぁ」


抗議してくる。


「腕の中で暴れるほうが悪い!おとなしくしてくれなきゃ、もう抱っこしないからね!」


「む・・・すまない」

「みゃおぅ・・・」


反省したようだ。

俺はぬいぐるみをレボに持ってもらってる四次元買い物袋エコバッグに入れ、

「ほら、おいで」

呼ぶ。

とたんに喜色満面、同時に俺の腕の中に文字通り飛び込んできた。

「いい子にしてないとまた投げちゃうからね?」

軽く睨んで言うと、

――うむ――

「みゃう」

コクコクと頷いた。


「・・・トール」

「ん?何?ラウル?」

「・・・お母さん」

「・・・言わないで、俺も一瞬そう思ったから・・・・・・」







のんびり半分じゃれながら(とくに俺とネコとモーリオン)歩いていたから宿に着く頃は夕闇が迫っていた。


「荷物を置いたら食事にしましょう」

「そうね、でもあまりお腹減ってないのよねぇ」

「実は俺もなんだよな。トールは?」

「俺はまともに食ってないからペコペコだよ」

そう言ってモーリオンを見ると、

――すまない・・・――

シュン・・・としょげている。

「まぁ、いいけどね。また明日食べに行く!」

「そうね、今度は私もキーマを食べてみたいわ」

「そうですね」

「・・・俺は辛くないのでいい」

「ラウルはお子様舌だもんねー」

「うっ・・・悪いか!」

「悪くないよー、可愛いだけ」

「そうそう、ラウル可愛いわよー」

サラがラウルの頭を両手でくしゃくしゃに掻き回した。

「やーめーろー!」

「やーめーなーいー」

「おーれーもー」

参加。

「おい!トールまで!」

「うひゃひゃひゃひゃ」

「うふふ、か~わい~い」

「2人がかりって・・・卑怯だぞ!」

「えー」

「卑怯じゃないでしょう?」

「だからぁぁぁぁぁぁぁあんっ!ちょっ!?どこ触るの!?やめっ!」

「あ、もしかして・・・感じやすい?」

「あら、素敵な反応」

「はぅっ!やめっ!」

「おおー、耳まで赤くして可愛い反応!」

「いやん、涙ぐんじゃってる」

サラと2人でラウルを弄くってたら、

「いい加減にしなさい、ラウルで遊ばない」

セレンがさり気なく俺たちの手からラウルを救い出した。

流石はラウルのお兄ちゃん、手馴れてる。

ラウルはセレンにしがみついて肩口に顔を伏せている。

耳から首筋まで真っ赤だ。

セレンが軽く抱きしめて背中をぽんぽん叩いて宥めてる。

うん、ちょっとやりすぎた?

「ごめん、ちょっと遊びすぎちゃった」

「ごめんねー、反応が可愛いからつい・・・」

「気持ちはわかりますが・・・」


わかるんだ。


「泣くまではやめてあげてください」


泣かなければいいんですね、わかりました。

俺は頷く。


「今度からは泣く前にやめる」

「そうね、泣く前にやめるわ」

「そうしてください」

「俺で遊ぶこと自体はやめないのかよ・・・」

「「うん、やめない」」

「あぅぅ・・・セレン、二人がいじめる・・・」

「ラウル、諦めなさい。まぁ、適当に助け出してあげますから。・・・それよりも、そろそろ宿に入りましょう。注目されてますよ」


セレンは深く溜息を吐いた。




部屋に荷物を置くと食堂に集合。

3人は軽く、俺はガッツリ食事を取る。

食堂はほぼ酒場になっていたから邪魔にならない一番隅っこの席、レボも俺の足元でおいしそうなご飯をもらって食べている。

反対側ではネコが同じように食事中。

モーリオンはお昼にガッツリ食べたから俺の膝で丸くなって寝てる。


「うみゃぁおぅ」

ネコが食べながら鳴いた。

「ん?どしたの?」

「うみゃぁおぅ」

うん、わからない。

「レボ、通訳お願い」

――おいしい・・・と言ってるようですね――

レボに軽く頷き、

「そっか、おいしいのか、よかったね」

ネコに笑いかける。

「みゃおぅみゃうみゃーお」

「えと・・・?」

――作った人・・・?料理人ということですかね?・・・上手?・・・?ちょっとわかりにくいですがそのようなことを言ってます――

「料理人の腕がいい・・・てことかな?」

「みゃう」

ネコが頷いた。

「みゃうみゃうぅみゃーご」

――・・・私を通して話すのが面倒だといってますね――

レボが苦笑した。

「みゃおぅにゃぁぉう」

――・・・おや?・・・・・・魔力があれば話せるようになると言ってますね・・・――

――・・・そのネコは魔物か?・・・そんな気配は無いぞ?――

レボの通訳にモーリオンが片目を開けてチロリとネコを見る。

――確かに魔物の気配は皆無です。魔力もまったく感じませんね。ただのネコにしか見えないのですが・・・――

なんなんだろう?

俺たちは首を傾げた。




お酒を飲んでから部屋に帰ると言う大人3人を置いて俺は先に部屋に戻った。

レボは昨夜と同じく俺が泊まっている部屋の窓の下へ。

部屋に戻って最初にしたことはシャワーなんだけど・・・うん、大変だったとだけ言っとこう。

モーリオンと入ろうとしたらネコまで入ってきて・・・

ネコが俺の股間見て残念そうに溜息吐いたとかお湯を嫌がって暴れてバスルームが悲惨なことになったとか・・・・・・

詳しく思い出すと精神衛生上弊害があるからやめとく。



「さて、はじめようかな」

――何をだ?――

「もちろん"隠蔽大作戦"だよ」

――・・・・・・魔法付与か――

「そうとも言う」

――いや、そう言ったほうがわかりやすいと我は思うのだがな――

「さてはじめましょ!」

俺は呆れたようなモーリオンの声をスルーして買い物袋に手を突っ込み、今日の戦利品の中からセレン用のラウル人形と、サラ用のラウルクマと、ラウル用のもふもふでくたくたなウサギを取り出した。

ベッドに並べたその3つをネコも興味深そうに見ている。

――しかし・・・そのラウル用のウサギか?・・・は、大きいな――

もふもふでくたくたな真っ白いロップイヤーのウサギはくて~っと座らせた状態で1mはある。

でも、抱き心地は最高だ!

「可愛いだろ、このウサギ。絶対にさ、ラウル泣いて喜ぶと思うよ」

――喜ぶかどうかはわからんが・・・確実に泣くだろうな・・・――

モーリオンがフッ・・・と笑う。

うん、スルー。

「さてと、かける術は・・・抱きしめるとスイッチON、遠赤外線効果でほんわり温まって、放すとスイッチOFF。それから汚れ防止と、壊れないように強化かな?あぁ、あと、持ち主登録もしよう。せっかくのカイロだもの、置き忘れたり盗まれたりしたら大変だよね」

――持ち主登録?――

「うん、どっか行っちゃってもちゃんと戻ってくるの」

――・・・・・・歩いてか?――

「あ、それいいね!採用!」

俺がそう言うと、モーリオンは遠い目をして溜息を吐いた。

何?その言わなきゃよかったって態度は。

――置き忘れたり盗まれたりしないことを祈るぞ――

「ぬいぐるみがトコトコ歩いてるの可愛いじゃん!」

「みにゃ・・・」

ネコもなんか呆れたように俺を見てる。

・・・まぁ、確かに自立歩行するぬいぐるみが通りを歩いてたらシュールな光景かもしれないけどね。


とりあえず、実行!


ぬいぐるみ3体をまとめて結界、術展開!

持ち主登録は3人が来てからにしよう。


「暖かいカイロにな~ぁれ!」


ピカーッと光って出来上がり。

ためしにラウル用のウサギを抱きしめてみる。

むふっ!

もふもふで気持ちいい!

「おお、成功だ、暖かい!」

――どれどれ――

「にゃおう?」

モーリオンとネコにも触らせてあげる。

――おお、確かに暖かいな――

「うにゃぁ」

「あ、そうだ、明日はネコ用にふかふかなクッションを買って暖かカイロにしてあげるね」

そう言うと、

「にゃぁ」

ネコは嬉しそうに尻尾を揺らして鳴いた。


出来上がったカイロを袋にしまい、思い出す。

「あ、重さ消す術!」

これかけとかないと大変だ!

俺は袋を結界で包み術を展開。


「軽くな~ぁれ!」


はい、完成!

持ってみたら袋の重さだけ感じる。

大成功!


うん、理論はまったくわかんないけど魔術ってすごい!


「さぁ、次ぎ行ってみよう!」

取り出したのは食料庫にする書類箱。

――これはどうするのだ?――

「冷凍冷蔵庫にしようかと思ったんだけどさ、よく考えたらそれだと長期保存できないでしょう?」

――よくわからんが、そうなのだな――

「うん、だからね、入れたときのまま状態維持できるようにしようと思うんだ」

書類箱を結界で包み術を展開。

中の空間を広げて、口というか枠も捻じ曲げて、状態維持は・・・時間を止める?お、展開できた!

理論はこれっぽっちもわかんないけど!


「保存庫にな~ぁれ!」


ピカッと光って完成!


たぶん成功。

「明日、アイスクリーム作るね」

入れてみないとわからない。

――おお!楽しみだ――

「みにゃ?」

「冷たくて甘くておいしいよ、ネコにも食べさせてあげるね」

「にゃぁ」


「とりあえず今日はこれだけかな?」

――そのベルトに付いているのは中を広げなくてもいいのか?――

「あ、忘れてた」

ベルトからポーチを外す。

「一応状態維持もかけておこう」


3個のポーチもエンチャント終了。

後は注文のアイテムが手に入ってからだね。


「みにゃぁ、にゃおぅぅんにゃぁ」

ネコが何か言ってるけどわかんない・・・

「なぁ、ネコ?お前さ、魔力があれば話せるのか?」

ネコをギュッと抱っこしてベッドに寝そべる。

ちょっと固めのマットだけど気持ちいい。

明日パジャマ買わなきゃ。

買い忘れてたよ。

パンツとシャツも洗わなきゃなぁ・・・面倒だな・・・

「・・・あふぅ」

欠伸が出る。

――そろそろ休むか?今日は疲れただろう――

「うん・・・」

色々あって疲れた。

――おやすみ、透流――

うん・・・おやすみモーリオン。

灯りを落としてモーリオンが枕元に丸くなった。

ネコ、暖かいな・・・

あぁ・・・眠い、すごく眠い。

睡魔が来る。

瞼が下がる。

体が眠りに意識が沈みこむ感じが気持ちいい・・・・・・

緩んだ腕からネコが抜け出した気配。

「んにゃぁご」

ネコが俺の唇を舐めた。

「ん・・・なぁに?」

眠気に抵抗しつつネコを見る。

薄暗い中、青い目が宝石のように光ってる。

綺麗。

「ネコ?どしたの?・・・ぅんっ」

ネコが俺の口に自分口を押し付けて舌を入れてきた。


え?


ネコとキス?


薄くて小さくてザラザラした舌が俺の口の中を舐める。


「んんっ・・・」


押し付けられる口。


眠りに落ちかけてた所為か反応が遅れた。

ネコに唇を貪られるってどうなの?

半分寝てる頭でぼんやりと思う。


「ぁふ・・・ん」


ネコ・・・キスが上手い?

頭の芯が痺れた感じ。

何かが唇を通じでネコに流れて行ってる。


あれ?


これって、魔力?


――透流?――


モーリオンが起きたみたい。


――何をしている!――


状況に気がつき怒りで魔力が高まる。

でも・・・

モーリオンが攻撃する前に部屋が銀色の光で満たされた。


え?何ごと!?


流石に俺も眠気が吹っ飛ぶ。


俺の上に乗ってたネコの重みが一気に増す。

胸が圧迫されて呼吸し難・・・い?


あれ?


唇の感触が変わった?


あれれ?


フワリと顔にかかるのは・・・銀色の・・・巻き毛?


頬に当てられるのは小さな人間の手?


近すぎて焦点が合わないけど・・・


目の前にあるのは人間の顔?


「ぁ・・・んふ・・・んんっ・・・」


吸い上げられ、甘噛みされ、舌を絡められ・・・

意識が飛びそうだ。

ぴちゃぴちゃと濡れた音がいやらしくてゾクゾクする。


柔らかな唇と舌に散々貪られた唇が解放されたとき、俺の息はあがり、目には涙が浮かんでた。

気持ちよすぎてクラクラしながら俺の上に乗り見下ろしてくるネコだったモノを見上げる。


涙でぼやける視界。

でも、はっきりわかる。



ネコはゴスでロリな真っ白いドレスを着たものすごい美少女になっていた。



青かった目は不思議な銀色の目。

ふわふわと銀色の巻き毛が波打って・・・・・・



あれ?



美少女?



ネコってオスだったよね?



あれれ?



じゃぁこの子は・・・女装した美少年?





・・・何を書きたいのかよくわからなくなってきてたけど、何とか再会に向けて進んだかな?

衝撃の事実!

美少女は美少年だった!

うん、自分でも吃驚。


間違い等・・・以下略。

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