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華も嵐も踏み越えろ!  作者: ゆえ
30/52

第30話 お買い物に行こう!①

お買い物編①です。

ラウルでオチも付いたことだし、俺はもう開き直ることにした。


――ラウルは関係ないのではないか?――

モーリオン、そんなこと気にしてたら終わっちゃうよ?

――そういうものなのか?――

うん、そういうものなの。

気にしなーい!

――うむ、わかった――


「でね、俺のプラン聞いてもらえる?」

大人の3人が、夕食後、軽くお酒を飲んでくつろいでるところに俺は切り出した。


「ぷらん?」

サラがほんのり頬を染めて聞き返してきた。

サラ、意外とお酒に弱い?

ほんのりピンクなほっぺと潤んだ目が結構色っぽいぞー!

でも中身は猛獣(猫科)だから気をつけようね!

「うん、計画。名付けて"便利が一番!魔術付与で楽しい異世界ライフ!大丈夫、隠蔽工作ばっちりだ!計画"」

「長!」

「略して"隠蔽大作戦!"」

「略してないし!」

「・・・ラウル、いちいちツッコミありがとう、でもうるさいよ」

「まさかとは思いますが・・・付与しまくるのではないでしょうね?」

セレンが渋い顔をする。

「セレン、そんな顔ばかりしてると老けるの加速するよ?」

「させてるのはトールでしょう・・・」

「あはは・・・でも大丈夫!何でもかんでもするわけじゃないからね。まず1個目の計画は・・・」

俺はプランをみんなに話した。


まず1つ目、"四次元カバン"

某猫型ロボットのポケットもどきを作る。

2つ目、"なんちゃって携帯電話"

四次元カバンの小型版の糸?電話で4人で連絡が取り合えるようにする。

3つ目、"俺たち強いぞすごくない?"

みんなの装備に俺のと同じ付与をする。

4つ目、"携帯食料庫"

四次元カバンの食料専用バージョンで、中に入れた物が入れた時のままの状態を維持できる物を作る。

5つ目、"ホカホカいつでもあったかカイロ"

これから寒い季節になるからレボで温まれない3人にカイロを作る。


「どうかな?」

「おお~・・・って、それ全部できるのか?」

「うん、たぶんきっとできちゃうと思うんだよね」

「じゃぁ、明日はその材料のお買い物?」

「うん。背負うタイプのカバンが欲しい。あとは携帯用の小さな箱と、レボに運んでもらうカバンと、カイロ用の何かかな?」

「カイロ用の・・・何か?何でもいいのですか?」

「一応、何を使うかは決めてるんだけどね。俺に任せてくれる?」

「トールが作るんですもの、お任せするわ」

「そうですね、そのほうがいいでしょう」

「うんうん、トールの思うようにやればいいと思うよ」

「ありがとう!ちゃんとみんなに合う物で作るからね!」

俺は全開の笑顔でそう言った。


――・・・・・・なんだか嫌な予感がするのは我だけだろうか・・・――

うん、モーリオン、それ気のせいだから!







翌朝、朝ごはんを食べたあとファズの店に行ってエリンさんに会った。

頼んでいたパンツは丈が短めのトランクスとボクサーの中間っぽくて、この世界には伸縮する布が無いからその代わりに両サイドが伸縮する紐で編み繋がれていた。

ちょっと伸ばしてみたらいい感じ。

何でも、これからこのパンツを量産して店で扱うそうだ。

セレンとラウルもついでに買ってた。

奥を借りて穿いてきたみたいだけど・・・

「うん、何かいいなこれ」

「そうですね・・・穿いてすぐは圧迫感がありましたが・・・なんかこう・・・収まるというか・・・」

「そうそう、それが何かいいんだよな」

気に入ったみたい。

パンツの良さが世界中に広がるといいと思うよ!


それから、衣類を入れなさいと新作のカバンをもらった。

ランドセルをちょっと薄くして大人サイズにした感じの白い革カバン。

やっぱり蔓草が刺繍してあったりするし・・・

旦那のファズさんもう涙目。

でもこれで俺の分のカバンを買う必用なくなっちゃった、ラッキー!


早速、買ったばかりのパンツを入れて背中に背負ってみる。

おお、軽い!

「エリンさん、ありがとうございます。カバンが欲しかったからすっげー嬉しい!」

「気に入ってもらえてよかったわ」

エリンさんニッコリ。

「・・・あら?昨日ダグの工房に行ったのよね?」

でも、俺の顔を見て首を傾げる。

「はい、行きました。紹介していただいて感謝しています。ありがとうございました」

「あらそんな、当たり前のことをしたまでだわ。それよりも、トール、ダグから髪飾りをもらわなかった?」

「あー・・・うん、もらったんだけどね・・・」

どうしよう、話してもいいのかな。

俺は話しても構わないとは思うんだけど・・・

どうしよう?とセレンを見ると頷いてくれたので全部話すことにした。


話し終わったら、

「こうしちゃいられないわ!」

エリンさんはバタバタと奥に走っていった。

その剣幕にみんなで唖然としてたら、

「ちょっと出かけてきます!」

大きな荷物を持ってやっぱり走って出かけていった。

なんというか・・・・・・

旋風つむじかぜのような人ですね・・・・・・」

うん、すごい人だ。

でも、何をしにどこへ行ったかがわかるからちょっと怖い。

どうか派手じゃない物を作ってくださいお願いします、切実に願ってます。




その後、ファズさんにお勧めの店とか食堂とかを教えてもらい俺たちは買い物に出た。


「手分けして必要なものを買いましょう。昼食はみんなでとりますから、昼の鐘がなったらここに集合」

「了解」

「トールは私と一緒ね」

「はい」

「では、私はダグの工房に行ってきますので・・・羽目を外さないようにお願いしますよ?」

セレンは俺とラウルを交互に見る。

「大丈夫!ラウルのお守りはちゃんとするから安心して!」

俺は胸を張って宣言した。

「おいおい、なんで俺のお守りなんだよ」

「セレンが目で"ラウルが心配"って言ってたからね」

「いや、俺には"トールが心配”と言ってるように見えたけど?」

「それ絶対気のせいだって」

「いやいやいや、それこそ絶対気のせいだ」

セレンが、

「二人が心配なんですよ、私は・・・・・・」

言い合う俺たちを見て溜息を吐いた。


幸せ・・・かなり逃げちゃったよね、セレン。

――溜息を吐くと幸せが逃げる・・・というやつか?――

うん、そう。

――その原因の一端はお前にあると我は思うのだがな――

そうかなぁ?

俺としてはラウルが原因だと思うぞ!

――・・・まぁ、確かにラウルもかなり溜息を吐かせてはいるな――

でしょー!


「私はあなた方二人が"揃っている"ことが心配なんだということがわかりました。ですから・・・ラウル、あなたは私と来てください」

「俺も買い物があるんだけどなぁ」

「午後から私が付き合いますよ」

「・・・仕方ないか、了解、午前はセレンに付き合うよ」

「まぁ、そのほうがいいかもね。トールとラウルの掛け合い話は周囲を巻き込む確率が高いもの」

「なんだよそれー!俺とラウルは害にも毒にもならない会話しかしてないぞ!」

「聞いてる人の脱力を誘う会話は十分害にも毒にもなりますよ・・・」

「トール・・・俺たち脱力誘うような会話したか?」

「してないと思うよ」

「だよな」

「うん」


――たぶん・・・お二人が一緒にいるだけで周囲が和み過ぎるのではないかと思います――

――うむ、そうだな――


「ラウル・・・」

「何だトール?」

「レボとモールがさ、俺たちは和み系なんだって言ってる・・・」

「あー・・・その二人が正しい!あんたたちは和み系だわ。そこに持ってきてその何処かずれた掛け合い話が拍車をかけてるってことね」

サラがうんうんと頷く。

「やはり最善策は二人を離しておくことですね。さぁ、行きますよ、ラウル。さっさと行きましょう。これ以上の面倒ごとは面倒です!」

セレンはラウルの腕を掴むとさっさと歩き出した。

「ちょっ!セレン、待てって!」

転びかけながらもラウルは一緒に歩きだす。

仲がいいよね、あの二人。

「兄弟みたい」

「ほんとよねぇ、なんて言うのかしら・・・手の掛かる弟が可愛くて仕方がないお兄ちゃん?」

「うんうん、そんな感じ!」

「付き合いが長いからかしら」

「付き合いが長い?」

「あの二人がパーティーを組んだのは12年前なんだって。ラウルが14歳でセレンが16歳の時。それからずーっと一緒。長いわよねぇ」

「そんなに前から組んでるんだ。・・・あれ?サラは?」

「私は2年前からよ。たまたま一緒になった護衛の依頼で意気投合しちゃったのが運のつき?ちょうど一人だったし、勢いで仲間入り」

「そうなんだ」

「2人が出会ったきっかけとかは聞いてもはぐらかされちゃってよくわからないんだけどね。出合った時からあんな感じ。最初に依頼で顔合わせした時は恋人同士かと思っちゃったわ。さりげなくラウルの前にセレンが立つのよね。魔法使いは剣士の後ろに立つのが普通だからちょっと気になって色々話しかけてね、で、結局親しくなってパーティー組むことになったの」

「2人が出会ったきっかけって何だろう?気になるよね」

「何回か聞こうと思ったんだけどね、その話題になるとラウルが困ったように笑うから聞けず仕舞いなの。セレンも渋い顔をするしね。無理して聞いて気まずくなるのも嫌だし、もう聞かないことにしたわ」

ラウル関係で何かあったのかな?

――前に立つ・・・ということは背後にいるものを守るということでもある。出会った時にきっと何かがあったのだろう――

気にはなるけど・・・聞かない方がいいよね。

――うむ、聞くべきではないだろう――




「あったあった、トール、この店よ」

ファズさんが教えてくれた雑貨屋さんはこじんまりとしていたけれど品揃えが豊富みたい。

店先にまで品物があふれてる。


「いらっしゃいませ」


奥から小太りのおばさんが出てきた。


「あらあら、可愛いお客さんだこと」


その目が俺とモーリオンの方を見てる。

うん、可愛いのはモーリオンだよね!ちっさいし!

――いや、確実に視線はお前に向いておるぞ――

えー、モーリオンだよー


「可愛い冒険者のお嬢さん、それから小さなドラゴンさん、いらっしゃいませ」


二人共だったみたいです。

おまけに俺のことお嬢さんて・・・・・・


「この子、こう見えても男なの」

サラがクスクス笑いながら言うと、

「まぁ!そうだったの、ごめんなさいね。可愛いからすっかり女の子だと思っちゃったわ」

おばさんはそう言ってニッコリと笑った。

間違えられるのはきっとこの衣装の所為だ!

エリンさんのばかぁー!

――衣装の所為にするものではないぞ。お前自身が十分可愛い――

むー・・・

ありがと、小さなドラゴンさん。

――どういたしまして――

ぜんぜん応えてないー!

――自分の姿が"今は"小さいことくらい自覚しておるからな――

モーリオン・・・可愛くない!

――お前は可愛いぞ――

モーリオンなんて・・・モーリオンなんて・・・・・・

――大好きなのだろう?――

・・・うっ、うわーーーーん。

その通りだから否定できないーーー!


落ち込んでしゃがみ込む俺と、その頭の上で踏ん反り返ってるモーリオンをサラは笑いながら見てたけど、

「ほらほら立ちなさい。買い物するんでしょう?」

「うん、買い物する」

「かっこいい冒険者さん、何がご入用ですか?」

おばさん・・・そんなに笑わないでよ・・・・・・


まずは"なんちゃって携帯電話"に使えそうなコンパクトな箱かな。

希望としては・・・やっぱり携帯電話サイズでできるだけ丈夫なものがいいな。

あと、横でも縦でもいいから蓋は繋がったまま開くやつ?


おばさんに俺の希望を言うと、

「あなたの欲しい形の物は無いわねぇ・・・」

困ったように言う。

「急いで欲しいの?」

みんなの武器ができるのが1ヵ月後位だって言ってたから・・・

「そんなには急いでないです。あの・・・いつごろ入荷しますか?」

「あぁ、そんなにはかからないと思うわ。私が作るんですもの」

「えぇ!?おばさんが!?」

もしかしてここにあるものおばさんが作ったの!?

驚いて店内を見回すと、

「ここにあるもの全部じゃないわよ。ほら、そこの小箱とかポーチとか、そんな小間物を作ってるの」

棚の上に並べられた可愛い小箱を指差した。


小箱は色々種類があって、それぞれ違う素材で作られていた。


じゃぁさ、じゃぁさ!


「俺がこんなのを作って欲しいーって言ったら作れちゃったりする?」

「そうねぇ・・・私にできる物だったら作るわよ?」

「箱を上下に仕切る内箱もできる?箱の内側にぴったり収まるのがいいんだけど」

「やったことはないけれど・・・できると思うわ」

「えと、さっき欲しいって言ってた箱なんだけど、外側と蓋の部分をこの素材で、仕切りの内箱の底をこっちの薄いので作ることってできる?」

「底を薄い物で作るの?」

「うん。できれば破れ難い素材がいいんだけど、こうやって・・・」

俺はその薄い素材でできた箱を口にかざして

「あ~~~~~」

声を出す。

思ったとおり、箱が震えた。

「声で震えるくらいの物がいいんです。理想の震え方は・・・えと」

何か無いかな?

お、これがいいかも。

張りのある薄い・・・これは布?紙?革?

「これなんかが理想に近いかも。これって何ですか?」

「それはね、スライムイールって言う魚の魔物から取れる革よ。こんなに薄いのにすごく丈夫なの」

「魚!?」

「えぇそうよ。意外でしょう」

「うんうん、意外だ」

でも、理想の薄さだぞ、これ。

「底にこの薄い革を使った内箱入りの小箱を4つ作ってください。色とかにはこだわらないけど・・・」

ちょうど目の前にいいものがあった。

安っぽいけどきれいな透明の色石が使ってある髪飾り。

「これに使ってある色石のえと、赤と青と緑と黄色、それから真ん中にちょっと大き目のこの透明の石を蓋に飾りでつけてください。それ以外の装飾は無しでいいです」

無理な注文かなぁ・・・

おばさん不思議そうな目で俺を見てる。

「・・・あの・・・できますか?」

「あ・・・えぇ、できますよ。でも、一体何に使うの?こんな変な注文もらったの初めて」

「う~ん・・・内緒ってことで」

俺は思いっきりニッコリ笑った。

おばさんは一瞬驚いたけど、

「そうね、詮索はやめましょう」

ニッコリ笑い返してくれた。

「他には何がご入用かしら?」

「えと、表にいる狼の背中に括り付けられるカバンが欲しいんです。負担かけたくないから軽くて柔らかい素材で、できれば背中にあたる部分はクッションになってるといいかも。俺が背中に乗ることもあるから邪魔にならないようにしたいんだけど・・・これもやっぱり別注になる?」

「なりますね」

あう・・・

「・・・さっきの小箱とあわせていくら位になるかな?高かったら諦めなきゃ・・・」

「そうねぇ・・・」

おばさんはちょっと考えてから値段を言った。

「サラ、この値段て高いかな?」

「そうねー・・・ちょっと高いけど特別に注文してるわけだし、妥当だと思うわ」

「買ってもいいかな?」

「元はトールのお金よ。十分足りてるし必要なものだから注文しちゃいなさい」

「ん、わかった。じゃぁ、注文します」

「はい、承りました。それじゃ、その狼さんの寸法を測らせてもらってもいいかしら?」

「はい、宜しくお願いします。・・・えと、中に呼んでもいい?」

「えぇ、他にはお客さんもいないし、呼んでもいいわよ。・・・あ、暴れたりしない?」

「しないしない!レボはとってもいい狼なんだ。連れてきますね」

「あ、待って、トール」

呼びに行こうとしたらサラに待ったをかけられた。

「このお店、品物がいっぱいだからレボにはちょっと狭いわ。裏とかがあったらそこのほうがいいと思うの」

「あ、そうか、通路がちょっと狭いかも」

「でしょう?」

「うん。・・・おばさん、裏とかってある?」

「ありますよ。通用口になるけれど・・・案内するから一緒にいらっしゃい」

「ありがとうございます」

俺はおばさんと一緒に表に出た。


レボはいつもと同じようにゆったりと身を横たえ興味深そうに道行く人を眺めていた。

「レボ、カバンを作ってもらうことになったんだ。でね、レボに運んでもらうカバンだから寸法を測りたいの。一緒に来てもらえる?」

俺がそう言うと、

――もちろん!ご一緒させていただきます――

レボは嬉しそうに尻尾を一振りしてくれた。

「この狼さん?・・・大きいわね・・・もしかして、魔獣?」

おばさんはちょっと引き気味だ。

「うん、俺と契約してるから大丈夫だよ」

そう言って首にしがみつき擦り寄ってもふもふ感を堪能してみせると、おばさんはホッと息を吐き苦笑を浮かべる。

「ごめんなさいね、こんなに大きな魔獣を見たことが殆どないから驚いちゃって」

そっとレボの頭に触れると、

「あら、気持ちいい・・・」

撫で撫でしはじめた。

「見た感じでは固そうだったのに・・・なんでしょう、この気持ちよさ!」

おばさん、うっとりとレボを撫でまくる。

「でしょー!レボ、超気持ちいいの!」

「えぇえぇ、気持ちいいわぁ。この毛並みを傷めないようなカバンを作らなきゃね」

「宜しくお願いします」

俺はぺこりと頭を下げた。


レボを裏まで連れて行くと、俺は店に戻った。

店ではサラが何か色々物色中。

「何かいいものあった?」

「ちょうど石鹸がなくなりかけたから買おうと思ってね」

「あ、俺も欲しい」

「ここね、何か香りつき?いい匂いの石鹸があるわ」

「おお、そうなんだ!」

俺も物色。

・・・へぇ、匂いはハーブっぽいかな?

まんま石鹸臭よりこのほうがいいいよね。

いろんな匂いがある。

――我はこっちのほうが好きな匂いだ――

「こっちがいい?んじゃこっち買っちゃおう」

――いいのか?――

「うん、俺はどっちも好きだから、どうせならモールが好きなほうがいい」

――ありがとう――

「どういたしまして。また一緒にお風呂・・・なんちゃってシャワーあびようね」

――・・・うむ――

モーリオンはちょっぴり怯みつつ頷いた。


あとは・・・食料庫用のできればBOXタイプの入れ物欲しいよね。

入れるときや取り出すときに便利だし。

――そこの箱はどうだ?――

これ?

――うむ――

ちょっと大きいかな。

もう一回り小さくていいし、高さもいらないかな。

どうせ中は四次元だー!

――この箱はどうだ?――

どれ?

――これだ――

これ?

――うむ――

うん、大きさはちょうどいいね。

蓋は観音開きでデザインはシンプル・・・というか何の意匠も無い。

実用一点張りの書類入れなのかな?

大きさはA4サイズ、厚みは両端が5cmくらいで中央にかけて緩やかな山になっていて一番高いところで7~8cmくらいかな。

よし、これにしよう。


「ねぇねぇ、トール!これ見て!」

「なになに?」

サラがやたら嬉しそうに呼ぶから行ってみると・・・

「ぶ・・・」

思わず吹いた。

「ね、ね、似てるでしょ」

サラもニヤニヤが止まらない。

「似てるーーー!」

やばいよ、やばすぎるよこれ!

――おお、これは・・・っ!――

「ね、モールもそう思うでしょう!」

もう、これ作った人天才!


サラが手に取り俺に見せたのはぬいぐるみの剣士人形。

髪の色こそ薄い茶色だけど、大きな青い目とか、全体からかもし出す"ほにゃん"とした気の抜ける雰囲気とかがもう、ラウル!

ニッと片方だけ唇を持ち上げた笑顔までそっくり!

これは・・・・・・


「買うべきだわ!」

「俺もそう思う!」


そして5つ目のプランに使おう!


「サラ、このなんちゃってラウル人形をさ、ほかほかカイロにしてセレンにあげようよ」

「あら、それはいいわね。弟が可愛くて仕方がないお兄ちゃんにぴったりね」

サラからラウル人形を受け取ってまじまじと見る。

見れば見るほど似てるよこの子。

「きっと抱っこして可愛がってもらえるぞー!よかったな、ラウル!」

視線を合わせると青いビー玉みたいな目が嬉しそうにキラッて光った。

「ついでにサラとラウルの分のカイロにするもの買おう。俺ね、ぬいぐるみで作ろうって思ってたんだ」

「あ、じゃぁ私はこれがいいわ」

サラが取り出したのは30cm位の大きさのこげ茶色のモヘアのクマのぬいぐるみ。

手足がボタン付けされてるから座らせたりもできる。

つぶらな瞳が可愛い普通のテディ・ベアだ。

「この子が一番・・・ラウルに似てる」

「そこですか!」

ラウルどれだけ好かれてるんだよ。

「"ほらそっくりー!"って見せたらどんな顔するか楽しみじゃない?」

「そっちかよ」

そっちなら・・・なんだか納得。

「・・・まぁ、クマ中で一番可愛いんだけどね、このクマ」

「うん、それは認める」

このクマ確かに一番可愛い。


「あとはラウルの分なんだけど・・・」

「ラウルのはさ・・・」


サラと顔を見合わせて・・・


「「絶対にアレ!」」


同時に同じ物を指差した。


お互いの、意思の疎通はばっちりだ。





切るところが決まらなくてずるずると・・・

そしてまた、変なところで切ってます。


便利が一番!魔術付与で楽しい異世界ライフ!大丈夫、隠蔽工作ばっちりだ!計画

☆ミヾ(#`Д´)σ[ノ ヽ``┼┐!] じゃね?とかって言われそうw


間違い等がありましたらご連絡ください。


自分で見つけました><。

毛皮⇒毛並み に変更。4/26

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