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華も嵐も踏み越えろ!  作者: ゆえ
29/52

第29話 防御付形状記憶服

初っ端ちょっと下品です。

バスローブを着て出ると、入れ違いにサラがなんちゃってシャワールームに入る。


バスローブ・・・・・・

着慣れてないし、今パンツ穿いてないし・・・

このスースー感が・・・


明日、パジャマも買おう、そうしよう。

俺さ、結構・・・寝穢いいぎたないんだよなぁ。

朝起きたらナニがポロリでサラに見られたらって思うと・・・・・・


ちょー嫌だ!


それにさ、ピンコしてたらどうなる!?


もっともっと嫌だ!


・・・サラより先に起きよう、がんばって起きよう。







よし、色々考えてたことを早速やってみることにする。

服の他に買い物ができなかったからとりあえず2番目にやってみたいことだな。


俺は今日買った服をベッドの上に並べた。


いきなりメインに手を出すのは怖いよね、やっぱり。

まずはこのニーハイソックスからやってみよう。


――透流、何をするんだ?――


モーリオンがちょこんとベッドのヘッドボードの上に乗って興味深そうに見ている。


「うん、魔術付与してみようって思ったんだ」

――ほほう、できそうなのか?――

「うん、こうしたいなーって考えたら術の構成が頭に浮かぶんだよね。これって竜の叡智?」

――どうなのだろう・・・我は考えたこともなかったからな――

モーリオンは首をかしげた。

――・・・ふむ、我には何も浮かばぬが・・・――

「え?そうなの?」

――うむ、・・・たぶん、発想力の差なのではないかな。我よりも透流のほうが面白い発想をする。我は変化もなく生きてきたからな。それとも異世界の考え方なのかもしれん――

「あー・・・こっちの世界は魔法が発達してるから向こうにあった便利なものがないんだよね。だからかな?便利に慣れてるから何とかしたいって思っちゃう。あと、向こうにはこっちに似た世界の架空の物語とかがあるんだ。その物語には俺みたいに異世界に行っちゃう話があってさ、物語の中で主人公がやってることを真似してるのもある」

――なるほど。それで、透流は何をしようとしているんだ?――

「うん、防御の付与をしようかと思ってる。それから状態維持かな。俺の服、かなり特殊だから・・・破けちゃったらここまで買いに来なきゃいけないでしょ。それはちょっと遠慮したいな~なんて考えてたり・・・」

――また新しい服を着せられるかも知れんぞ?――

モーリオンが面白そうに笑う。

「それ絶対やだ!エリンさんならやりそうで怖いよ!」

マジで震えが来る。

今、目の前にあるのだって相当の覚悟で着たんだぞ!

これ以上の物が出てきたら・・・・

絶対に嫌だ!

この付与だけは絶対成功させてやる!

俺は気合を入れなおした。


まずは、防御付与の術展開。

続いて、状態維持の術展開。

これを順番にかけることで防御付きの形状記憶ニーハイソックスの出来上がり・・・の予定。

よし、行くぞ!


――待て!――


・・・っとっとっと・・・

「何?どっか変!?」

――寝台ごと全部にかけるつもりか?・・・我もその範囲に入っているようだが――

「・・・あ」

あはは・・・術の展開広すぎたみたい。

――まったく・・・――

「ごめんよー」

――かけるものを結界で包んでから中で術を展開したらどうだ?――

あ、そうか!

「ありがと、モーリオン」

んでは・・・早速。


結界で包んでー、防御の術展開してー、状態維持の術展開ー。

今度こそ!


「強くな~ぁれ!」


結界内が光で満たされる。

さぁできるかな?


――透流、その、"強くなぁれ"とはなんだ?呪文にしては気が抜けるのだが・・・――

モーリオンの声が呆れてる。

「呪文とか無しでもかけられるんだけどさ、声に出してきっかけ作ると術が発動しやすいことがわかったんだ。だからその目的にあったこと言おうと思ってね」

――適当なのだな――

「うん、ぶっちゃけ適当」


お、光が収まったぞ。


光が消えた時点で結界を解く。

ひらりとベッドに落ちたニーハイ・・・メンドクサイ、靴下でいいよ靴下で!・・・を手に取り、思いっきり引っ張ってみる。

伸縮はそのままで・・・思いっきり引っ張っても破けない!

刃物はどうかな?

取り出した短剣で軽く引いてみたけどキレテナーイ!

てか、突き刺してるのにベッドに食い込まない!

防御もばっちり!?


「おおー!大成功?すげー!俺ってちょーすげー!」

――よかったな――

うんうん、ちょー嬉しい。

「よし、この調子で・・・全部まとめがけだー!」

1個づつは面倒だもんね。


衣類を全部結界で包み、術展開。


「全部強くな~ぁれ!」


おお、光ってる光ってる。


――これは物理的な防御だけか?――

「どうなんだろう、魔法のこと考えてなかったけど・・・なんかさ、魔法防御とかも付いてそうな気がする」

――・・・・・・そうだな・・・お前ならありえそうだ――

モーリオンは遠い目をしてどこか投げ遣りにフッ・・・と笑った。

失礼な!


かけ終わった物を引っ張ったり短剣当てたり・・・


「おお~俺って天才!」


大成功!


――うむ、透流は天才だ――

「だよねー!だよねー!俺ってすげーーーー!」


魔法はあとでセレンに頼んで試してみよう、端っこで。


完成した防御付形状記憶服一式を眺めつつモーリオンと騒いでいたら、


「何騒いでるの?」


サラが出てきた。


うを!?

バスローブの胸元から見える谷間が、裾から伸びるおみ足が危険です!


健全な青少年をどうするつもりなんですかぁぁぁぁ!?


「トール・・・」

サラがニヤリと笑う。

「顔真っ赤」


「誰のせいだぁぁぁぁっ!」

俺が叫ぶとサラは大笑い。


「騒ぐなうるさい隣に迷惑だろう?」


ドアからひょっこりラウルが顔を出した。


「まぁ、この部屋は角部屋ですから隣といっても私たちの部屋だけですけどね」


セレンも覗く。


「夕食はこの部屋に運んでもらうよう手配しました。・・・おや?服を広げて何をしてたんで・・・・・・えぇっ!?」


セレンは珍しくバタバタと慌てて近づくと防御付形状記憶服(名前長いな)を手に取った。


「こ・・・これ・・・・・・」

「いいでしょー!防御付形状記憶服だぜ!」

得意げに自慢したら、

「トール!付与魔法が使えるのですか!?何故早く言わないのです!」

何故か怒られた。



「とにかく、付与魔法が使えるのはごく一部の限られた高位の神官のみなんです」

俺たちは夕飯を食べながら話し合う。

「トールが使えるということが世間に知られたらとんでもないことになりますよ」

セレンが困ったように言う。

「とんでもないこと?」

「えぇ、高位の神官は王都の神殿で隔離というか守護されています。それは付与魔法を有効利用するためと、もう一つ、悪用されないためなのです」

「トールが使えることを知られたらそれこそ狙われるだろうな」

ラウルが頷き、

「みんな付与魔法付の装備一式欲しいものね」

サラも頷く。

「あ・・・そうか、そういうことか」

下手したら、誘拐とかされて監禁とかされて延々とそればっかやらされる羽目になるかも・・・

それってものすごく嫌だ!

「・・・じゃぁさ、これ、解除しなきゃダメなんだね・・・」

せっかく強化したのになぁ・・・

「いや、それはもったいないだろう!?」

「そうよね」

「トール、これを隠す魔法とかできますか?」

隠す・・・・・・

「まだケープには何もしてないから何とかなるかもしれない」

うん、何とかしよう!

誘拐監禁なんてごめんだ!


俺は夕飯(トマト味のリゾットだった)を掻き込んで急いで食べるとケープを取り出しベッドに広げた。


えと、ケープに付けるのは、防御と状態維持は確定で、あと防水と、断熱と冷気遮断に蒸れ防止の通気性・・・かな?

隠す術はかけるんだからちゃんと欲しい付与は付けられるだけ付けるぞ!


ケープを結界で包み、付与する分の術を展開。


「オールシーズン使えるケープにな~ぁれ!」


そう言った瞬間、背後でガシャガシャと食器が鳴る音が盛大に聞こえる。

振り返ったらサラが笑いそうになるのを我慢してて、ラウルが困ったような顔をしてて、セレンが呆れたように首を振っていた。


「どうせ隠すんだからこの際付けるだけ付けようと思っただけじゃん!」


俺、悪くないもん。


付与の光が消えたら次は・・・内側と本体の魔力の隠蔽かな。


「魔力の隠蔽ー!」


そのまんますぎて面白くないけどいい言葉が思い浮かばないや。


よし、完成!


俺ってやっぱすごいね!

振り返って3人にサムズアップ。


「お見事ですねぇ・・・」

「さすがトールだ・・・」

「規格外ね」


サラうるさい。


「・・・ねぇ、もしかして、私たちの武器にも付与魔法かけるつもりでいるとか?」

サラが珍しくおずおずと聞いてきた。

「うん、もちろんそのつもりだよ」

軽く答えると、

「ありがたいですけど・・・」

セレンが渋い顔をする。

「隠蔽しちゃえばいいでしょ?」

隠しちゃえばいいんだ!

「確かに・・・・・・」

セレンてば頭固すぎ!

「魔法付与の武器・・・俺は素直に喜ぶぞ」

ラウルの反応が一番嬉しい!

「ダグには相談したほうがいいかもしれませんね」

あぁ、それは俺も思う。

「そうね、明日また工房に行きましょう」

工房かー・・・

「また吃驚されるんだろうなぁ・・・」

ダグの驚いて呆れて溜息を吐く姿が思い浮かぶ。

「トール、お前がぶっ飛びすぎてるんだから諦めろ」

ぶっ飛びって・・・酷ぇ。

「ラウルのばーか」

「なんでそこで俺のことバカって言うかな!?」

「ラウルだから」

「ラウルだから・・・って・・・俺、お前に何かしたのか!?だから嫌いなのか!?」

「んー・・・何もしてないよ?ラウルはラウルだからラウルなんだよ。大丈夫、ラウルのこと好きだよ。ただの愛情表現の一環だから」

ラウルって構いたくなるんだよね。

うんうんと頷いていたら、


「俺、トールがわかんねぇーーー!」


ラウルが叫んだ。


「「「ラウル、うるさい」」」


ついでにサラがラウルの頭にチョップをかましていた。



「みんな酷い!」



ラウル涙目。




今回短いです。


短めの話を速い更新がいいのか、長めでゆっくりがいいのかがわからない。

どっちがいいんだろう?

まぁ、一番いいのは1話が長めで速い更新なんだろうけど・・・それは無理。


間違い等がありましたらご連絡ください。

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