魔王様と討伐隊 □ 03
シャイアの隣にいるのが、水場、沼地での軍を担う両生・爬虫類族長のガルマ。
両生・爬虫類とは私が勝手に分類しているだけなんだけどね。
淫魔族、獣族、鳥族以外の魔族は全てガルマの一族に分類されているの。
ガルマの本性は蛇である。
この世界には、他に竜族という種族もいて、彼らは西洋ドラゴンに大変良く似ている。
中国や日本で見るひょろ長い龍の種族はいないけど、ガルマの本性は蛇というより、東洋風の龍に近いタイプかも。
若かりし頃、妖怪図鑑で見た龍になる前の蛟に近い姿をしている気がする。
蛇の姿になれば、幼稚園児から小学生用の、ハイキングが出来る丘って位の大きさだ。
蛇になった時の鱗は、仏閣とかで見る黄色の布の色に近くて、あの色に光沢が付いた感じでかなり綺麗。
瞳は濃い青、群青の色をしている。
人型となれば、彫刻刀で彫ったように細い目で、肌はイシュよりも白くて、血管透けて見えませんか? という位に白い。
シャイアには及ばずも、一八〇センチはあるよねという長身で、一見細身にも見えるけど、コレが細マッチョというタイプ?
イシュもガルマと同じぐらいで、若干イシュのが長身かも。
勿論、イシュにも無駄な肉なんてございません事よ。
引き締まった素晴らしい身体をしておりましてよ。
脱いだら彼等、凄いんです。
脂肪率は〇ですか?
乙女の敵ですか? 移動しますね。
自棄にもなるってモンですね!
ガルマも、容姿は大変美しくて、イシュと甲乙付け難い位に美しい。
イシュは変態のイメージが強過ぎて、血の通った美しさって感じがあるんだけど、ガルマは血の通ってなさそうな美しさである。
同じ白い肌でも、イシュはロシアや寒い地方辺りで見れるような白さで、ガルマは陶器のような硬質とした感じの白さなのだ。
顎のラインで揃えられた金の髪は、金の鋳物みたいに濃くて光沢があって、背筋に寒さを覚えるような、美しいビスクドールを髣髴させる。
下手に捨てたら呪われそう的な寒さ。
ちなみに、彼は一応性別は男であるが、女装マニアでもある。
正しくは、自由に性別を選べるので、女性体となってドレスを着ている事が常なのね。
ガルマが好んで着ているドレスは、中世や近代の絵画なんかで見られるスタイルが多い。
コルセットを使用するタイプだったり、エンパイア・スタイルみたいなハイウェストなドレスだったり、クリノリン・スタイルと言われる釣り鐘型フレームで、スカートを綺麗に膨らませるタイプだったり、お尻の部分が膨らんでいるバック・スタイルなんてのもある。
現に今も、人をソワソワさせるような、蠱惑な雰囲気一杯の豊満な体に、クリノリン・スタイルの真紅なドレスを身に纏って優美な姿で控えている。
実際、巨乳が零れそうな程に前が開いていて、これでもかと引き絞った腰から、スカートがふんわりと広がっている、派手で毒々しいとも思えるドレスなんだけど、彼にはとても似合っている。
見るだけだったら、私は男も女も大好きだから別に構わないんだけどね。
ちょっとだけ、あの胸が何で出来ているのか、触って確かめたい誘惑はある。
シリコンのはずは無いんだけど、なんでそんなにでかい癖に、寄せて上げてをしていない癖に、重力を無視出来るのか、怪しからん谷間とかが非常に気になってしょうがない。
初対面時には、なんて美人なんだと見惚れた所を押し倒された。
あの時の私のときめきを返して欲しいと、思わず目が据わる。
そして、私の正面で一匹の小さなガーゴイルを従えて控えているのが、空中での軍を担う鳥族長のサナリである。
本性で人の姿に羽を生やしているのは淫魔族だけど、獣の姿に羽を生やしているのは鳥族に分類される。
サナリの本性は銀の大鷲である。
唯、羽が六枚、足が五本ある大鷲だけどね。
彼の本性も、シャイアに比べれば若干小さいが、それでも大きい体躯である。
大鷲の姿で羽を広げれば、五メートルは超える。
人型となれば、私のイメージするお堅い軍人そのものだ。
シャイアより気持ち低いが、それでもイシュやガルマよりかは長身。
サナリは普段から、軍服をイメージさせる白や紺、迷彩色っぽい茶や深緑の色をした生地を好んで着ている。
詰襟部分もきっちりと留めているし、ピッタリとした服の上からでも、彼の胸筋が素晴らしい事は良く分かる。
勿論、イシュやシャイアの胸筋も、服の上から分かる位素晴らしいよ?
ボディービルダーみたいなガチムチマッチョは苦手だけど、身長に見合ったバランスの良い筋肉美は好物なの。
故に、シャイアとサナリのボディは大変眼福なのであります。
感情を見せない水色の瞳は北国の氷を思わせ、銀の髪も軍人のように短く刈り揃えられたベリーショートがお堅い雰囲気に拍車を掛けているって感じ。
イシュの髪は白っぽい銀だけど、サナリの銀はイシュに比べてもっと濃い色をしている。
シャイアをお茶目でナンパで陽気な不良軍人とするなら、サナリは真面目一辺倒禁欲的なお堅い軍人といった所かな。
うん、見えるだけなんだけどね。
そう、見えるだけね。
この魔界四大公、揃いも揃って変態ばっかりなんだよね。
ちょっと過去のあれこれが走馬灯のように過ぎって、乾いた笑いが漏れそうになる私。
尚、ガルマ以外なんだけど、イシュやシャイア、サナリは勿論、魔族が好んで着ている服の殆どが、アラブや砂漠地帯の民族衣装で見るようなソーブに似ていて、詰襟式の長いシャツに、パンツというスタイルが主である。
布地は薄い物から厚手な物とあって、スタイルは地味なのに金の掛かってそうな、無駄に豪華な刺繍なんかされていたりする。
シャツの長さも、お尻の辺りから足首までと、数センチ刻みで種類があるみたいだし、布の色もかなり豊富である。
イシュは膝から脛の辺りまで丈があるのを好んでるし、サナリは腿辺りまでの丈の物を好んで着ている。
シャイアは、気分によってなのか丈の長さに統一が無い、というかいつもバラバラ。
私の見る限りだと、上着に関しては、短くてもお尻が隠れるかどうかって辺り。
スーツのジャケットと同じ位なのかな?
長い物だと足首の辺りまであったりして、数センチ刻みでバリエーションがあるみたい。
イシュやサナリは、きっちり上まで襟を留めているけど、シャイアはボタンを二つ三つと外して着崩していたり、ボタンを留めずに全開にしていたりとかで、チョイ悪な感じが滲み出ていてニヤニヤしてしまう。
素敵な腹筋胸筋に、思わず魅入ってしまってニヤニヤしてしまう。
こちらの世界では、ファスナーやゴムという物が存在しないので、パンツなんかはボタンや紐で落ちないよう調整しているのだ。
靴も、今の所、木靴やスニーカー、ハイヒール系以外の靴なら見た事がある。
皮や布で出来ている靴が多くて、私のは布靴や皮のサンダルが殆どかな。
ブーツの類もあるけど、デザインよりも機能性を重視しているので、ファッション性が乏しかったりもする。