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華も嵐も踏み越えろ!  作者: ゆえ
27/52

第27話 ドワーフの工房で

ファンタジーの定番だと思います。

ドワーフは、ファンタジー物でよく見るとおりのドワーフだった。


背が低く、でも体つきはガッシリ。

赤茶けた豊かな長いひげ、眉ももじゃってて視界が狭そう。

一見すると壮年のおっさんに見えるけど・・・実際の年齢は違うんだろうな。


すごい、ファンタジーだ。

・・・エルフとかもいるのかなぁ?


――その、"どわーふ"や"えるふ"とはなんだ?――

モーリオンが訊いてきた。

えと、なんて言ったらいいのかな・・・

ドワーフというのは今目の前にいる人たちで、エルフって言うのは・・・こう、耳が尖ってて綺麗ですごく長生きで・・・

――ふむ、ドワーフとは山の民でエルフは森の民のことだろうか・・・――

やっぱり呼び方違うのか。

エルフにも会ってみたいなぁ。

――機会があれば会えるのではないか?ルフの裾野の森には森の民の集落があったはずだ――

そうなんだ!

会いに行きたいよね。

――そうだな、機会があれば行ってみるのもいいだろう――

うんうん、旅をしてれば会えるかもしれないしね。


会えたらいいなぁ・・・

憧れだよね、ロマンだよね!エルフ!







工房では数人のドワーフと人間が働いていた。


「何だお前たちは?冒険者が何のようだ?うちは工房だが武具の修理はやってないぞ」 


親方?なのかな。

気難しそうなドワーフが俺たちに話しかけてきた。

俺より背が低いのに貫禄十分だ。


「こちらはダグの工房でしょうか?」

「ああ、俺がダグだ」

「私はセレンといいます。ファズの店のエリンさんの紹介で来ました。これが紹介状です」

セレンは封書をダグに渡す。

エリンさんの名前を出したら気難しそうな表情が、微妙に変わった。

もじゃもじゃの眉で見難いけど眉間のしわが若干浅くなったような気がする。

そして、紹介状を読むうちにその表情は呆れたような諦めたような困ったようなでも嬉しいような複雑な表情に変わった。

ダグは読み終わると俺たちを順番に見て、最後に俺をじっと見る。

値踏みするような視線だ。

俺はモーリオンを抱きしめて見返した。


負けるもんか!


むきになってみる。


じーっと睨むように見てるとダグはふっと表情を緩めた。


「面白いヤツだな」


緩めるを通り過ぎてニンマリ笑っている。


「よし、気に入った。お前らに武器を作ろう。エリンからの紹介だしな」


おおー!作ってもらえるんだ!

・・・って?

それってさ・・・すんごく高くならない?

この感じだと特注品っぽいぞ?

渡したお金、セレンが吃驚してたからかなりあるんだと思うけど足りるのか?

なんかさ、作業してる人たち(主に人間)が俺たちを興味深そうに見てる。

中には、なんであんなやつらが?・・・てな表情の人もいる。

この工房って、もしかしてかなり有名?

「セレン・・・お金足りる?」

俺はセレンの袖を引いた。

「そうですね・・・」

セレンはダグを見て、

「私たちは冒険者としてはまだまだの身です。分不相応な武器は・・・ですから既成の物で・・・」

断ろうとしたら、

「エリンの紹介だ、下手な物を渡すわけにはいかない。それにな、いいものは持ちがいいんだよ。不具合が出てもまた持ってきてもらえれば修理もできる。まぁ、俺のところの武器はちょっとやそっとじゃ壊れないからな。そんな機会も無いだろう」

断るのを断られた。

作る気満々だよ、この人。

お金足りるんだろうか・・・

ラウルやサラも困ったようにダグを見ている。


・・・あ、そうだ。


「セレン、足りない分何とかなるかも」

「トール?」

「ちょっと待ってて」


俺はいったん外に出ると、表で待ってるレボの背中の包みを外す。

――透流様?――

「レボ、いつも待たせててごめんね。もう少し待ってて」

――大丈夫ですよ、お気になさらず――

「うん、ありがとう」

レボを一撫でどころかちょっとたくさんしっかり撫で捲くってから包みを持って工房に戻る。


「ダグさん、お金、これを課金したら足りますか?」

包みを差し出す。

「ん?」

ダグは訝しげに包みを受け取ると中を覗き、

「おいおいおい、これは何だ?」

驚いてつき返してきた。

「だって、武器、特注品になるでしょ?値段が張るでしょ?セレンに渡しただけじゃ足りないと思って・・・」

「おいおい、いくらすると思ってるんだ?」

「う~ん・・・わかんない?」

だって相場やお金の価値なんてちっともわかんないもん。

わかんないからセレンに丸投げしてるんだぞ。

「うちは良心的な工房だ、ぼったくったりなどしない。お前らの分は俺が作るから必要経費にちょっと上乗せしてもらえればいい。その代わり、一つ作るのに時間はかかるけどな」

「いくらなの?」

「そうだな・・・まだしっかり見積もったわけじゃないから明言はできんが・・・」

ダグが3人それぞれの武器の値段を言う。

「そんなに安くていいのですか?」

「うそん!?」

「普通そんな値段で個人用の武器なんて買えないぞ!?」

3人は驚いている。

「安いって言っても量産品よりは高いぞ?まぁ、これは趣味のようなもんだからな。手間賃はいらん」

ダグはそう言うと、

「お前らの武器を見せてみろ」

3人の武器を要求した。


「お前ら・・・どういう使い方してるんだ・・・・・・」

3人の武器を見てダグは溜息。

「まだましなのはこの長剣か・・・固い鱗でも切ったか?」

「あ、それさ、戦闘中に何もないとこで転びかけて岩に打ち付けてたんだよね」

「何ぃ!?」

俺の一言でダグが呆れたようにラウルを見た。

「戦闘中に転ぶとは・・・・・・」

「あうぅ・・・」

ラウルはダグの視線を受けて頭を抱えてしゃがみ込んだ。

「仕方ないよ、ラウルは剣士でいい大人なのにドジッ子属性だし」

「どじっこ?」

ダグが何だそれは?と訊いてきた。

「何もないところで転んだり他愛もない失敗を繰り返す人・・・普通は女の子に多いんだけどさ、たまに男もいるようだね」

あれ?

・・・ってことは、ある意味ラウルは萌えキャラ?

ジーッとラウルを見てると、

「何?トール?」

しゃがんだまま首を傾げて俺を見る。

あ・・・可愛い。

大型犬っぽいぞ!

近所にいる黒いゴールデンレトリーバーの玄くんに似てる!

思わず頭を撫でてみる。

おとなしく撫でられてるって・・・撫でられ慣れてるのか!?

ラウル、なんかやばいよ!

俺より大きい剣士なのになんかこう、俺の本能が庇護対象だという認識を・・・・・・

あぁでも、髪のさらさら具合というか、頭の丸さというか・・・撫で心地がいいんですけど!

内心プチパニックを起こしたまま呆然と撫でてたらセレンがそっと手を離してくれた。

「トール、大丈夫ですか?」

「う・・・うん。何とか・・・」

「トール、これは大きな愛玩動物だと思えばいいのよ。気にしちゃダメ」

「わかった」

「・・・おい!それ酷いんじゃないのか!?」

サラの言葉にラウルが怒る。

「頭撫でられて喜んでるんだから犬や猫と一緒でしょ?」

「う・・・仕方がないだろう!?気持ちいいんだから・・・」

そうか、ラウルは頭を撫でられるのが好きなんだ。

心のメモ帳にメモしておこう。


そんな俺たちを見て、


「お前ら・・・話を戻してもいいか?」


ダグが呆れたように言った。



「とりあえず質問のいくつかに答えてもらおう。それから何箇所か寸法を測るぞ」

気を取り直してダグが仕切る。

俺は武器を作ってもらうわけじゃないし、手持ち無沙汰だ。

表でレボと遊んでいようかな。


などとボーっと考えてたら、


「おい、お前もちょっと来い」


俺もダグに呼ばれた。


「あの、俺は武器がいらない・・・」

「武器じゃない・・・少し屈め」

「はい」

有無を言わせない人だよね、ダグって。

言われたとおりに屈むと前髪を掻き上げられた。

「ほほう、これか」

契約石を確認すると、

「お前はこれで前髪を上げておけ」

銀色のカチューシャを取り出した。

服の飾り縫いと同じ蔓草が絡み合った意匠の細い銀細工。

「・・・えと?」

「エリンから頼まれていた物だ。その服を着てくる者があったら渡すように頼まれていたんだよ。何でも、この髪飾りで芸術は完成するとか何とか・・・あいつが考えていることはよくわからん」

俺の手にカチューシャを置く。

「まぁ、どっちにしても契約石は見せておけ。その方がお前のためになる」

「見せておくほうがいいの?」

「あぁ、精霊との契約は神聖な物だ。それが魔物と属される相手であってもだ。魔獣使いや精霊師の数がどれくらいいるか知ってるか?」

俺が首を傾げると、

「そうですね、魔獣使いは大きな都市のギルドで時々見かけますが・・・精霊師は見かけたことがありませんねぇ」

セレンが答えた。

「魔獣使いは高位の者は貴族階級のお抱えになるからな。精霊師は存在そのものが希少だ。だから、こいつのように契約石を持つものは殆どいない。契約石を持つ、ただそれだけで身分は約束されたようなものだ」

ダグは俺を見る。

「お前は黒髪だ。そして・・・お前のその目は本来の色ではないだろう?」

囁くようなその小さな声に俺の体は硬直した。

3人も驚いたように俺を見る。

「お前の目は・・・何色だ?」

その言葉にモーリオンが身構え、ドアの向こうではレボが剣呑な気配を出している。

「何、とって食おうとしてるわけじゃない。そんなに警戒するな」

ダグは苦笑を浮かべた。

「俺はな、本当のお前が見たいだけなんだよ」

そして優しく笑う。

「ちょっとこっちへ来い」

俺たち4人を奥の部屋へ誘う。



4人が部屋に入ると、ダグはドアを閉め、

「ここなら外に声は聞こえない。誰に見られるわけでもない」

俺に向き直る。

「お前の目の色は・・・黒じゃないのか?」


「な・・・んで・・・」


息を呑む。


「だから警戒するなと言っている。まぁ、これを見ろ」


ダグが鍵付きの小箱から取り出したのは小さな額縁。

肖像画?

ポートレートって言うんだっけ?



そこには黒髪黒目の少女が描かれていて・・・・・・



え?



これって・・・?



母さん!?




ラウルは萌えキャラだと思うんです。

身長176cm、年齢26歳の剣士ですけど!


キャラの設定表作ったほうがいいのかな・・・?

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