序章:須藤剛という男。Part2
どうも!SHINACHIKUです!1話に続いて2話目です!どうぞ行ってらっしゃいませ!
地面には岡っ引きの命そのものが転がっている。
青年は驚愕した。武士といえど、岡っ引きを殺害するということは罪である。それも、濡れ衣とはいえ犯罪者を庇ったのだ。なにか普通ではない。
「お主、名はなんと申すか」
「俺の名前は須藤 剛(すどう つよし)っていうんだ。よろしく」
「うむ、よろしく頼む。では着いてこい。そうしなければ貴様をここで斬り殺す」
カチャリと刀の切っ先をこちらに向ける音がなり、先程の目にも止まらぬ斬殺を思い出し、汗と動悸が止まらなかった。そこで初めて侍の顔をじっくりと見た。顔の右上から左下の対角に刀による切り傷があった。そこからも只者では無い気配が漂っている。
「どうする? 来るか来ないか……。決めたまえよ」
重い空気が二人の間に流れていた。だが、答えなど最初から決まっている。
「い、い、行きます! い、行きたいです! 行かせてください! 」
「それでいいんだよ、それで。賢い子だ。着いてこい」
そういい、侍は刀を鞘に仕舞いながら、剛を追い越し村に誘導した。
村の中にある何の変哲もない家に誘導された。そこには、自分と年齢の近そうな男が刀を床に置いて座っており、剛に気づくと優しい笑顔を向けてきた。
「おい、藤田ァ! 新しいの連れてきたぞ」
「そんな大きな声出さんでもわかるぞぉ? ミタケェ」
なんとも、相性の良さそうな2人の会話だろうかと思いながら、剛は聞く。
「あの、俺って何をすればいいんでしょうか……? 」
「んー? 」
剛の問いに藤田と呼ばれた男が疑問に答えようとしていた。
「そうだねぇ、君咎人でしょ? しかも濡れ衣」
意外な事実が出てきた。それは本人でしか知りえない情報を、知られているという意外な事実。藤田はタバコに火をつけ吸い、話を続けた。
「僕らはねぇ、義民党っていって幕府じゃなくて、一般の人達の側に立って反乱とか暗殺業を請け負ってるんだ。この仕事はとても大事なものだと僕は思ってる。だから幕府と戦う気のある者、あとは咎人など罪を犯した者を義民党に入れて更生する傍ら仕事してもらってるんだ」
「そうなんですか……」
「君も幕府への恨みの1つくらいあるだろ? 」
剛は危うく濡れ衣で死刑になっていたため、恨みといえば恨みのような念があった。他にも恨むには十分な理由が幾つもある。
「まあ、助けてあげたし、少しばかりでも幕府に恨みがあるなら入ってくれよ。僕はあんまり荒事はしたくないしさ。それに君は忍者の家系でしょ? 幕府に恨まれてもおかしくない。隠れ蓑としてもいいでしょ? 」
「……わかりました。隠れ蓑として使わせてもらう」
「それでいいのさ」
剛は、幕府と敵対していた忍者の家系であり、迫害の対象であった。それによる悲劇にも何度巻き込まれたことか。剛には入らない理由がなかった。
こうして、剛は隠れ蓑として、義民党に入ることとなった。
今回はあんまり話が進んでいませんね…。
3話目から話をガツガツ進めますんで!どうかご容赦を!